映画 「カオス・ウォーキング」 2021(令和3)年11月12日公開 ★★★☆☆

原作本 「心のナイフ(混沌の叫び1)」 パトリック・ネス 東京創元社

(英語; 字幕翻訳 大西公子)

 

 

汚染した地球を発った人類がたどり着いた新天地“ニュー・ワールド”は、

男性は考えや思いが“ノイズ”として現れ、女性は死に絶える不思議な星だった。

その星で生まれ育ったトッド(トム・ホランド)は一度も女性を見たことがなかったが、

あるとき地球から来た宇宙船が墜落し、生存者のヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会う。

トッドはヴァイオラを捕らえようとする者から彼女を守ろうと決断する。(シネマ・トゥデイ)

 


2057年、地球を捨ててやって入植したニューワールドでは
男たちの思考はノイズとなって顕わにされてしまっています。
トッド・ヒューイットは入植者の最年少の少年で、親はなく、
親代わりのキリアンとベン、それに愛犬のマンチーが家族です。
ここプレンティスタウンを率いる首長プレンティスだけがノイズをコントロールでき
彼の思考は他には伝わりません。

ある日、トッドは墜落した宇宙船を発見し、生存者の女性を発見します。
ヴァイオラという名の彼女はトッドが初めて見る女性で、ノイズが全くありませんが
なぜか英語が喋れるので、会話はできます。
ヴァイオラは地球から4000人規模の宇宙船でやってきて
数人が偵察船で降り立つ予定が、大気圏を突入したさいに炎上。
ただ、首長のプレンティは彼女が本船と交信することを許さず、
危険を感じたヴァイオラは逃げ出します。

トッドは有能で寛大な首長を尊敬していて、

逆らいたくないと思うものの、

彼女を見捨てられずに、護りぬくことを心に決めます。
ベンとキリアンも賛成し、もうひとつの入植地ファーブランチに逃げるようにいわれます。

護る気満々のトッドですが、ノイズのために所在や目的地がバレ、むしろ足手まとい?
それでも大捜査隊をかわして、山を駆け川に流され、

マンチーもいっしょに、ひたすら逃げていきます。

(プレンティスタウンの女性たちを皆殺しにしたといわれている)先住民のスパクルに見つかり
トッドはナイフで殺そうとしますが、意に反してスパクルは好戦的ではありません。

 


 

さらに進むとファーブランチの集落があらわれますが、
そこには女性も小さい子どももいて、自分たちの集落とは大違い。
プレンティスタウンとは敵対しているので住民たちには警戒されますが、
女性首長のヒルディが自宅にかくまって、風呂や着替えや食事をあたえてくれます。

トッドは荷物のなかに(ベンに持たされた)亡き母の日記をみつけます。
字の読めないトッドにかわってヴァイオラが読むと・・・ (あらすじ とりあえずここまで)

 

 

 

 

ノイズは思っていることが音で聞こえるだけでなく、

頭から煙のようなものがでて、可視化もされるのです。

つまり、思っていることがダダ洩れで、

トッドがヴァイオラのことを考えているのがバレバレなわけです。

「キスしたい」とか思ってるのがバレちゃうほうも、わかっちゃう方も

気恥ずかしいったらないです。

「サトラレ」のように人の心がわかるのって、

便利な部分もあるかもしれないけれど、うっとうしいだろうな。

「切り替えスイッチ」が欲しいよね・・・とか思いながら観ていました。

 

トッドはノイズをコントロールできないので、

知られたくないことがあるときは

「ボクの名前はトッド・ヒューイット・・・」とぶつぶつ言いながらごまかします。

 

男たちは声を出さなくてもノイズを発するので、隠れることもできず、

夢もまたノイズになるので、男たちの寝室はめちゃくちゃうるさいです(笑)

 

原作本ではこんな感じで表現しています

逆に可視化されたノイズをコントロールできれば、存在しないものでも

はっきりと像を結ぶことができるようで、敵を欺け、便利なこともあります。

 

あらすじ、つづきです(ネタバレ)


母の日記を読むと、
女たちが先住民スパクルに虐殺されたというのは嘘で、
犯人は首長とアーロン牧師だったことがわかります。

ノイズをもたない女たちは本心が分からず、統率しづらいからのようです。


やがて、トッドたちが来た時の宇宙船の残骸を発見。
これで宇宙船と交信を試みるも接続できず。

トッドが外でアンテナを直していると、首長たちに追いつかれてしまいます。

首長は ベンを人質にヴァイオラを出せと脅しますが、
ノイズを使って首長に殺された女性たちの幻影を出して首長を責め立てます。


トッドも撃たれて瀕死の重傷を負いますが
やってきた宇宙船の本船に救われ、やがて目を覚まします。       (あらすじ、ここまで)

 

 

 

愛犬のマンチーもいっしょに逃げるんですけど、↑

犬もノイズを持っているので、考えていることもわかり、ホントに「親友」!

あまりにタイミングぴったりに動くので、最初CGで制御されてるのかと思ったくらいです。

仕草もかわいいし、「パルム・ドッグ賞」をあげたい!

私は別に犬好きではないので、あんまりこういうこと書かないんですが、

過去の犬のキャストのなかでは群を抜いてベスト・ドッグだったと思います。

 

トッドが13歳の設定の原作よりはマンチーの登場機会は少ないんですが、

それでも、アーロン牧師に殺されるところとか、悲鳴をあげそうになりました。

私でさえ衝撃が大きくて、次のシーンの記憶がないくらいだから、

子どもたちはもっとショックだと思いますよ。(マンチー殺されなくていいんじゃない?)

 

 

25歳のトム・ホランドは若く見えるけど、映画の方はさすがに13歳設定ではないと思います。

 

 

首長の息子は、映画ではトッドと同じくらいに見えたけど、原作では保安官でした。

だからミッツ・ミケルセンの役も原作ではもっと長老っぽいおじいさんなんだと思います。

同じく、ファーブランチの首長も、原作では「老女」でした。

映画では年代をあげた、というより、キャストが先に決まって

それに脚本をあわせたような気がします。

 

けっこうハードな格闘シーンのある逃亡劇だったのに

長編小説の「冒頭部分」ということもあって、やや物足りなさを感じました。

おどろくほどの豪華キャスト陣だったのに、

いちばんよかったのが「犬」というのもなんだか・・・

 

 

ところで、これ、池袋HUMAXシネマズで観たんですが・・・

 

入会してひと月ちょっとで6ポイントたまって、ポイント鑑賞できました。

 

3本しか観ていないのに

入会時に +1

2ポイントつくときに観て  +1

アンケートに答えたら  +1

 

なんて効率いいんでしょ!