いまさらですが、この「事件」・・・・・

 

アカデミー賞の報道は「ドライブ・マイ・カー」の受賞一色になると思ってたら

その日の日本のテレビはこればっかりだったようです。(見てないからネット情報だけですが・・)

 

日本ではあの暴行を「妻を守る夫の行動」として

絶賛する人が多いのに驚きました。

アンケートだと(質問の仕方はいろいろですが)おしなべて7割以上がウィル・スミス支持、

事件直後のTwitterだと9割以上が(同情票もふくむ)支持派でした。

え? なんで?

 

 

 

 

 

 

 

で、支持派はほとんどの人が

「暴力はダメだけど・・・

ただ、言葉の暴力はもっと人を傷つける」といって、

なんか「良いこと言った気でいる」人が多いようです。

「愛する妻を守った」とかね。

 

アンケートのなかで一番 票の格差があったのは

女性を対象にしたもの。

 

 

「自分の旦那さま」という言葉にも違和感ありますが、8割以上の日本人の妻は

「夫が自分を守るために誰かを殴って欲しい」と考えているのです。

192票という調査数が微妙ですが、

日本女性の意識ってこうなの?びっくりだ!

 

「私は弱くて傷つきやすいから守って欲しい」とかいいつつ

男女同権を振りかざすのってズルくない?

 

あと、夫婦はある意味「運命共同体」ではあるけれど

それをそのままスミス夫妻にあてはめるのも間が抜けています。

 

 

一方で、アメリカ国内はじめ、ほとんどの国では

多少の同情票はあるにせよ、彼の行動は非難されています。

(「ウィル・スミス支持」が多いのは日本と韓国だけらしい)

 

これはメディアの「伝え方」にも問題があるのでは?とも思いました。

 

 

(1) そもそも ことばの暴力はあったのか?

 

日本での報道では、彼の暴行の原因について

「妻の病気(脱毛症)をからかわれた」

「病気による髪型の変化を侮辱された」 などなど

 

たとえば、(例えが適切でないかもしれませんが)

「医療用ウイッグをつけてパーティに同伴した一般女性である妻」にたいして

(それを知りながら)公衆の面前で頭髪の話を振ったりしたら、それは「侮辱」です。

 

「クリスはそもそも病気のことを知らなかった」という報道もありますが、

知ってたとしても、最前列にこんな女性が座ってたら、コメディアンとしては

「いじらなきゃむしろ失礼」と考えてしまったのかも?(←これは想像ですが・・)

 

 

ただ、スキンヘッドの女性を「GIジェーン」に例えるのは

坊主頭の男の子に「マルコメ君」というくらいありきたりで、

つまんないレベルの低いジョークであることは間違いないですが、

そもそも「GIジェーン」に例えるのって、侮辱することなの?

デミ・ムーアかっこよかったし、ジェイダも頭の形、完璧で、

だからこそ(ほかに選択肢あるのに)あえてこの髪型にしてるとしか思えないです。

 

「深く傷ついてる」かどうかは本人しかわからないけれど(※)

私には病気(脱毛症)を精神的に克服した「強い女性」にしか見えないんですけど・・・・

 

 

(※) 前髪パッツンにしてきた友人に

「美容院行ったんだ~ かわいいね」といったら、

実は彼女は切りすぎを気にしていて、私のことばに傷ついてしまったのに

私はずっと気づかなかった、ということがありました。

何も言わないのも不自然だし、こういうとき、どうしたらいいんでしょうね。

容姿を口にするのって、難しい・・・・


 

今回彼女が「深く傷ついた」というのは夫のウィルの言い分であり、

ジェイダは(あの時イヤな顔はしていたけれど)特に何もいってないので

「クリスの言葉で傷ついた」のか、ジョークがつまらなくて呆れたのかどうかは不明ですが

こんなに堂々としていて

「実は私は脱毛症のことをめちゃくちゃ気にして悩んでるのに侮辱された」

とかいうのって、(もしそうだとしたら)ズルくないですか?

 

ハダカ同然の姿でレッドカーペットに登場しておきながら

「いやらしい目で見られてセクハラだ」とかいうのに近いです。

 

 

(2) ビンタのあとの放送禁止用語のほうがむしろ罪が重いのでは?

 

彼は殴ったあと、2度にわたって放送禁止用語でクリスを罵倒したため

アメリカ国内の生放送の音声が途切れてしまいました。

(海外ではそのまま流れましたが、さすがに同時通訳では訳されませんでした)

 

会場にいた人たちはこのFワードを聞いてはじめて

「これは演出ではなく事故なのだ」と気づいたそうですが、

これで現場は凍りつき、ステージ上の受賞者はほんとにお気の毒。

 

「アカデミー賞のイベントを一緒に盛り上げるため」にあそこにいた人が

こんなことをして、許されるわけがありません。

 

 

「暴力<言葉の暴力」

と言い続ける人たちは、この彼の

「クリスを罵倒する、放送もできないような人格否定の暴言」をどう説明するのでしょうか?

 

 

(3) ウィル・スミスに選択肢はなかったのか?

 

①殴ることなく言葉で抗議する(放送禁止用語は使わない)→ これがベストですが・・・

②殴ってしまったあと、即、謝る → 見てる人たちは演出かと思うかも

③殴ってしまったあと、即、退場 → この時点でアウトですが、とりあえずイベントは継続でき

                       主催者側とその後のことを話し合うこともできるはず。

 

 

(4) クリス・ロックを処分しろという声

 

「喧嘩両成敗」で、司会者にも罰を与えろ!

という意見が日本では突出して多いのですが、

個人的には彼はむしろ賞賛されるべきと思います。

 

ステージに向かうウィルスミスの後ろ姿しかカメラに映っていませんが

正面はたぶんスゴイ顔をしてたんだと思う。

でもクリスは殴られても

自分の両手は後ろにまわして、全く無抵抗のポーズを貫いています。

これはねえ、けっこう「カッコいい」と私は思ってしまったけど・・・

 

そして殴られたあとも、ともかく場を納めて進行を続け、

笑いまで取ってたのって、プロですよね~

 

「クリス・ロックもちゃんと謝れ」という意見も多いです。

そもそもの発端は自分のことばだから、それに対して

「道義的に責任を感じる」

あと、「ジョークがつまらなかった」というのはあったとしても

絶対に謝ってはダメです。

そうしたら「侮辱する意図」を認めることになってしまいますから。

 

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私の思ってることは明らかに日本では「少数意見」なので

なんかこの先、この国で生きていく自信がなくなってしまいました。

 

共感してくださらなくていいですが、とりあえずブログに吐き出させて頂きました。

 

 

 
 

そうこうしているうちに、先手を打って

ウィル本人がアカデミー会員を辞任したというニュースが来ました。

賞への投票権とかだから、あんまり関係ないですよね。

「主演男優賞を辞退します」とかなら立派だけどさ。

 

 

 

暴行事件の動画はすでに何十回もみてしまいましたが、

鼻の穴をふくらませてFワードを叫ぶウィル・スミスの顔がなかなか迫力あって

イキった街のチンピラがホントに怒ってる顔をしていました。

 

私は彼の映画、かなり観てますけど、こういう顔はみたことないな。

ぜひともこれからの演技に生かして欲しいものです。

 

(追記)

 

アカデミーの処分が8日に出されました。全文を引用します。

 

 

第94回アカデミー賞は、私たちのコミュニティにおいて過去1年間に素晴らしい功績を挙げた人々を祝福するためのものでした。しかし、それらの瞬間には、ステージ上でのスミス氏の予期せぬ有害な行為により、暗い影が落とされました

 

私たちは、該当の出来事について放送中に適切に対処しませんでした。その件に関して、お詫びいたします。ゲストや視聴者、世界中のアカデミー会員の皆さんに対して模範を示すべきでしたが、私たちの対応は不十分でした。前例の無い出来事への対処の仕方が準備できていなかったのです。

 

本日、アカデミー賞におけるウィル・スミス氏の行動にどのように対処すべきか、そして、彼からの退会の申し入れについて協議するため理事会が開催されました。理事会は、2022年4月8日から10年の間、スミス氏に対し、アカデミーが主催する授賞式やそのほかのイベントに対面およびバーチャルでの参加を禁じることを決定しました。

 

私たちは、非凡な事態において平静を保った(クリス・)ロック氏に感謝の意を表します。そして、ホストやノミニー、プレゼンター、受賞者のみなさんの放送中の落ち着いた振る舞いや柔軟性にも感謝します。

 

今日の私たちのウィル・スミス氏の行動に対するアクションは、今後、パフォーマーやゲストを守り、アカデミーの信頼を取り戻すためのより大きな目標へのステップです。これにより、騒動の関係者や影響を受けた人々が癒やしと回復の時を始められるよう願っています。

 
別トピをたてるのもうんざりなので、ここに書きますが、
きわめて常識的な、まあ妥当な処分だったと思います。
 
 

案の定、日本の報道ではの部分に文句言う人がやっぱり多いみたいですが、

(ジョークが面白くもなかったのは確かだけど)

あの冷静な対応のおかげで、最悪の状態にならなかったのだから、

イベント主催者としては、感謝するのは当然のこと。

 

それ以上に、

無抵抗な人物を殴ったうえに、それでは飽き足らずに 

Fワードで罵倒したウィル・スミスは、あそこに座る資格のない人です。

 

 

「両成敗」というなら、もうひとり裁かれるべきなのは

それはクリス・ロックではなく、の人物。

つまり、すぐに彼を会場の外に連れ出さなかった人、

そしてあそこに座るのを許し、主演男優賞を与えるのを許した人物で、

こっちの処分も(あったのかもしれないけれど)ちゃんと発表してほしかったです。

 

つまり、本来、あの瞬間に彼は会場の外に連れ出され、

主演男優賞の扱いは保留にする・・・というのが正しい判断だったかと思います。

この流れだと、剥奪される可能性も高いけど、

繰り上げ受賞したひとは嬉しいのかな?  なんか、ビミョーでしょうね。