映画「祈りの幕が下りるとき」 平成30年1月27日公開 ★★★☆☆

原作本「祈りの幕が下りるとき」 東野圭吾 講談社

 

 

滋賀県に住む女性が東京都葛飾区で殺され、

松宮(溝端淳平)ら警視庁捜査一課の刑事たちが担当するが、捜査は難航する。

やがて捜査線上に女性演出家・浅居博美(松嶋菜々子)の存在が浮かび上がり、

近くで発見された焼死体との関連を疑う松宮は、

その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が記されていることを発見する。

そのことを知った加賀恭一郎(阿部寛)は心を乱し……。   (シネマ・トゥデイ)

 

東野圭吾はもともと多作な作家ですけど、それを片っ端から映画化しているものだから、

今年は本作から始まって、「ラプラス」の魔女、「ナミヤ・・・」の続編、そして今「人魚の涙」が公開中で

年明けには「マスカレードホテル」が待機しています。

 

本作は「新参者」シリーズの最終章で、原作は既読ですが、

失礼な言い方をすれば、ほかの小説3本くらいのネタを大盤振る舞いしている!って感じ。

だって、いっこ前の「麒麟の翼」なんて、(あまりにつまらなかったから感想も書いてないけど)結局

「水天宮といえば安産祈願ですが、実はもともと水難除けの神様だった」

というそれだけの思い付きで、1本書いちゃった、

と言っていいんじゃないかと思うほどの薄~い内容でした。

 

 

本作は、けっこう入り組んだ相関図。

そのなかに、ずっと音信不通だった恭一郎の母親の死が大きくかかわり、

二つの事件をつなげたのは、実は恭一郎自身の存在だった…と言う愕然とするもの。

 

(最初からネタバレですみませんが、ネタバレついでに、ネットでみつけた相関図を貼っておきます)

 

 

 

ふたりの人物が同一人物、というのはたまにありますけど、本作は3人というのも画期的。

明治座とか橋あらいとかの、おなじみの「人形町ネタ」に加え、新小岩や小菅、

それに震災のあった仙台や琵琶湖とか日本各地のロケも豪華版です。

 

自らの才能で大物になった人物が、自分の暗い過去を知る人間に対して

(脅迫されたわけでもなくただ懐かしさで近づいただけなのに)殺意をもつ・・・

のは、古典的ミステリーの王道だし、

どん底の親子の悲惨な逃亡劇とかも

まるで松本清張の「砂の器」を彷彿とさせる内容です。

 

 

浅居博美の少女時代を演じた桜田ひよりちゃんの上手いこと!

彼女は感情をむき出しにする激しい演技をさせられることが多いんですが、

それ以外の繊細なシーンが特別上手いと思います。

こんな「子役扱い」でなくて、主演でちゃんとした映画を撮って欲しいな。

 

大人になった浅居博美は、松嶋菜々子ですよ!

(芝居の上手さはともかく)美しさと凛とした立ち振る舞い。

存在自体に花があるから、ナイスキャスティングだと思います。

 

あと、若いころはきらきら輝いていた伊藤蘭や烏丸せつこが、

年相応のくたびれたおばあさんを自然にやっていたのには

なんかしみじみとしてしまいました。

 

「最高傑作」かどうかはともかく、くどいようですが「大盤振る舞い」なことは間違いないので

いままで東野圭吾作品を避けていた人も、これは観ていいんじゃないかと思います。

といっても、劇場公開はとうの昔におわり、DVDレンタルもすでに「準新作」扱いですが・・・

 

 

本作は、2か月前に加入したWOWOWで観ました。

夫のテニス観戦のために加入したものの、テニスの試合なんてそんなに年中あるわけもなく、

映画もほとんど見ていないから、全然元は取ってない感じなんですけどね。

「テーマ WOWOW」で記事をアップするのも、今日がはじめてです。

 

去年アカデミー賞を争った「スリー・ビルボード」「シェイプ・オブ・ウォーター」も放送してくれてるし

決してプログラムが貧弱なわけではないのですが、ほとんど鑑賞済みなのが残念な感じです。

DVDの宅配レンタルを辞めれば、少しは観る番組が増えるかな?