映画 「アイリッシュマン」 令和元年11月27日配信開始 ★★★★☆
原作本 「アイリッシュマン(上・下)」 チャールズ・ブラント 早川文庫
(英語 字幕翻訳 不明)
1975年、全米トラック運転組合「チームスター」のリーダーであるジミー・ホッファが忽然と姿を消した。
その失踪事件に関与した疑いをかけられたのは、
伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えていた殺し屋“アイリッシュマン”ことフランク・シーランだった。
第二次世界大戦後の混沌としたアメリカ裏社会を背景に、シーランの数十年にわたる物語が描かれる。
(ムービー・ウォーカー)
Netflixのお試し会員になりました。(もちろんそのまま会員になるつもり)
とにかく月額800円からで観られるラインナップがすごい!
配信で映画を観るなんて邪道!というスタンスは変えるつもりないけれど、
これはもうスルーはできないですよ。
「アイリッシュマン」と「ルディ・レイ・ムーア」はすでに配信されていたので
即「マイリスト」へ。 これでいつでも見られます。
「マリッジ・ストーリー」も金曜日には配信されるとか。
「アイリッシュマン」は劇場公開もされていますが、スクリーン数は少ないし、
それ以上に3時間半はなかなかきついですよ。(近くのシネコンだと終了時間23時すぎ)
それを家に居ながらに観られるのは、映画館好きな私にも魅力的。
それに比べたら、WOWOWの2,530円は高いよなぁ・・・・
夫が錦織目当てに入会したものの、ずっと試合に出てないから、
今では、私が土曜日の夜に「BULL3」を観てるだけで、
12月の番組表でも観たい番組ほとんどないし・・・・
それをいったら、NHKBSなんて、内容からいったら許せない価格ですよね!
映画館には今まで通り行くけれど、WOWOWかDVDの宅配レンタルを辞めて
こっちにシフトしようかと思っている今日この頃です。
前置きが長くなりましたが、「アイリッシュマン」です。
3時間半の長尺なので、ストーリーを書いていく元気はないですが、概略だけ・・・
老人となったアイルランド系の元殺し屋、フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)が
自分の半生を語る形で物語は始まります。(現代シーンは2000年くらい?)
そのあと、70年代→50年代と、一気に半世紀くらい遡ります。
つまり30代くらいのフランクを70代のデニーロが演じるという無茶をやっております。
CGでしわは消えてましたけど、体形や身のこなしはいじってないようで、
ちょっと30代には見えなかったけど(笑)
主要人物だけでこんなにいますけど、要になるのは3人
① フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ) 1920年~2003年 (83歳で死亡)
② ラッセル・ブファリーノ(ジョー・ペシ) 1903年~1994年 (91歳で死亡)
③ ジミー・ホッファ(アル・パチーノ) 1913年~1975年 (62歳で死亡)
フランクはトラックで肉の塊を運んでいた若い時、イタリアンマフィアのラッセルと知り合い、
いろいろ便宜を図ってもらう一方、汚れ仕事を一手に引き受けることになります。
原作本の原題でもある「家のペンキを塗る」というのが「人を殺す」という意味らしいです。
その後、ラッセルから全米トラック運転手組合のジミーを手助けするようにいわれ、
彼からも信頼されるように。
ジミーはマフィアではないけれど、大きな権力をもっていて、怖いもの知らず。
トニーという気の強いマフィアに「イタ公」と言ったことをとがめられても、平然としています。
これがだんだん大ごとになって、フランクは和解するように何度も説得するも、聞く耳持たず。
結局はラッセルの指示で彼を射殺することになるのです。
ジミーの遺体は見つからず、行方不明のまま。
その後、ラッセルとフランクは別の罪で収監され、刑務所内で高齢のラッセルが亡くなり、
当時を知る人はみんな死んでしまいました。
80歳を超えたフランクにFBIや神父が尋ねるも、彼は何も語らず・・・・ (あらすじ 終わり)
ちょっと省略しすぎましたが、こんな流れです。
メインの3人を
ロバート・デ・ニーロ(実年齢76歳) アル・パチーノ(実年齢79歳) ジョー・ペシ(実年齢76歳)という
3人の大物カリスマが演じるのですが、
登場人物自体は同年代ではなく、デニーロの7歳上がパチーノ、さらにその10歳上がペシ。
アル・パチーノ演じるジミーは62歳で殺されてしまうので、
本来なら50代くらいの俳優がやる役なんでしょうけど、全然違和感なかったですよ。
むしろ、豪快でスピーチが上手く、偏屈だけれど人を惹きつけ、
父にも心を許さないフランクの娘のペギーにまで好かれるジミーという人物像にぴったりでした。
小柄なのに頼りになり、存在感たっぷりのラッセルもとっても良かったです。
デ・ニーロが30代で幼い子のいる設定のシーンはちょっと厳しかった気もしましたが、
本作で描かれるフランクは、義理人情に篤く、温厚な家族思いの男なんだけど、
大事な人のため、と思うと、いきなり狂暴スイッチが入って、何もいとわずやってしまう人物。
でも結局はいつも板挟みになって悩む不器用な人間。
これはやっぱりデ・ニーロのための役なんでしょうね。
雇用確保や労働者の地位向上に寄与したと思っていた組合がマフィアとズブズブの関係だったとか、
ジミーたちがケネディ大統領の暗殺にもかかわっていたのでは?とか、
キューバ危機がでてきたり、ニクソンが登場したり、
戦後のアメリカ史を裏社会からみられる作品にもなっていると思いました。
上映時間長くても、配信だから、いつでも中断できるのに、一気に見てしまいました。
王道のマフィア映画でしたが、エンタメ性もたっぷり、ためにもなるし、
ものすごく贅沢な時間を過ごせた気がします。
そもそもこの作品、
お金がかかりすぎて映画会社が撤退したのをNetflixが引き継いだんですってね。
今はそういう時代なのか・・・・
「アイリッシュマン」こそ、本来、劇場公開されるべき作品なのにね。
それも、今上映されているような(設備の貧弱な)ミニシアターやシネコンのおかしな時間帯ではなく
(「ジョーカー」と同レベルで)音響も座席も最高にいいスクリーンをたくさん確保すべきなのに・・・・
映画会社は頑張れ!って思うばかりです。