映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」 2023(令和5)年6月30日公開 ★★★★☆

(英語: 字幕翻訳 戸田奈津子)

 

 

1944年、ドイツ

 

ナチスが世界各地で強奪したお宝を積んだ列車の中で

怪しいアメリカ人がドイツ軍にとらえられ、

後ろ手に縛られ、袋をかぶせられているんですが、

袋が外され顔が見えると・・・・

お若いころのハリソン・フォード、いや、インディのお顔でした!

 

 

同じく捕らえられていた同僚の考古学者バジル・ショー(トビー・ジョーンズ)と合流。

このお宝列車の「目玉」で、ヒトラーが一番喜びそうなのは

キリストの磔刑に使われた「ロンギヌスの槍」なんですが

「それは偽物です」

と、ナチスの科学者フォラー(マッツ・ミケルセン)は断言します。

彼が一番価値があるというのが

アルキメデスが発明した「アンティキティラのダイヤル」の片割れ。

 

インディもこれには目をつけていて、フォラーから奪いとり

バジルとふたり、散々危ない目にあいながらも

列車から飛び降りて生き延びます。

 


1969年、ニューヨーク

 

70歳になったインディーはマンハッタンのアパートで眼を覚まします。

月面着陸に成功し帰還したアポロ11号の宇宙飛行士のパレードで世間は大騒ぎ。

マリオンと離婚協議中のインディは、支度を整え鞄をかかえて出勤します。

ハンター校で考古学の教鞭をとるインディ。

優秀な科学者で発明家でもあったアルキメデスの講義をしますが

生徒たちはパレードが気になって集中力なし。一人の女学生をのぞいては・・・

 

この日は退職前の最後の授業だったようで、

同僚たちがサプライズパーティを開いてくれますが

インディは相変わらず不愛想です。

さっきの女子学生が追いかけてきて

「私を覚えてる?ヘレナ・ショーよ!」

 

 

ヘレナはバジル・ショーの娘で、インディは彼女の名付け親でもありました。

父バジルはダイヤルに固執するあまり精神を病んでいたこと

ダイヤルの片割れは大学で保管しているが

バジルは「危険だからこれを破壊しろ」と言っていたことを伝えます。

 

グラフィコスという銘板を見つけて解読し

のこり半分と合体して

「時の裂け目を予測できる装置」が完成するんですが、

「親父と同じバカな夢を追うな!」

ところが、

いきなりそれを奪いにくるヘレナ。

 

ヘレナはすでにCIAから目をつけられており

そのバックにはシュミット博士と名前を変えたフォラーの存在がありました。

              (あらすじ とりあえずここまで)

 

 

 

1984年公開 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(時代設定: 1935年)
1981年公開 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(時代設定: 1936年)
1989年公開 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(時代設定: 1938年)
2008年公開 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(時代設定: 1957)

 

これが過去の4作を(公開順ではなく)時系列に並べてみたんですが、

インディは1899年生まれなので・・・

 

第2作 魔宮の伝説    1935年設定 36歳  (ハリソン・フォードは41歳)

第1作 失われたアーク  1936年設定 37歳  (〃     38歳)

第3作 最後の聖戦    1938年設定 39歳  (〃     46歳)

第4作 クリスタルスカイ 1957年設定 58歳  (〃     65歳)

 

これに本作をあてはめると

2023年公開      1944年設定  45歳

             1969年設定  70歳  (ハリソン・フォードは80歳) 

 

(誕生月や撮影時の年齢まで配慮していないので、

この年齢より-1~2歳のずれがある可能性はありますが)

 

ハリソンと年齢が近かったのは第1作だけで、

それ以降は実年齢のほうが高めですが

ホントに40年間をインディと共に生きてきたんですね。

 

前作ではマット・ウィリアムスというバイク乗りのアウトローな青年が登場し

戸籍上の父はインディじゃないんですが、インディとマリオンの間の実の息子、という

ちょっと訳ありな人物をシャイア・ラブーフが演じました。

 

このシリーズは息子のシャイアが引き継ぐのかとも思われていたのですが

彼のプライベートな問題もあり、

本作での設定では「マットはベトナム戦争で戦死した」

ということになっています。

 

 

とりあえずつづきです(ネタバレですが、正確ではありません)

 

モロッコ、タンジール

 

ヘレナは盗んだダイヤルを特別なオークションに出そうとしていました。

ここまで追いかけてきてたインディはオークションを阻止しようとしますが、

フォラーたちも追ってきて、ダイヤルを奪われ、

さらにヘレナの保釈金を出してやったのに婚約破棄されたラヒムという

地元の金持ちのギャングの手下たちにも追いかけられ

ヘレナの仲間テディ少年と3人で3輪タクシーで逃げまわります。

 

エーゲ海

 

海にもぐって銘板グラフィコスを回収。

ここにもフォラーの追手たちが・・・

 

グラフィコスを解読して、アルキメデスの墓をみつけると

なぜかその時代にはなかった腕時計が・・・!

洞窟の中でダイヤルの片割れを見つけたところでフォラーに奪われ

ダイヤルを合体させたフォラーは時空の裂け目を目指し

追ってきたインディたちもいっしょにタイムスリップします。

 

 

シラクサ(BC212年)


時空の裂け目を超えてやってきたのは、紀元前212年のシラクサ包囲戦。

インディとヘレナはパラシュートで脱出しますが、

フォラーの飛行機は攻撃されて墜落します。

 

アルキメデスがやってきて、フォラーの飛行機から腕時計を回収。

アルキメデスに出会ったインディはこの世界に残りたいといいますが

ヘレナがそれを許さず・・・顔面パンチ!

 

1969年、ニューヨーク

 

アパートの自室で眼をさますと、そこには別居中のマリオンが。

「あなたの居場所はここよ」

ふたりは和解し、ベランダに干してあったフェドーラ帽に手を伸ばします。

                    (あらすじ ここまで)

 

 



人気シリーズの最終回はハードル高くなりますが、

本作は大ファンの人にも、初めて見る人にも

全方向に配慮した完璧な大団円だったと思います。

 

私は、公開当時、アドベンチャーものの映画はほとんど観なかったので

最初の3作はテレビの地上波で村井国夫さんの声で見ただけで

ブログもまだ書いてなかったんですが、

それでも旧作のシーンがときおり蘇りました。

 

 

インディに特殊なスキルはなく、すごいガジェットを持ってるわけでもなく

おなじみのフェドーラ帽に革の鞭、

常に敵に追いかけられていて、巨大ウナギ(ウツボ?)とかサソリとか動物も古典的。

アクションもキレッキレというより、ドタバタしていて

むしろこっちのほうが興奮するかも。

そして良いタイミングで「レイダースマーチ」がかかって気持ちも上がります。

 

今回は、

マリオン(カレン・アレン)やサラー(ジョン・リス=デイヴィス)など

かつての登場人物も同じキャストで

インディと同じように年をとっていて、時代を感じました。

 

裏切り者でお金に目がなくて、暴力的・・・というヒロインも

このシリーズではまあ想定内。

 

 

マッツ・ミケルセンは「007」はじめ、「ドクターストレンジ」

「ファンタスティックビースト」などの悪役で有名になってますが、

「冷酷さ」よりは「真面目さ」「ひたむきさ」が勝ってるような人物で

とっても魅力的。

彼がダイヤルを欲しがっていたのは、1939年8月のシチリアに行って

ナチスの歴史を変えようとしたんでしたっけ?

計算違いで紀元前に・・・って、ちょっと間違いすぎてますけど(笑)

 

 

バジルのトビー・ジョーンズは出番は少なかったけど、

はじめての登場とは思えないほど存在感大きく、

逆に潜水士レナルドのアントニオ・バンデラスは

見どころないまま殺されてしまって気の毒でした。

 

 

で、個人的にネックだった戸田奈津子の字幕。

今回はそれほど思考停止するような珍訳はなかったけれど、

「嘘こくな」

「ブツを受け取った」

とか、昭和のことば大好きな私にも抵抗ある字幕。

 

ほかにもいろいろあったけど、

「フェイブルマンズ」の「おさぼりデー」ほどじゃなかったかな?

 

でも、テンポのいいアクション映画のなかで

一瞬、フリーズするような「老人語」は、ほんとにやめてほしいです。