映画「フレンチ・ディスパッチ  ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」2022(令和4)年1月28日公開 ★★★★☆

(英語、フランス語: 字幕翻訳 石田泰子)

 



新聞「カンザス・イヴニング・サン」の別冊の雑誌「フレンチ・ディスパッチ」。
創刊者にして編集長のアーサーH(ビル・マーレイ)の急死を受けて
追悼記事が載せられますが、
「自分が死んだらタイプライターも用紙も埋葬し、雑誌は廃刊に」
という遺言があったため、編集長の追悼号は雑誌自体を追悼する最終号となりました。

 

編集長と最終号の記事を書いた4人の記者たち。

 



①(巻頭の)レポート記事

編集長お気に入りの自転車レポーターサゼラック(オーウェン・ウィルソン)は
アンニュイ・シュル・ブラゼの石造りの街を自転車で駆け抜け、
地元情報をリポートします。
地区ごとに 同じアングルでの昔の比較写真を載せつつ、
売春婦や男娼が立つ怪しい地区にも潜入捜査。 

 

編集長から爽やかさや癒しを求められても

治安の悪い場所とかブラゼ川に浮かぶ死体の回収作業とか

そっちに寄ってしまうのがサゼラックのやり方みたい。


②(特集1) 確固たる名作


 美術評論家のベレンセン(ティルダ・スウィントン)の講演の形で

異色の天才アーティスト、モーゼス・ローゼンターラー(ベニチオ・デル・トロ)を紹介します。



 
全裸の女性ヌードモデルを前にキャンバスに向かう画家。
時間がくるとモデルのシモーヌ(レア・セドゥ)は女性看守の制服に着がえ
画家は拘束着をつけられて看守に連れていかれます。

画家はバーテンダー2人を惨殺し、50年の刑を受けたモーゼスで、
女性看守シモーヌをモデルに絵を描いていたのでした。
「はだかのシモーヌ」は受刑者の美術商カダージオ(エイドリアン・ブロディ)の目に留まり
出所後のカダージオは作品を買う契約を済ませ、画材も提供して次回作に期待しますが

待てど暮らせと作品はできず。
数年ぶりに完成した新作はなんと刑務所の趣味室の壁にかかれたフレスコ画でした。

しかも10枚もあって、どれも傑作!
モー夫人の依頼により、趣味室をまるごと軍用機で運び出し

中央平原に「クランペット・コレクション」を作ってしまいます。


③(特集2) 宣言書の改訂

 

 

クレメンツ(フランシス・マクドーマンド)は、その確かな校正の腕を信頼されて

知り合いの息子の宣言書の校正を引き受けることになりますが、

自らのジャーナリスト魂との狭間で悩みます。

 


 

学生運動のリーダー、ゼフィレッリ(ティモシー・シャラメ)はチェスの打ち手で

ゲームをしながら交渉を進めていたのですが、

マニフェストの形式に自信がなく、親の友人でもあるクレメンツに完璧に仕上げてもらいます。

一方クレメンツの目的は学生運動の取材なんですが

私的な感情のほうが上回り、中立を旨とする記者精神からは、このままでいいのか・・・と。

結局セフィレッリは闘争の最中に感電死し、両親が遺体確認に。

その後彼は、革命家としてヒーロー願望の若者たちの憧れの存在にまつりあげられ、

彼の顔のTシャツをきて、同じ髪型をした人であふれます。

 

④(特集3)「警察署長の食事室」



 ローバック・ライト(ジェフリー・ライト)は、アンニュイ警察署長の

お抱え天才シェフを取材するために自宅を訪問しますが・・・・

 

 

 

ローバックはアンニュイ警察署長(マチュー・アマリック)の自宅食事室で

ごちそうを目の前にしたそのとき、1本の電話が署長にかかります。

「(署長の)息子のジジを今誘拐した」と。

犯人は運転手(エドワード・ノートン)と仲間のショーガール(シアーシャ・ローナン)たち。

 

誘拐されたジジはモールス信号で「ネスカフィエを呼んで」とメッセージを送り、

ネスカフィエ(スティーヴン・パーク)は犯人一味のアジトに乗り込んで

ディナーに毒を仕込む作戦を決行。

 

ジジのきらいな大根に猛毒を仕掛けたのですが、

たまたまジョーも(大根嫌いで?)生き残ってしまい、ジジをつれて車で逃亡。

激しいカーチェイスが繰り広げられ(この部分は突然アニメになります)

ジジは無事救助されます。

 

実はネスカフィエ自身も犯人たちから「毒見しろ」といわれ、猛毒の大根を口にしていたのでした。

彼は病院で命拾いしますが

「大根に振った猛毒の塩には素晴らしい味があった」

「今まで体験したことのないような優雅で斬新な味だった」とつぶやきました。 (あらすじ おしまい)

 

 

「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」

って、タイトルだけで既に「大渋滞!」って感じですよね。

 

アメリカのカンザスにある地方新聞社のフランス支社が発行する雑誌で、

亡くなった編集長の追悼文のなかに「(彼の生涯は)1900~1975年」とあったので

1975年のフランスのアンニュイ・シュル・ブラゼ(架空の街)が舞台となっているようです。

 

↑のあらすじを読んでいただくとわかるように、

この作品、ストーリー自体はほとんど面白くないです。

(あらすじだけに短くするはけっこう大変でしたが、これであってるのか、全く自信ないです)

 

じゃあ、つまらない映画だったかと言うと、全く逆で、あと3回くらい観たいな~!

と終わった瞬間に思いました。

 

とにかく情報量いっぱいで、背景や小道具ももっと良く観たいし

上にでてない何人もの有名俳優がカメオみたいにちらっと登場するから、それもチェックしたいのに

セリフの量も多いし、ナレーションも膨大で、それと同じ長い字幕を読まないと話が分からないし、

アメリカの新聞社のフランス支社だから英語とフランス語が錯綜してるし・・・

ほんとうに私の頭の中は、瞬く間に限界を超えてしまいました。

よっぽど頭の回転のいい人、よっぽど感情の切り替えの早い人以外は、結構しんどいと思います。

 

吹替版があればよかったのかもしれませんが、

もし1度で理解しようとするなら、

あえてネタバレの解説を先に読んでおいて、分かった上で細かいところを楽しむ手もありますけど

↑のようなあらすじを読んでも、面白いとは思えず、映画館に行く気がおきるか??

 

ただ実際にみるとけっしてつまらない話ではありません。

ディーテールで魅せる話なので、ざっくりあらすじだと良さが伝わらないんだな~

 

ただ、ティモシー・シャラメの学生運動の話は、あとの2つに比べるとちょっと落ちるかも?

と思ったら、そう感じた人が多いみたいです。

ティモシーとマクドーマントがいっしょのベッドにいるとか、あんまり見たくないし

ジュリエット(リナ・クードリ)って結局何だったの?

 

 

 

 

 

フレンチ・ディスパッチ社の外観は「グランド・ブダペスト・ホテル」のようなレトロな味わい。

前に停まってるクラシカルなシトロエンもたまりません。

 

編集長の机周りや掲示物も気になりますよね~

 

 

この(中央の)人、いつも本読んでるんですが、誰だっけ?

 

 

本棚大好きな私はこの天井までの本棚をずっと見ていたい気持ち。

手前にあるカメラも気になる~! (けど、字幕を読まなければなりません)

 

とりあえず今日はここまで。

あとで加筆訂正するかもしれませんが・・・