今公開中の「名探偵ポワロ ベネチアの亡霊」

原作の「ハロウィーン・パーティ」は今までに読んだことがなく

今回は借りてすませてしまったため、

映画を観た後にすぐに読み返せないから、今のうちに

備忘録を書いておこうかな、と思っていたんですけど・・・・

 

「大胆に原作をアレンジした」とは言われていますけど、

むしろ「共通点を探す方が難しい」レベル、だと思います。

 

まだ観てない人があれこれいうのもなんだかな~と思いつつ、

今回は

すでに(原作を読まずに)ご覧になった方にむけて書くことにしますね。

 

 

 

「ハロウィーン・パーティ」の主な登場人物を書き出してみました。

緑で囲ってあるのは「殺された人」です。

 

 

映画でも登場する名前は・・・

① ポワロ

② アリアドニ・オリバー (ミステリー作家でポワロの友人)

③ ロウィナ・ドレイク (原作ではハロウィーンパーティの主催者です)

④ ジョイス・レイノルズ (映画では最初に殺される13歳の少女です)

⑤ オリガ・セミノフ (病死した老婦人の秘書 失踪→実は殺されていた)

 

驚くことに、同じ設定なのは、ポワロとアリアドニ・オリバーの2人だけ。

ドレイク夫人は事件の中心にいる人物ですが、設定が全く違います。

オペラ歌手じゃないし、子どももいないし・・・

 

ジョイスに至っては(霊能者ではなく)13歳の少女ですよ!(原作の表記はレナルズです)

オリガも(ドレイク家の家政婦ではなく)

遺言書の偽造を疑われて後に死体が発見される秘書で

雇い主は亡くなったスマイス夫人です。

 

原作のあらすじをざっくり書いておくと・・・

 

ミステリー作家のアリアドニは、友人のジュディスの家に泊まりにいったとき

ジュディスの娘のミランダが参加する「ハロウィーンパーティ」の準備を手伝います。

主催者は地元の名士ドレイク夫人で、子どもたちをたくさん招待し

その手伝いに大人たちも駆り出されていました。

 

ジョイスという少女がアリアドニを見つけると

「ミステリー書いている人でしょ?私殺人事件をみたことがあるの」

と話しかけてきますが、普段から嘘ばかりつく子だから、

だれも聞く耳を持ちません。

そして、パーティの最中に、ジョイスはゲームでつかう水のはいったバケツに

頭をつっこんで殺されているのが見つかるのです。

 

ジョイスは本当に殺人を目撃して殺されたのか?

付近で起きた過去の未解決の殺人事件を調べるポワロ・・・

 

みたいな話なんですよ。

 

アリアドニはアガサ・クリスティ自身がモデルなんでしょうね。

彼女のエピソードは楽し気でしたが、

なんだか

テレビの2時間ミステリーみたいな話でした。

 

 

それにしても、

映画見てないけど、どこが原作なのか?わかりません。

原作じゃなくて原案だとしても、違いすぎ!

「名前の一致」をのぞいたら、

「近似性」何パーセントいくでしょうね?

 

前作、「ナイル殺人事件」では、

原作の改変に怒り心頭だったんですが、

ここまで別物だと、逆に腹もたたないかも。

 

 

 

前作「ナイル殺人事件」は、あんまり怒ってる人がいなかったから

けっこうマメにつっこませていただきましたが、

実はこれでも足りないくらい。

 

登場人物ひとりひとりの丁寧なキャラ設定や心理描写が

まさにクリスティの小説の肝なんですけど、

3~4人分の設定を同じ人物に集約させたり、

もう、無茶苦茶ですよ!

2時間におさめるための苦肉の策と思いきや

どーでもいい嘘エピソードを追加したりしてました。

 

この時に、次回作は無視することを決めたのですが、

ここまで違うと、どのへんをどうインスパイアされたのか、

逆に気になります。

 

そもそも、ベネチアはどこから出てきたの?

アリアドニとジュディスがギリシャの海で知り合った、

というのは出てきましたが、

イタリアもベネチアも全く出て来ないし、

舞台はイギリス、ロンドン郊外のウッドリーコモン村。

「造園」が後半のキーワードになるので、

ベネチアの海よりこっちが見たい気がします。

 

 

 

デヴィッド・スーシェ版のテレビドラマもあって、

こちらはほぼ原作どおりだそうです。(DVDや配信で視聴可能かは不明です)

 

 

ただ、ドレイク夫人の夫ヒューゴ(事故死)も

ヒューゴの伯母スマイス夫人(病死)も

殺されたことになってるそうで、

こういうのを「改変」っていうんですよね(笑)

 

脚本はマーク・ゲイティス。

『SHERLOCK/シャーロック』の脚本家だ!

 

コナン・ドイルの「シャーロックホームズ」を現代に翻案した

カンバーバッチのBBCドラマ『SHERLOCK/シャーロック』は最高に面白かったけど、

あの変人設定はすごかったですね。

でも、事件のエピソードはかなり原作に忠実でした。

 

ケネス・ブラナーは、これをポワロでやりたかった、

とも思えないのですが・・・