映画「エコー・イン・ザ・キャニオン」 2022(令和4)年5月27日公開 ★★★☆☆
(英語; 字幕翻訳 渡邊一治)
1960年代から70年代にかけて多くのミュージシャンが暮らし、
互いに刺激を与えあいながら数々の名曲を生んだウェストコースト・ロックの聖地、
ローレル・キャニオンを題材にしたドキュメンタリー。
ボブ・ディランの息子であるミュージシャンのジェイコブ・ディランが製作と案内役を務め、
リンゴ・スター、ブライアン・ウィルソン、エリック・クラプトンら
錚々たる顔ぶれのミュージシャンたちへのインタビューを通し、
ウェストコースト・ロックの誕生と隆盛をひも解いていく。
さらにジェイコブは、ベック、ノラ・ジョーンズ、フィオナ・アップルら
当時の音楽に影響を受けた新しい世代のミュージシャンたちと共に、
ローレル・キャニオン生まれの名曲たちをアレンジしたトリビュートライブとアルバム制作に挑む。
(映画com より)
つい先日観た「ローレル・キャニオン」を違う切り口でえがくドキュメンタリー映画。
まったく疎いジャンルなので、今回は「映画com. 」の紹介を貼りつけて、内容は省略です。
2018年製作ということですが、2017年に亡くなったトム・ペティが出てくるので、
最新の話ではないし、「U-NEXT」で配信でも見られるので、興味のある方はぜひ!
「ウエスト・コースト・ロック」がすきなかたはきっと楽しめると思います。
ここからは、なにもわからないまま、ちょっと前に「ローレル・キャニオン」を見て
調子に乗って「エコー・イン・ザ・キャニオン」も見に来ちゃったオバサンの感想なので
な~んにも参考にならないのを最初にお断りしておきますね。
↑これが、前回の感想。
「ローレル・キャニオン」では、フォトグラファーのヘンリー・ディルツが
第三者の公平な立場から流れを説明してくれたうえに
いろんな人のインタビューがつなぎ合わされます。
ミュージシャンたちは今の(年とった)姿は見せずに、
当時の映像や音楽にあわせて、声だけが流れるというスタイル。
それに対して「エコー・イン・ザ・キャニオン」は、
ジェイコブ・ディランというミュージシャンが「案内役」となって
いろんなミュージシャンと話をしていく(まあ一般的な)スタイルです。
アーカイブ映像は少な目で、ミュージシャンたちの「今の姿」がバッチリ映ります。
いきなりのジャクソン・ブラウン!
彼は今も現役だから別に貴重映像でもなんでもないんですが
私は「ローレル・キャニオン」に出てきたかわいい少年しか知らないから
いい感じに年を重ねていて、「あの子がねえ・・・・」とうれしくなり
まるで、久しぶりに再会した近所のおばちゃん状態でした。
つづいて、デヴィッド・クロスビー。
白くなったけど、髭の形はおんなじ!
いい人なんだろうけど、このそこはかとなく漂う
「非モテ感」はなんなんでしょ!
それにひきかえ、グラハム・ナッシュのイケオジぶりよ!
今もモテモテなんだろうなぁ・・・・
そしてCS&N3人目のスティーヴィン・スティルス。
彼は年とってさらに「クセ強め」になりましたね。
警察に踏み込まれて一人だけ逃げたエピソードには大笑い。
(左から、クロスビー、スティルス、ナッシュです)
ともかく(内容は頭に入ってこないけど)
ちょっと前にみた人たちが次から次へと50年後の姿で現れるから
めちゃ楽しくなってしまいました。
ところで「案内役」のジェイコブ・ディランというのは、(初めて知ったのですが)
ボブ・ディランの息子で自らもミュージシャン。
彼が聞き役で、ずっと年上の大御所ミュージシャンたちが話をしてくれるわけですが
あんまり「質問してる」シーンはなく、話へのリアクションもめちゃ薄いし、
大先輩を前にして、脚くんだり、腕組みしたりもしてますけど・・・・
私は彼の所作が気になって、あんまり話が入ってきませんでした。
この4人がメインで、昔の曲をカバーするんですが、
4人とも無口で、ぜんぜん話が盛り上がらず、むりやり絞り出して話してる感じ。
生放送じゃないんだから、このシーンは編集でもっと短くしてほしかったです。
(つまんない話より、テーブルの上のレコードのほうが気になる人が多いんじゃない?)
ベックなんて「スパークス・ブラザーズ」ではノリノリでスパークス愛を語ってたのに・・・
このテンションの低さはなに?
ただ、演奏はちゃんとしていて、ジェイコブは、パパよりずっと歌もうまいです(笑)
「ローレル・キャニオン」ではビートルズの話もでてきたけれど
「違う世界の人」という感じだったんですが、
本作ではリンゴ・スターも登場して、ここの人たちとの関係の深さを実感しました。
「ビーチ・ボーイズ」もローレル・・・では詳しくなかったのですが
今回はブライアン・ウィルソン本人の登場です。
彼の映画も前にみましたが、ジョン・キューブリックの病んだ演技ばかりが記憶に残って
あんまり楽しくなかったです(ポール・ダノが最後までやればよかったのにね)
ビーチ・ボーイズといえばサーフィン・ロックのイメージですが、
「ペット・サウンズ」は歴史に残る名アルバムで
ビートルズのサージェントペパーズ・・・・に影響を与えた(というかパクられた)
というのがよくわかりました。
最後に「ママス&パパス」の細いほうのミシェル。
世話好きなママキャスのほうがローレルキャニオンでは評価されてたけど
「ゴミ屋敷」とか「だらしない」とかいってミシェルは下に見てたみたい。
冷たいイメージだったミシェルが笑顔のかわいいおばあちゃんになって
50年で一番変わったのは彼女かも。
(でも浮気の話とか堂々としててびっくり)
上映後には、(「スマイル」で有名な)ホフディランの 小宮山雄飛さんと
音楽・映画パーソナリティの 奥浜レイラさんのトークショーがありました。
スマホ撮影OKだったので・・・
客席がほぼ「70代男性」に占められているのを見て、小宮山さんは
「自分がここでしゃべることない。なんで受けちゃったんだろ」と言っておられましたが
トム・ペティ愛を熱く語ったあと、ジェイコブの(聞き手なのにもかかわらずの)
大先輩に対しての徹底した「塩対応」に驚いていました(笑)
4人のシーンでも、「いっさい『まわし』をやらない」のにもびっくりしたと。
「あそこのシーンは全カットでいいんじゃない?」と。そのとおり!
トークショーで作品に文句つけるのって、あんまりないけど、最高!
めちゃ笑いました。
会場が若い人ばかりだったら、「ウエストコーストロックのなんちゃら」を大上段に語れるのに
リアルに知ってる世代に話はできないですよね~
奥浜さんは、ローレル・キャニオンに行ってこられたそうですが
こういうマップで家を巡ることができるわけでもなく、
今は地価もたかくなって、そこそこのお金持ちが住んでいるそう。
ジェイコブの前ではボブ・ディランの話はご法度なのに
本作ではジョークになってたからすごい!これは貴重!
と奥浜さんは言ってましたが、
そもそもインタビューする側にNGがあるのって、おかしいと思うんですけどね。
ジェイコブの塩対応は、私もずっと気になっていて
腕くんだり肘ついたり相槌もなかったり・・・
編集してこの程度なんでしょうかね。
ていうか、聞く気あんの?
本作のレビューでは、「ジェイコブのホストぶり」が評価されているように思えるんだけど、
小宮山さんと意見があって、ホントにうれしいよ~
トークショー参加できてラッキーでした。
本作は、正直、配信でみれば十分だとは思いますが、
私は(わからないなりに)楽しめて満足しています。