映画 「ハスラーズ」 令和2年2月7日公開 ★★☆☆☆

(英語、 字幕翻訳 柏野文映 )

 

 

デスティニー(コンスタンス・ウー)は、母に捨てられた自分を育ててくれた祖母の面倒を見るために、

ストリップクラブで働き始める。

先輩ストリッパーのラモーナ(ジェニファー・ロペス)やダイヤモンド(カーディ・B)から仕事のノウハウを教わり

生活は安定するが、リーマン・ショックが起きて世界の経済が揺らぎ、

彼女たちの仕事も不況のあおりを受ける。

ある日ラモーナが、経済危機を引き起こしながら裕福な生活を送るウォール街の金融マンから

大金を奪おうと仲間に持ち掛ける。                                (シネマ・トゥデイ)

 

 

2007年、ニューヨーク。

ストリップクラブ「ムーブス」では、ドリームチームのステージがはじまり、観客は大盛り上がり。

半裸のなまめかしいダンスもあるけれど、アップテンポな音楽にのせて

ポールダンス主体の、けっこうアクロバティックなパフォーマンス、という感じ。

なかでも、スターのラモーナのダンスはゴージャスでセクシー。

新米ダンサーのデスティニーもうっとりしてしまいます。

 

デスティニーは自分を育ててくれた祖母との生活費を稼ぐため、

体ひとつで頑張ってるアジア系の女性。

このクラブでは「女の子にカードを渡せば好きなことができる」システムで

指名してもらって座席や個室でクネクネサービスをして、それなりのサービス料をもらうんですが、

店へのキックバックとか、ボディーガードみたいな男たちの取り分を差し引くと

残りはほんのわずか。  まさに「搾取されてる」って図式です。

 

ある日、デスティニーがビルの屋上に行くと、あこがれのラモーナがタバコを吸っており

「寒いからここに入りな」

と、一緒に高そうな毛皮のコートのなかにいれてくれます。

「売れっ子になる秘訣はなんなの?」と聞くと

「客は金持ちの友だちだと思えばいい」といいます。

デスティニーに対しても

「あんただって、金の道にしたがってここに来たんでしょ?儲けなきゃ!」

「ニューフェイスでアジア美女なんて、最強じゃん!」

「私たちコンビを組めばいいかも。私がいろいろ教えて、常連客に紹介する、どう?」

とまで言ってくれました。

 

 

そして、ラモーナとベテランダンサーのダイヤモンドから、ダンスの特訓を受けたり

男のあしらい方、大金を稼ぐ術なとがデスティニーに伝授されます。

 

「仕事で不正しない男は貢いでくれない」

「独身で自信喪失とか、離婚したてで傷ついてる男はねらい目」

「CEOやCFOなんかは、専用エレベーターでカメラをさけて個室へ。

尊大で強欲だけど、一晩で1万ドルばらまいてくれる。

たまに暴力沙汰になっても取り巻きがしりぬぐいするから問題にならない」

 

メルセデス、トレイシー、リズたちとも親しくなって、荒稼ぎし、祖母との生活も安定し

余裕のできた彼女たちはあちこちで豪遊します。

ただステージの上に撒かれるチップは1ドル札ばかりなので

小銭をかき集めてルイヴィトンで買い物するのが笑えますが・・・・

 

ところが、2008年のリーマンショックがウォールストリートのビジネスマンたちを襲うと

クラブにお金を落とす人はめっきり減ってしまいます。

デスティニーは仕事を辞め、結婚して娘を出産しますが、

結婚生活はすぐに破綻してしまいます。

娘と祖母を抱えて、稼がなければ、となりますが、

高卒認定後、まともな仕事についたことのなかった彼女に仕事はなく、

仕方なく「ムーヴス」に戻るのですが、そこはロシア人ばかりで

低価格で前より過激な性的サービスをしてくれるコスパ高い(?)クラブになってしまっていました。

 

ラモーナも店を辞め、メルセデスとジーンズショップの売り子をしていましたが、生活は苦しく

若いアナベルを誘って、まだ男相手のビジネスを再開し、

これにデスティニーも加わります。

わざと泥酔させて、クレジットカードを使わせるという、ぼったくりの犯罪なんですけどね。

 

悪徳ビジネスは順調にいくのですが、

ダグという客のもっている法人カードを限度額いっぱいまで使わせてしまったため、

仕事も失い住宅ローンも破綻してしまった彼は警察に通報、

その後の潜入捜査で、あっさり4人とも逮捕されてしまいます。      (あらすじ ここまで)

 

 

「ハスラー」というポール・ニューマン主演の昔の映画もあって、

この言葉はビリヤードをする人、という認識だったんですが、

「詐欺師」とか「売春婦」という意味もあるそうで、まさにこの映画を表しています。

 

この4人が主要キャストで、

左から アナベル、ラモーナ、メルセデス、そしてデスティニー。

人種も様々な最強女子4人組、みたいで、これを見たら

なんとなく「オーシャンズ8」みたいなメンバーのスキルを活かしたワンチームもので

男たちを痛快にやっつけていくのかな?なんて期待してしまいますが、

彼女たちはとくべつな能力があるわけでもなく、ただのぼったくり犯罪集団です。

あえていえば、アナベルの「すぐに吐く」という特技?くらいです。(これ、要るか?って思いますが)

 

 

最初の「ムーブス」でのステージや楽屋でのダンサーたちの体やパフォーマンスはものすごくて、

いやらしさより、おばさんの目からみても、ただただ「うひょー!」という感じです。

コンスタンス・ウーはアジア女性としてはセクシーなのかもしれないけれど、全然見劣りしてしまって・・・

まあ、好みはいろいろでしょうけど、そういう人たちにアピールしていく、って話でもありませんでした。

 

要するに、リーマンショック以降、ふつうのストリッパーでは生きていけない女たちが

スケベ男たちを店に連れ込んで、酔わせて散財させて店からのキックバックを受け取るという犯罪もので、

だんだん酒に薬を混ぜたり、カードの暗証盗もうとしたり、悪質度がアップしてきます。

すぐにつかまりそうな感じですが、

泣き寝入りしそうな男を選んでやってるので、全くバレず、むしろ忙しいくらい。

4人では回らず、ドーンというドラッグ中毒の前科者をいれて

メルセデスは彼女の身元引受人までやってしまいます。

 

また、金を巻き上げたダグという男からデスティニーのところに電話があり、

金を返して欲しいといわれて、思わず会話をしてしまうのですが、

このときの録音が証拠となって、警察に目をつけられ、

また、薬物で逮捕されたドーンにも裏切られて、結局、4人とも逮捕されてしまいます。

 

犯罪やってるんだから、つかまって当然なものの、なんか逆転劇があるかもしれないと思いましたが、

特になにもなし。

幼い娘のために刑務所にはいりたくないデスティニーは司法取引をして刑を免れ、

結果的にラモーナたちを「売る」ことになってしまいますが、

ラモーナはデスティニーとの写真を常に持ち歩き、友情が裏切られたとは思っていない・・・

と、最後はちょっといい話になっていましたが。

 

あと、デスティニーの祖母なんですけど、

孫のビジネスが上手くいって、生活に困らなくなったのはいいとしても、

毎日大金をもってくるようになった時点で心配しろよ!って思いますが、

派手なパーティに呼ばれたりしても、けっこうはしゃいでいましたね。あーあ・・・

 

 

ジュリア・スタイルズ演じる記者のエリザベスが、デスティニーにインタビューする

2015年の現代パートがたびたび割って入るので、それほど単調には見えなかったけど、

話の展開はかなり期待外れなものでした。

 

とにかく、唯一で最大の見どころは、50歳のジェニファー・ロペスのストリッパーぶり。

ダンスとか楽器の演奏とかだったら、そこそこの練習である程度ごまかせるかもしれないけれど、

スタントなしのポールダンスは、筋力と柔軟性がごまかしようもなく、ただただ驚きました。

 

同僚ストリッパーたちも、劇場映画の女優ではないので私にはわからなったけれど、

テレビドラマの有名女優だったり、人気ミュージシャンだったり、大物をそろえたみたいですよ。

 

ジェニファー・ロペスも、名前はめちゃ有名ですが、

よく考えたら、ジェイソン・ステイサムと共演した「PARKER/パーカー」だけしか観てないことに気づきました。

でも、彼女は思ったほど映画には出ていないんですね。

50歳にしてストリッパー役でキャリア最高の演技!といわれるなんて

かっこいいですよね~!