先日、恵比寿西口の「白い箱」が公衆トイレと知らずに

2年以上前を通過してた・・・

ということを書いたのですが

 

 

「公共施設の案内表示などについて、デザイン性を重視した結果、

本来伝えなくてはならない情報が利用者に伝わりづらかったり、

意図しない利用を招いてしまったりする失敗例」

           ↑

これを「デザインの敗北」というのだそうです。

 

そして、正しく伝えるために管理者などがデザイン性をぶちこわすような

「付記」をした場合、「敗北決定!」となるらしい・・・

 

白いトイレの場合はこれでしょうか?

 

 

同じデザイナーさんは8年前にもセブンカフェのコーヒーメーカーを

簡略にしすぎて、テプラまみれにされた、という「実績」があるそうです。

 

 

私が利用したことのあるセブンカフェも

多分、当時すでにテプラが貼ってあったので迷わなかったですが、

これ、もし貼ってなかったら、すごく違和感あったと思う。

 

というのも、コンタクトレンズしてる人で

右と左の度数の違うひとはかならずR・Lを慎重に確認しますよね。

 

 

右にLと書いてあったら、もうそれだけでドキっとしてしまいます。

 

まさか

R → レギュラー REGULAR

L → ラージ   LARGE

とは思わないですよね。

 

上の画像はかなりおとなし目なほうで、

もっとキレ気味にテプラを貼りまくってる画像もけっこう見つかります(笑)

 

 

 

これも、「授乳室」の表示なのに、それが伝わらず、

右下にテプラを貼られ、それでも

「なんでこのマークが授乳室なの?」といわれたのか、

〔哺乳瓶〕とまでテプラされて、もうデザイナー撃沈ですね~

 

たしかにテプラがなかったら、私には「乾電池」か「注射器」にしか見えません。

 

 

 

これはLOFTのフロア表示。

マークではありませんが、誰得?なカタカナ表示です。

 

日本人には通じないし、外国人は下の英字だけでいいし。

黄色のテプラは、応急処置的にお店の人が貼ったそうです。

 

 

 

ところで、

ピクトグラムの発祥は1964年の東京オリンピックといわれ、

60年前とは思えないほどの洗練されたデザインでした。

電話とかカメラとか、今とは形がちがっているのもありますが、

トイレの男女マークは今もこれが継承されていますね。

 

ちなみに、男女の赤と青の色付けはこのときはまだされておらず、

白抜きで背景の色はエリアの色だったそうです。

 

 

ピクトグラムとは関係ないですが、

最後にどうしても書きたい案内表示のことがあって・・・・

 

20年近く前、月イチで日暮里に通っていたことがあるんですが

当時は日暮里舎人ライナーの開業、駅前の再開発に伴い

日暮里駅は大規模な改良工事をしていました。

そのころ見かけたのがこういう看板。

 

 

力強い案内板でしょ?

仮囲いとか廃材に直接書かれているんですが、

近づいてよく見ると、ガムテープを切って貼ってあるのです。

 

そばでみると

こんな感じ

 

 

 

これを書いたのは現役警備員の佐藤修悦さん。

工事で通路が仮設になるたびにお客さんから同じことを聞かれるから

それなら表示を作ろうと勝手に貼っていたら

怒られるかと思ったら、褒めてもらえて、

3色しか持ってなかったガムテープに

新たに3色追加してくれて、全部の路線が色別にできるじゃん!

ラッキー!って思って、その後も頑張って作ってたそうです。

(ちなみに70歳になった今も警備員さん)

 

角を削って剥がしたテープは、その内側に貼っていくから

テープのゴミも最小限らしいです。エコですね!

 

 

表示を必要としている人から一番近いところにいる人が

お金をかけず、あっという間に仕上げる。

そして表示が不要になればあっさり廃棄される・・・

 

これって、「アート」からは一番遠いところにあって

「洗練されてない」「バランスがどうのこうの」と

ひとこと言いたいプロの意識高いデザイナーさんもいるかもしれないけれど、

私はこれが「本物」と思う。

 

美術館で展示もされたり、書籍にもなったそうですが、

それよりも駅の工事中の雑然とした通路にあるあの表示がなにより力強いのです。

いつまでたっても工事中で、出口や経路がねんじゅう変更される渋谷駅。

せめて「修悦体」の案内板があったら気分が違うかも、と思ったりもします。

 

あ、映画館のトイレのことも書きたかったのですが

長くなったので、別の機会に。