映画「 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」 令和2年8月21日公開 ★★★★★

(英語; 字幕翻訳 高内朝子)

 

 

親友同士で成績優秀な女子高生エイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は、

卒業式前日、遊び放題だったクラスメートがレベルの高い進路を決めていることを知って衝撃を受ける。

二人は勉強一筋で青春を犠牲にしてきたことを後悔し、

残り少ない学園生活を謳歌(おうか)すべく卒業パーティーに繰り出すことを決意。

そんな二人の波乱の一夜が幕を開ける。                           (シネマ・トゥデイ)

 

生徒会長のモリーはエール大学への進学が決まっており、勉強漬けの高校生活も明日で終わり。

同性愛者で社会貢献に熱心なクラスメートのエミリーとつるんで、マイペースで生きてきました。

エール大学にいって連邦判事になり、最後は尊敬するルース・ベイダー・ギンズバーグと同じく

最高裁判所の判事になるのが夢のモリー。

 

ところが、卒業式を目前に、チャラい副会長のニックをはじめ、

パーティ三昧でろくに勉強していないと思っていたクラスメートたちが

みんな偏差値高い大学や一流企業に進路を決めているのを知ってショックを受けてしまいます。

「勉強以外の楽しみを捨ててきたのに、私たち、バカみたい」

 

高校生活最後の夜、みんなニックの叔母さんの留守宅に集まってパーティするといってますが

ふたりのところへはお誘いもなし。

「よし、一晩で高校生活を取り戻す!」

エミリーはさほど乗り気でなかったのですが、片思いのライアン(女生徒)も来ると聞いて

モリーにつきあうことにします。

 

ところが、肝心のパーティ会場がわからず。

ジジとジャレドの豪華な船上パーティとか

ジョージやアランの「殺人ミステリーの会」とかいろいろ寄り道しながら

ようやくニックのパーティ会場へ到着!

さて、ふたりは高校最後の夜に青春を取り戻せたのでしょうか?? (あらすじ とりあえずここまで)

 

 

 

いわゆるコメディタッチの「学園ドラマ」って、古今東西問わずに

「ほぼワンパターンのステレオ型」っていう印象があります。

「レディ・バード」とか「スウィート17モンスター」とか、こじらせJK映画の名作といわれるものでも

切り口は新しくても、クラスメートの設定とか、見た目でほぼ分かったんですけど

本作はなにもかもが想定外。

ストーリー自体は「がり勉女子が卒業式前夜に羽目をはずす」っていう、

なんともありきたりの話なんですけどね。

 

まず、LGBTに学校がめちゃくちゃ寛容で、カムアウトに関わらず

誰を好きになってもそれは自由だと誰もが思っているんですね。

家庭でも、エイミーの両親は、娘が同性愛者だとしってても自然にふるまい、

モリーがその相手だと勘違いしているくらい。

学校のトイレが男女いっしょなのにも驚きましたが、

むしろこの方が盗撮とか性犯罪とか抑制されるのかもね。

 

これが個性豊かなクラスメートたち。(左上のおじさんはブラウン校長です)

 

 

④トリプルAは、遊び人なのにモリーとおなじエール大学に入学が決まっていて

けっこうかわいいし、スクールカースト最上のいやみな女?と思っていたら

そんなことないいい子でしたね。

 

⑩ニックは、「全然使えない生徒会副会長」だと思ってたのにジョージタウン大学に進学が決まって

驚いたことにあのモリーの片思いの相手だったとは!

 

①ジジもハーバード大。ただ彼女は平常時でも奇行が多い 残念セレブの印象

 

③ジャレドはそんなジジのお世話係。ほんとに気配りの人です。

 

⑨タナーは日系のスケートボーダー。誰からも好かれそうな子で、サッカーでスタンフォード大へ。

 

⑤ジョージはグザヴィエ・ドランを思わせるようなゲイの演劇部部長。

 

⑥演劇部員のアランは脚本通り男女問わずどんな役でも演じ切ります。

 

⑧テオは2年も留年しているのに、グーグルにスカウトされて入社が決まっています。

 

⑦ライアンはエミリーの片思いの相手なのにプールのなかでニックと抱き合っているのを

エミリーが目撃してしまいます。

 

ショックをうけたエミリーは、トイレのなかでレズビアンの

②ホープとそういう関係に・・・・・

 

そして主役のふたりは、エミリーがレズビアンでモリーがノーマルなのにこんなに仲良し。

 

毎朝ふたりはエミリーの車で登校するんですが

車に乗る前に、意味なくロボットダンスみたいなのを踊っています。

 

 

このふたり、実際はこれだけ体形に違いがあるんですけど

作品のなかではそれを感じさせるようなところは全くありませんでした。

ビーニーフェルドスタインが「レデイ・バード」のなかで演じたジュリーという女子高生は

おデブで非モテだけど、クリスティンにはいつもやさしくてあったかい親友でした。

 

 

学園ドラマに必ずひとりはいる「デブキャラ」はだいたいヒロインの引き立て役と決まっています。

 

若いころそんなのをたくさんやって、

メリッサ・マッカーシー(49歳)くらいのキャリアを積めば、ようやくいろんな役が来ますけど

レベル・ウィルソン(40歳)とかエイミー・シューマー(39歳)くらいの年齢になっても

だいたいワンパターンのキャスティングがされているような気がします。

 

本作のなかでは、性の嗜好だけでなく、体形とか容姿とか、

そういうのが全くボーダレスなのが、めちゃくちゃ新しくて、目の覚める思いでした。

 

笑えるシーンも多くて・・・・個人的にはバービー人形のくだりで大爆笑。

 

たしか、ジジのくれたイチゴのなかにドラッグがはいってて

しばらくして完全にトリップしてしまい、

脳内では、自分たちがバービー人形になってるんですが

(たしかエイミーが左で「田舎の若い女」モリーが右で「子なしの歯科矯正医」)

卑猥なポーズとらせたりして遊んでるのがめちゃ懐かし~!

元女の子はだいたい経験があると思います(笑)

 

 

ニックのパーティ会場を探すのに

「ピザを大量注文しているはず」とピザの配達員に聞くことを思いついたのは名案ですが

髪の毛をマスクにしてドライバーを脅迫するとは!

RBG目指してる優等生とはとっても思えません。

 

 

タイトルの「ブックスマート」は「ストリートスマート」の対義語で

経験値はないけど、とりあえず本を読んで知識から攻める人のことです。

ただ、このふたりが「優等生らしく知識を生かして」というシーンは皆無。

(ドライバーにバレないようにいろんな外国語で会話してたくらい)

 

スマホの充電が切れるとなにもできなくなる・・・というのも情けなくて

なにか知恵をしぼってほしいところですが、

今の子たちはそんな感じなのかな?

 

思い出せないけど、もっと笑ったところたくさんあったような気がします。

本作は当初見る予定なくて、

ただシネクイントの応援のために行ったようなものなんですが、

いやいや、予想をはるかに超えた完成度でした。★★★★★

あのクールな美人女優のオリビア・ワイルドの初監督作品だとは!

才能ありますね~!

 

それから、「ジョナ・ヒルの妹」という肩書がもういらなくなったビーニーは

本作でゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされているんですよね。

(脚本賞ノミネートもありだと思いましたが)

 

コロナの影響もあり、受賞作やノミネート作でまだ日本公開されていないものは

どのくらいあるんでしょ?

あしたおさらいをしてみたいと思います。