映画「SUNNY 強い気持ち 強い愛」 平成30年8月31日公開予定 ★★☆☆☆

 

 

夫と高校生の娘と暮らす40歳の専業主婦、阿部奈美(篠原涼子)は、日々の生活に空しさを感じていた。

一方、独身で39歳の社長・伊藤芹香は、ガンで余命1か月を宣告されてしまう。

およそ22年ぶりに再会した芹香にもう一度みんなに会いたいと告げられた奈美は、

ある事件が原因で音信不通になった仲良しグループ“SUNNY(サニー)”のメンバーを捜そうとする。

                                                        (シネマ・トゥデイ)

 

6年前の韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」のリメイクです。

時代と舞台は違うけれど、話の流れは同じで、印象的なカットが全く同じだから

前作を見た人は「こんなの、あった、あった!」と思うこと必至。

私は劇場ではなくDVDだったけれど(ブログは書いてません)何か所もそういうの、ありましたね。

 

そうでなくても、90年代を知る人には、「コギャル」「ルーズソックス」「写ルンです」「伊東家の食卓」・・・・

懐かしワード炸裂です。

でも逆にいえば、まったくもって「それだけ」の映画です。

広瀬すずと篠原涼子を使って、けっこう無謀な演技をさせて

キャストのみなさんはかなり頑張っていたと思うけど、

かなり雑なつくりとお見受けしました。

でも、多分ヒットはしそうな予感はするんですけどね。

 

 

夫と反抗期の娘と暮らすナミは、ある日母を見舞った同じ病院に
高校時代の親友セリカが入院しているのを知ります。
彼女は仕事で成功していましたが、家族はなく、ガンで余命一か月を宣告されていたのでした。
 
ずっと疎遠だった、高校時代のSUNNYのグループの仲間たちはどうしているのかな?
死ぬ前に会いたいから集めて欲しい!と頼まれ、
母校で恩師に会うも、すぐ見つかったのはウメだけで、仕方なく探偵を雇って、一人ずつ探していく・・・
という前作そのままの展開なんですが、
たびたび回想シーンが挿入され、それが「見どころ」となっています。
90年代の設定なので、いろいろお懐かしアイテムが登場する、というわけ。
 
ここでひとつ言いたいんですけど、90年代とひとくくりにしたのは、音楽がメインだからかもしれないけれど、
年代がはっきりしないのは、個人的にモヤモヤします。
時代考証が緩くていいとおもっているなら、許せないし。
そもそも90年代といっても、最初のほうはバブル時代だったし、その後のバブル崩壊、
95年の阪神淡路大震災とオウムの地下鉄サリン事件以降までをいっしょくたなんて、考えられない。
 
まあ、出てくるワードを考えると、1996年あたりだということは分かるんですけど・・・
 
それでもどうしても気になるのは、「ナミは田舎者の転校生」と言う設定。
これは韓国版と同じで、マストな設定なんですが、
ナミの家族は「淡路島を襲った大震災で父親が職を失い、一家で転居した」といってたと思います。
「家を失った」とは言ってなかったけれど、この家族、完璧「被災者」なんですよね。
なのに、転校生の紹介で、担任がそれを言わないのは不自然だし、
いくらバカ学校だってこの時点で震災を知らないバカはいないから
「島だって?ウケる~!田舎者じゃん」
みたいな言葉は絶対に言わないと思うんですけどね。
 
この学校、どうしようもない底辺校みたいで、教室は散らかり放題。
やってきた担任の一声は
「はいはい、お化粧やめる~! お菓子しまう~!」
女子高ということは私立だから制服あるんでしょうけど、全員崩して着ていて、
ともかくクラス全員がコギャルファッションなんですよ。
 
この辺からネタバレになります
 
 
SUNNYのメンバーをまとめると
 
セリカ  正義感の強いリーダー格  →  会社社長になるが、ガンで余命1か月(板谷由夏)
ユウコ  胸の小さいことをネタにされてる  →  金持ちの整形外科医と結婚してセレブ生活(小池栄子)
シン   美容師になるのが夢   →  アルコール中毒の雇われホステス(ともさかりえ)
ウメ    デブのお笑い担当   →   ブラック企業で不動産の営業(渡辺直美)
ナミ   田舎者の転校生(広瀬すず) →   結婚して高校生の娘のいる専業主婦(篠原涼子)
ナナ  みんなの憧れの雑誌モデル(池田エライザ) →  (音信不通)
 
ナナ以外はセリカの葬儀までにいどころがわかるのですが、
最後の最後で謎の女ナナが姿を現し、大団円となります。
大人になったナナ役だけクレジットがなく、↑の画像にも入っていないんですが、
池田エライザがそのままやってたように思います。
 
クレジットといえば、もうひとり、元セリカの親友でメンバーだったいじめっ子
(というか薬物中毒でナイフをふりまわす犯罪者レベル)のブリタニミレイというクラスメートが無視され、
それを演じた女優が誰なのかもほとんど書かれていないです。
(名前もブリタニミレイでいいのかすら、確認できず)
 
ストーリー的にはユウコやシンよりずっと登場回数も多く、彼女がいないと話が成立しないし、
セリカに絶交されて以来、ダークサイド(笑)に転向して、ドラック中毒という無茶ぶりな設定を
頑張って演じていたと思うんですけど。
気の弱そうなサラリーマンに援助交際を強要して大金をカツアゲしてるのをセリカに見つかって
「リーマンをいじめてんじゃねえ!」
「もっとまじめにブルセラでパンツでも売ってコツコツ稼ぎな」
とかいわれてる。(それもアウトなんですけど)
で、校内でナミに暴力をふるってドラッグを強要しているところをナナに見つかり、
ナナが代わりに刺されたのか、血まみれになって救急車で運ばれ、
それ以降、ナナの消息はわからず、SUNNYも解散したのです・・・・というのが「ネタバレ」です。
あんまりあっけないから書いてしまった!
 
ミレイが逮捕されて消息不明というならわかるけど、被害者のナナが消息不明って・・・なんで?
もしショックで転校したというなら、親友ならそれこそ連絡をとって励ますべきじゃないの?
 
韓国版では、モデルだった子(ナナの立ち位置の子)が、大事な顔を傷つけられてモデルもできなくなり
ショックのあまり自殺未遂・・・ということでしたが、(それならまあまあわかるけど)
日本版ではそういう話はなかったと思いますよ。
 
ついでにいうと、韓国版での悪党クラスメートはシンナー中毒でした。
90年代だからドラッグにしたのかしら?
そうすると入手ルートとかものすごく気になってしまいます。
 
ミレイのグループとの対立は、もう「JK版クローズZERO」って感じです。
学校にひとりも先生がいないし、いじめをはるかに超えた乱闘があっても警察沙汰にもならない。
まさに無法地帯!
「クローズ」なんかは最初からそういう設定ですが、
普通に女子高生時代を懐かしむ作品で、さすがにこれはないでしょ!
 
私自身のことを言うと、
90年代(というか、96年)のころは子育てに追われていたから、当時の歌とかファッションには疎いですが
最初にドコモの携帯を買ったのが確かこの年でした。
当時わが家は東京を離れていて、
公衆電話の少ない車社会の地方のほうが携帯の普及は早かったから
東京の人たちは仕事以外では、まだあんまり携帯もっていなかったかも。
 
そのかわり、子どもたちはみんなポケベルもってたはずです。
(このころはけっこう進化していて、簡単なメッセージも送信出来てたと思います)
早い子はピッチ(PHS)くらい持っていたと思いますよ。
なのに、ポケベルもピッチもほとんど出てこなかったのは、むしろ不自然に思うんですけど。
 
「ルーズソックス」「コギャル」「ギャルサー」「ガングロ」に「ブルセラ・ショップ」・・・
今となっては死語のサブカル用語に、小室ミュージックがちりばめられ、
ちょっと黒歴史的な懐かしさでいっぱいになりますが、
そのなかで25年たっても「旬」を維持してトップアーティストに君臨している安室奈美恵は
スゴイ!!
と、(映画には関係ないんですが)あらためて感心してしまいました。
 
 
音楽監督はこれで引退を公言している小室哲哉なんですが、
そのほかにもcharaやジュディマリやパフィーなど・・・
そのなかでもオザケンの「強い気持ち・強い愛」はタイトルにも、ラストのシーンでも使われます。
あえて小室ミュージックを避けたのには意図があるのかな?
好きな人にはたまらないと思いますが、この時代を象徴する音楽とは言えないんじゃないかと・・・
 
韓国版のボニーMの「サニー」が世界的ヒットだったのに比べると、
悪いけど、ショボい・・・
なんで? 
trfでいいじゃん!
って思うのは私だけかな?