映画「あいあい傘」 平成30年10月26日公開 ★★☆☆☆
ノベライズ本「あいあい傘」 石川拓治 (宅間孝行 原案) SDP
高島さつきは、25年前に生き別れた父親の六郎を捜し出し一緒に帰るため、
年に1度の祭りでにぎわう恋園神社を訪れる。
一方境内では苗字を変え、妻と娘と新しい家庭を築いている東雲六郎が、
横浜に残してきた娘と妻をひそかに思って静かに手を合わせていた。
祭りの盛り上がりがピークを迎えたころ、さつきは再会を待ち望んでいた父親を見つけ......。(シネマ・トゥデイ)
愛する妻と幼い娘と、幸せに生活していた六郎は、
「とある事情」で、命を絶たなければいけないことに・・・
死に場所を探してさまよううちに行きついた山の中の小さな村で雨に降られます。
蛇の目傘を刺しかける、妊婦の女性。
その後、六郎は東雲と言う名前を名乗り、学習塾を経営しながら
その女性タマエといっしょに、赤ん坊だったその娘マイコの父親代わりに育てていきます。
そして25年後、年に一度の恋園神社の祭りの日、六郎の実の娘サツキが村を訪れます。
「死んだと思ってたのに、こんないい家族を作って幸せに暮らしてたなんて・・・悔しい!」
といいながらも、空白の25年間を埋めていく親子・・・・
なんていうような、非常にシンプルなストーリーで、
サツキに一目ぼれして案内役を引き受けるお調子者のセイタロウとその亡き父トラゾウ
更生した成功者カンイチと青い目の出稼ぎ母エレーナ
テキヤのカップル、リキヤとヒデコ
たちのストーリーも絡む群像劇仕様になっています。
もともとは「東京セレソンデラックス」が2007年に上演した舞台劇だったようで、
この脚本を書いた宅間孝行が映画の監督もつとめています。
彼は舞台俳優でもあり、昔は脚本・監督はサタケミキオ名義で、
このブログを始めたころにみた「同窓会」も彼の作品でした。
もともと舞台劇なのでせりふで話が進んでいくんですが、
映画館の大きな画面で見る必要あったかな?という印象。
あと、↑に書いた「とある事情」というのが、あんまりにありえない話なので
若干ひいてしまいました。
六郎はとある代議士の秘書をしていたんですが、その代議士のスキャンダルが公になりそうになったとき
「ワシはまだ代議士をつづけたいんだ。
頼む、お前が(罪を被って)死んでくれ!」と懇願され
「私にも生活があります。妻や子もいるし」という六郎に
「それは責任を持って援助する」
とかいわれて、自殺を決意するというのですが、
そんなのあり??!!
約束通り金銭的な支援があったとしても(話の感じでは裏切られたみたいになってましたが)
何も知らない愛する妻子が「犯罪者の家族」の汚名をきせられて生きていくなんて、
どう考えてもダメでしょ!
ノベライズではこの辺は(あまりにひどいと思ったか)ずいぶん改変しています。
六郎は妻の親の経営する学校法人の教師と言う設定にして、
担任していた児童が自殺してしまい、警察沙汰にはならなかったものの、
遺書に六郎の名前があったという噂がたったために、
辛い立場に追いやられてしまった・・・というもの。
これなら、まだ多少は納得できるかも、です。
それにしても、住民票もない男が学習塾なんて経営できるのかな?とか、
まだまだ疑問は残るんですけどね。
タイトルのあいあい傘
たしかに象徴的に傘があちこちに登場しますが、
ラスト近くに、テキヤのヒデコが
「うちのばあちゃんの口癖」として、こんな話をしています。
「一見楽しそうなあいあい傘だけど、
雨が強くなるほど相手を気遣ってくっついて歩かなきゃいけない。
行きたい方向が別々でも一緒に歩いて行かなきゃいけない
それが、あいあい傘だ」
「あいあい」とひらがな表記なので、いくつかの意味をかけているのか?とも思いましたが
「愛愛」とか「逢逢」とかだったら、逆にダサいですね。(正しい漢字は「相合」だそうですが)
映画館で観ていると、まわりですすり泣きが聞こえたりして、
一応「泣き所」のタイミングは了解したんですが、
この程度の芝居でもらい泣きできるなんて、逆にすごいな~と思ってしまいました。すみません・・