映画「初恋~お父さん、チビがいなくなりました」 令和元年5月10日公開 ★★★☆☆

原作コミック 「お父さん、チビがいなくなりました」 西 炯子 フラワーコミックスアルファ 小学館

 

結婚して50年が経過し、

亭主関白な夫・勝(藤竜也)と共に3人の子供を育て上げた有喜子(倍賞千恵子)は、

猫のチビと平穏な暮らしを送りながらも、ある不安を抱えていた。

ある日、有喜子が娘の菜穂子(市川実日子)に離婚を考えていると言いだし、菜穂子は動揺する。

そんなとき、有喜子の心のよりどころだったチビが姿を消してしまう。            (シネマ・トゥデイ)

 

 

子どもたちが独立し夫婦二人暮らしとなった老夫婦の話。

夫マサルは70歳を超えてもまた週に2回くらいサラリーマンをしていますが

休みの日も近所の碁会所に行ってしまうから妻のユキコはいつもひとりきり。

夫の脱ぎ捨てた服を拾って歩き、お茶を入れ、弁当をつくり、まるで使用人です。

楽しみは韓流ドラマに胸をときめかすことくらいで、話し相手は猫のチビだけ。

おまけにマサルが独身時代のユキコの同僚のシズコとこっそり会っているのに気づいて

心穏やかにもいられません。

 

そんなある日、チビが姿を消してしまいます。

ペット探偵まで雇って必死で探すユキコでしたが、

マサルは「もう死んでるから探してもしょうがない」と、冷ややかな扱い。

そしてある日、ユキコはマサルにこう言います。

「私と離婚してください」                               (あらすじ ここまで)

 

熟年離婚の話といえばそれまでですが、コメディタッチのドタバタ劇ではなく、

テンポは悪いけれど、とても生活感のあるドラマになっていました。

特別面白くはなかったけれど。

 

とにかく時代錯誤の亭主関白ぶりで、ユキコは妻というよりサーバント。

団塊の世代より上だとめずらしくないかもしれないけれど、

今の70歳はもう少しフェミニストだと思うけど・・・・

でも、「家族はつらいよ」のあの夫婦よりは現実的で、

面白おかしく描いていないのは好感が持てました。

マサルだって年金もらえるのにちゃんと働いているし、身ぎれいにしているし、

一応ありがとうもいえるし、世間には若くてももっとダメなやつはたくさんいます。

ただ、ユキコがペット探偵に「私の財布から10万円払った」というのを聞いて

「元をたどればオレの稼ぎだ」といったのは余計でしたが・・・・

 

「夫が全く家事ができない」というのは、妻がちゃんと教育しなかったというか、

上手に教えられなかったということで、ちょっとは責任があると思います。

どうやら長男(多分40代)も全く家事ができないみたいで、

これは完全に育て方を間違ってますよね。

・・・・なんてことを、ぼんやり考えながらみていました。

 

ころあいを見計らって(?)チビも家に戻ってきてめでたし、めでたし。

 

まあ想像通りの展開で、可もなく不可もない映画でしたが、

このDVDを借りようとした理由は、ユキコが独身時代に働いていて

マサルとの出会いの場でもあった

「渋谷駅構内のミルクスタンド」というのが気になったからなのです。

 

 

「昭和40年代の駅のミルクスタンド」

コンビニのなかった時代のサラリーマンの朝の補給源でした。

今もある秋葉原の乗り換え口の店なんかは有名ですが、

渋谷は記憶になく・・・でも多分あったんだろうし、

私が毎日渋谷駅を利用していたのはもっと後でしたが、

「懐かしい渋谷駅を再現しました」というプロモーションがずっと気になっていました。

 

 

ただ、本編をよく観察しても、予告編以上の情報はなくて、それは空振りに終わりました。

だいたい渋谷に「東南改札口」なんてなかったですよね。

 

 実は、このころの渋谷駅構内の地図を何年か前に見つけて

パソコンに保存しておいたので

それと比べようと思ってDVDを借りたんですが、

買い替えのときに保存したUSBメモリが見つからず・・・

何時間も探しています。

でもそれ以前に、映画のセットは「忠実に再現」したわけではなく

なんとなく、「適当にそれらしく作りました」って感じだったので、無駄のような気がしました。

 

古い映画の中の渋谷駅は、たいていハチ公やバスターミナルとかで

駅の構内はあまり見当たりません。

それでも探す価値はあるかもしれません。

 

ところで、↑の画像にも写っている「銀座線のりば」ですが

銀座線の新しい駅舎の供用が1月3日から開始しました。

ホームは広くなっていい感じですが、案の定、

乗り換え動線が最悪だというニュースでもちきり。

 

 

とくに井の頭線との乗り換えに、今までの倍以上の時間がかかる・・・と言われていますが、

同じメトロ同士の遠さがありえないです。(これは旧ホームの時からそうでしたが)

 

そもそも「銀座線渋谷駅」って必要なんだろうか?

とりあえず銀座線は表参道どまりにして、

余裕のあるときだけ半蔵門線の線路を使って地下のホームに流せばいいのに・・・

そして東急デパートの建て替えと一緒に新駅舎を作って、きちんとした動線を確保したうえで

「銀座線渋谷駅」を開業すればよかったのにな、と思います。

 

(後述: 銀座線は東京メトロのほかの線より軌道の幅が広いため、半蔵門線は走れないそうです。

当然、井の頭線とかほかの私鉄と乗り入れることも無理。

同じメトロの線を走れないのって、いろいろ不便なような気がしますが・・・

そんなオワコンぽい路線にあの近未来型ホームはそぐわないような気もしますね)

 

ひとつ間違いなく言えるのは、

渋谷の再開発は「商業施設に金を落とさせるためのもの」だということ。

開店前の朝の通勤ラッシュの人の流れとか、通り過ぎるだけの人のことは頭にないのかもね。

 

・・・なんて思いながら、ネットを眺めていたら、こんな画像を見つけました。

 

 

おお!1960年代のリアル渋谷駅東横ボードです。

左が銀座線(降車口) 右が東急東横線、

正面の通路の先にはあの東急文化会館があり、そのまま直進すれば地上に出られます。

(ここが今と一番違うところ!)

 

そういえば、映画に出てきた画像では、右方向が東南改札口(多分国鉄)

左方向が銀座線のりば(乗車ホーム)、正面階段を上ったさきに東横線のりばだったけれど

(方向はともかく)銀座線のほうが上にないとおかしいような・・・・?