映画 「翔んで埼玉 琵琶湖より愛を込めて」 2023(令和5)年11月23日公開 ★★★☆☆

 

 

本作も前作同様、

「埼玉に住む家族が車に乗りながらラジオドラマを聞いている」

という額縁のなかで、荒唐無稽な話がくりひろげられる設定。

そんなに頑張って説明するほどのストーリーじゃないので(←失礼)

最後までサクッと書いてしまうのでご注意ください。

ネタバレをみたくないかたは、ここで閉じるのがオススメです。

 

 

(現在の埼玉の現実シーン)

さいたま市(旧与野地区)に住む家族、

県庁職員の夫(アキラ100%)と実家が滋賀県の妻(和久井映見)と臨月の娘(朝日奈央)は

熊谷市で開催される綱引き大会会場に車で向かう途中、

地元のローカル局のラジオドラマ「都市伝説・第Ⅱ章」を聴いています。

 

すでにさいたま市は誕生していますが、地区別の綱引き大会では

今でも仲の悪い大宮と浦和が決勝まで当たることのないシードにもかかわらず

熊谷の暑さで熱中症になったり弁当がくさったりで棄権チーム続出、

ついに決勝が大宮vs浦和となってしまい・・・・

(ちなみに、最後のオチは猛暑の熊谷ネタで解決、です。)

 

 

(ここからドラマシーンというか、ど派手な茶番劇)

 

前回の通行手形廃止で埼玉に自由と平和が訪れましたが、

さらなる高みをめざして、レイ(GACKT)の考える構想は・・・

 

①埼玉に横のつながりを!

東京一極集中でなく、埼玉の街が横につながることが必要。

そのために武蔵野線を開通させる。

 

 

② 埼玉に海を!

しらこばと水上公園に広大なビーチをつくり

和歌山の白浜から砂をはこんでくる。

 

レイは①をモモミにまかせ、仲間たちと船にのって和歌山に向かいますが

嵐にあって、浜に漂着し、倒れているところをカイ(杏)に助けられます。

 

滋賀解放戦線のオスカルことカイによると

白浜は大阪に占拠され、通行手形をもつ、大阪、京都、芦屋、神戸以外の人は立入禁止。

和歌山・奈良・滋賀の3県人は大阪から虐待され

大阪知事(片岡愛之助)のいるアポロンタワーで屈辱的な県民ショーをやらされたり

甲子園の地下の「粉もの工場」で酷使されているとのこと。

 

ゲジゲジ眉毛の滋賀解放戦線

 

地下工場でつくっている白い粉には中毒性があり

これで作ったたこ焼きやお好み焼きを食べると

ことばが大阪弁になり、ボケとツッコミを繰り返すようになり・・・・

知事はこれを日本中にまいて、日本中を大阪の植民地化し、

大阪万博を機に、世界中を大阪にしようとたくらんでいるのです。

 

レイたちは琵琶湖の水を止めて、大阪にダメージを与えるも、

知事は通天閣ミサイルに粉を乗せて発射。

埼玉からも負けじと「行田タワー」を打ち上げて迎撃に成功します。

 

武蔵野線も開通し、(京葉線経由で)あの「ネズミーランド」まで

直通で行けるようになりました! 

一万円札の肖像にも、深谷市の偉人、渋沢栄一が採用されて、めでたし、めでたし

                         (あらすじ おしまい)

 

 

五年前の「翔んで埼玉」

 
いまほどポリコレが厳しくなかった?5年前でも
差別発言連発で、みてるこっちがヒヤヒヤもので(しかもそれほど面白くもない)
キャストの皆さんの「黒歴史」になるんじゃないかと心配したんですが
世間はけっこう好意的な反応。
 
調子にのって、今回も前回の路線にきっちり乗っています。
 
最初に前作より「よかったこと」を書くと、まずはキャスティングでしょうか。
前作では、芸能界の「濃い顔」で名の上がる人、
京本政樹、北村一輝、伊勢谷友介たちをもれなく引っ張ってきて
一律にこてこての芝居をさせていましたが、
初登場の杏はナチュラルな演技ながら佇まいはリアルオスカルで、
無理無理な流れなのにそれを感じさせないくらい自然!
「ふたりは実の兄弟だった」エピソードは別になくてもよかったけど、
ちょっとドキドキするくらいきれいでした。
「翔んで埼玉」でうっとりするとは思わなかった!
 
大阪知事の片岡愛之助、
神戸市長の藤原紀香、
京都市長の川崎麻世
 
今回のヒール3人組なんですけど、
リアルな夫婦をここにキャスティングしたのは大成功!
京都市長は関西の大物芸能人か?と思って観ていたら川崎麻世だったんですね。
言葉も違和感ないし、おっさん臭のする演技でした~(←すごく褒めてます)
 
 
滋賀県人のまゆがゲジゲジなのは、ナンバープレートがゲジゲジだから・・・
だそうですが、これってどうなの?
 
 
 
今回の小ネタはほとんど笑えませんでした。
琵琶湖しかない滋賀県
古墳しかない堺市
鹿しかいない奈良県
平和堂のHOPカード
「飛び出しとび太」は滋賀県が発祥とか・・・
 
 
「〇〇しかない」というのは、自分の知識の浅さを自慢してるようなものです。
もっと手数が多ければ目立たないけど、ネタが少なすぎ。
滋賀発祥のもの、もっとあると思うけど。
 
粉もの工場(たこ焼き工場?)の中は、
「チョコレート工場」のパクリだし。
 
 
今回、関西の人がこれを見てどう思うのかな?
 
実は、私の夫は京都人なんですが、義母の実家は滋賀なので
一般にいわれるような偏見はないみたいです。
滋賀の悪口を一度も聞いたことないので、なんかつまんない(笑)
 

私は埼玉にも東京にも住んだことがあるので、

ビミョーな地域格差はわかるから、

今回の最初の家族がさいたま市中央区(元 与野市)と聞いて

この微妙な立ち位置をどう描くのか期待したんですが、

こちらはちょっと肩透かし。

 

そういえば、ひとつ、疑問に思ったことが。

 

 

武蔵野線建設計画のときにでてきた路線が6つ、

①JR埼京線

②JR京浜東北線

③東武伊勢崎線

④東武東上線

⑤西武池袋線

⑥西武新宿線

 

武蔵野線はJRなので、①と②の乗り換えは簡単。

③④の東武線も、駅名は違いますが、乗り換え可能です。

⑤の西武池袋線は秋津・新秋津の乗り換えはけっこう遠いし

⑥の西武新宿線は線路は交差するけど、乗り換えはできません。

 

 

 

逆に

東川口で埼玉スタジアム線と乗り換えできるのをお忘れ??

と思ったんですが、武蔵野線ができたとき、この路線はまだありませんでした。

 

それから、今の「東武スカイツリーライン」も

ちゃんと当時の呼び名「東武伊勢崎線」を使っていました。

 

 

西武新宿線とはたしかに乗り換えられないけど、

これは結果であって

建設計画時点ではもちろん交渉はあって当然でしょうし・・・・

 

私は武蔵野線がない時代も知っているけど、

もう50年もまえの話だからテキトーにやってもバレないのに

きちんと時代考証しているのが逆に立派!(「ゴジラ-1.0」より?)

 

ということで、★を前回よりひとつ、増やさせていただきました。

 

(追記)

よく考えたら、埼京線のほうが武蔵野線よりあとでした。

「通勤新線」の構想はあったかもしれないけど。

でも「翔んで埼玉」にそこまで求めません(笑)