地図に興味ない方にとっては

「こんなの調べて楽しいの?」

とお思いでしょうが、

これが・・・楽しい!のです。

 

 

中央区でただ今絶賛頒布中の「沿革図集」をみて

ほかの地域では作ってないのかな?と

1ミリでも興味ある方だけ読んでくだされば結構ですから・・・・

 

 

第3回は「新宿区」

 

新宿区歴史博物館にいくと、

こういうブックラックが何基もあって、さまざまな刊行物が

お手頃な価格(会員はさらに2割引)で販売しているので

ついつい見てしまいます。

 

 

「沿革図集」的なものはここでは見かけなかった気がしたのですが、

サイトを見たら、こんなリストが。

 

 

 

サイズはA4程度ですが、めちゃくちゃ厚いので、重さはほぼ中央区に匹敵します。

 

 

早速、中央図書館に行って、

禁帯出になっていない四谷編(重さ2.26kg)を借りてきました。

 

 

タイトルは違うけれど、内容は完璧に「沿革図集」に匹敵し

旧四谷区に相当するエリアの江戸時代から昭和にかけての変遷を

様々な種類の地図で表現しています。

 

中央区に比べると若干江戸時代に比重が高く、

地図以外の「古文書」資料が充実していて

一般区民よりは研究者がターゲットかもしれません。

 

 

 

ただ、素人が見ても楽しい地図も多く、

たとえばこれは大正2年に四谷見附橋が開通した時の地図ですが

右半分に麴町区(現千代田区)も掲載してくれてるのがうれしいです。

 

全体を載せるために0.72倍に縮小してありますが

細かい番地まで、文字はすべてちゃんと読めます。

 

それから左右の頁につながっている時

綴じの部分は空白にしているのも当然といえば当然なんですが、

そうしてくれていない本も多いんですよね~

 

残念だったことも一応書いておきます。

 

① 古文書などの史料にページを割いているため、それぞれの分冊が重すぎ!

個人的に購入することを考えたら

地図だけにしてくれればいいのに・・・と思ってしまうのですが、

そもそも頒布用に作られたとは思えず、「研究用」「参考資料」の立ち位置のようです。

 

② 最後の発行日が昭和の終わりで、平成以降の資料がなし。

令和でなくてもいいけど、ちょっと古すぎますよね。

 

③ これは個人的に一番残念だったんですが、

新宿区は火保図を積極的に活用している区だと思っていたのに

火保図が掲載されていない!!なぜだっ!!

 

いやいや、これは当然で、火保図の存在が千代田図書館で判明したのが1981年。

この本の発行は1983年なので、それはちょっと厳しいですね。

ちなみに、新宿歴史博物館が火保図を編集して

最初にあの「新宿盛り場地図」をつくったのは1993年になってからです。

 

 

奥付を見ると

発行は区の教育委員会ですが、担当は「中央図書館郷土資料室」

 

昭和58年当時、中央図書館は今の下落合図書館の場所にありました。

このなかにあった郷土資料室の機能が

1989年(平成元)年、四谷三栄町に移転して「新宿歴史博物館」になった

ということなんでしょうね。

旧新宿区中央図書館はなんどか行ったことありますが、

            郷土資料室は気づきませんでした)

 

そして中央図書館も、その後2013(平成25)年に

西早稲田に移転して今に至っています。

 

地図が全部見やすいのも、人文社の「調整」のおかげでしょうか。

 

 

お気づきの方も多いと思いますが

新宿区は無料で配る地図のクオリティがすごく高いんですよ。

見やすいし情報量多いし、企業やお店の広告もなし。

 

 

観光地図は数か国語のものを配っているし、

中心地だけでなく全地区を網羅しているのもスゴイです。

(上の画像には漏れてしまいましたが、

普通の観光客が行きそうもない落合地区のも各言語あります)

 

 

これだけ「地図好き」の区なのに、

「沿革図集」が昭和でストップしているのはちょっと残念。

おそらく、今後は改訂版を出すことなく、

データベースに移行するという方向なんでしょうけど・・・

 

 

 

新宿区史のデータベースはすでにできているようなので、

古地図のほうも、よろしくお願いします。