映画「私は確信する」 2021(令和3)年2月12日公開 ★★★★☆

(フランス語; 字幕翻訳 丸山垂穂、 字幕監修 島岡まな)

 

 

3人の子供たちを残して行方不明になった妻スザンヌ・ヴィギエの殺害容疑で、

夫である大学教授のジャックが起訴される。

彼の無実を信じるシングルマザーのノラ(マリナ・フォイス)は、

腕利きの弁護士デュポン=モレッティ(オリヴィエ・グルメ)に弁護を直訴し、

自らアシスタントとなって事件の調査を開始。

刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人らの証言はそれぞれに食い違い、

やがて新たな疑惑と真実が浮かび上がる。        (シネマ・トゥデイ)

 

2000年2月27日

フランス トゥールーズで、38歳のスザンヌ・ヴィギエが失踪します。

遺体は見つからず、事件性があるのかも不明。

夫のジャックが容疑者となるも、動機も不明で決定的な証拠もありません。

2009年の一審では無罪となるも、検察が控訴したため、

ジャックは再び被告人席につくことになります。

 

一方、ノラは一人息子のフェリクスを育てるシングルマザーの料理人です。

フェリクスの家庭教師のクレマンスはジャックの娘で、母が生きていることと

父の無実を信じていますから、ノラはなんとしても力になりたいと考えています。

 

「これは冤罪よ、弁護を引き受けて!」

やり手弁護士のエリック・デュポン=モレッティのもとを何度も訪ねるも、当然門前払い。

それでも自作の事件の調査資料を携えて執拗に食い下がるノラの熱意に負けて、

モレッティは弁護を引き受けることに。

 

「君の記録は力作だが法廷では使えない。

かわりにこれを文字起こしして」

モレッティがノラに渡したのは250時間にも及ぶ通話記録を収めたCDROMでした。

「スタッフはほかの案件で忙しいし、誰よりもこの事件に詳しい君の方が適任だ」

 

通話記録は未整理で、誰が誰にあてたものかもわからず、作業は困難を極めましたが

ノラは不眠不休で声の主を特定し、付箋で分類整理していきます。

「クレマンスのパパに協力するからスキー合宿につきそえない」

「だいじょうぶだよ」

作業のしわ寄せはレストランの仕事や幼いフェリクスに向けられていきますが

とにかくノラは文字起こしに夢中になって、他が見えなくなっていきます。

 

そして調べるうちにノラは、

スザンヌが失踪直前に会っていた愛人のオリヴィエ・デュラントの通話内容に

強い違和感を感じるようになります。

デュラントはジャックが殺人犯でまちがいないと繰り返し、

それを前提に彼が不利になるような証言を誘導していたのです。

それは証人になりそうな人たちへの根まわし行為です。

 

「ジャックを自白に追い込むためには

子どもたちを苦しめることになっても、それはしかたない」

娘のクレマンスの辛さを知るノラにはそれは我慢のならない言葉でした。