映画「カメラを止めるな!」平成30年6月23日公開 ★★★★★

 

 

人里離れた山の中で、自主映画の撮影クルーがゾンビ映画の撮影を行っている。

リアリティーを求める監督の要求はエスカレートし、なかなかOKの声はかからず、

テイク数は42を数えていた。

その時、彼らは本物のゾンビの襲撃を受け、大興奮した監督がカメラを回し続ける一方、

撮影クルーは次々とゾンビ化していき……。          (シネマ・トゥデイ)

 

今年の邦画は、なんといってもカンヌを制した「万引き家族」ですが、

それに負けないくらい今話題になっているのがこの映画。

予算300万円のインディーズ映画で、池袋のシネマロサと新宿のKSシネマという、

ネット予約もできないミニシアターのみの公開だったんですが、SNS等で注目されて

非常にチケットが取りづらい状況がずっとつづいていました。

この週末からTOHOなどのシネコンでも公開が決まり、スクリーン数が何倍にもなったおかげで、

苦労なく見られると思ったんですが・・・・

 

TOHO新宿か新宿ピカデリーあたりでサクッと予約しようとしたら、

なんと夜中のレイトショー以外は、すでに完売でした!!

 

シネマロサは当日券だけの窓口販売なので、売り切れはないだろうと思ってお昼過ぎに出かけたら

窓口はみたことない行列。

すでに15時20分は売り切れで、3時間以上待つ羽目に。

 


ツイッターで混雑状況を発信していたんですね。

これ見ておけばよかった・・・・

 

でもチケット買えただけラッキーで、すぐにこんな看板が出たようです。

 

 

で、観た感想。

 

非常に非常に面白かった!!

で、どこが?

それは内緒!

 

ネタバレ上等を公言している当ブログですが、本作についてはネタバレしたくない!

 

私がネタバレを書いてるのには2つ理由があって

① (せっかく映画をみたのに)なんかよく分からなかった→つまらなかった

と言う感想を持つのはホントにもったいないので、老婆心ながらお手伝いしたい気持ち。

② (こちらがメインなんですが) 私自身が映画の内容とか、観たことすら忘れてしまうので、

単なる自分のための忘備録として。

 

本作の場合、①については、予備知識なくていきなり見ても全然OKで、非常にわかりやすくできていること。

(どなたさまも、前半で感じた違和感がどんどん回収されるすっきり感を楽しめます)

②については、非常によくできているパンフレットを購入したので、これを読めばいつでも思い出せること。

・・・・という理由で、今回に限っては、あまり内容には触れないことにします。

 

 

低予算で映画を作ろうということになると、一番最初に頭にうかぶのがソンビ映画で、

桐島、部活やめるってよ」では、「生徒会オブ・ザ・デッド」」を撮ろうとしていたし、

スーパー8」でも、子どもたちは8ミリでソンビ映画を撮影していました。

設定だけでいうと、一番近いのが、6年前の沖田監督の「キツツキと雨」。

山奥でゾンビ映画を撮影していた映画クルーたちの話でしたからね。

役所広司とか山崎努とか平田満たちベテランと小栗旬、甲良健吾たち若手人気俳優を使って

むしろそれが裏目に出てた感じでしたが、本作はすべて無名の俳優たち。(予算300万ですから)

でもそのヘタウマ演技が、演技設定なのかガチ設定なのか見分けがつかなくて、

むしろ作品のクオリティを上げていました。

 

「カメラを止めるな」というのは、(本物のゾンビに食われたとしても真に迫った演技を欲しがる)

熱血監督の言葉として使われますが、

カメラを止めずに映画を完結させるために知恵をしぼって奔走する

名もない映画クルーたちの思いでもあります。

 

「いわくつきのロケ地でソンビ映画を撮っていたら、仲間が次々にソンビ化していく」

なんて、ホントにありきたりの設定なのに

なんでここまで面白くなるのか不思議なくらいですが、

「本物の映画愛」が底辺にながれているから、こんなに面白くて感動的なんじゃないかと。

(ああ、これ以上はいえません)

 

私の前にチケットに並んでいた人もその前の人も、半券提示でリピーター割引きでしたが、

これはシネマロサ「生き返り割引」で、2回目以降1000円で観られるとか。

良くできた脚本なんだけど、オチまでわかっていてももう一度見たくなる気持ち、よくわかります。

上映後、ホールが明るくなったら、なんとサプライズで舞台あいさつがありました。

 

 

ぜひぜひSNSで拡散してください、とのことだったので、(トークの内容はネタバレすぎて書けませんが)

スマホのひどい画像ですが、ハッシュタグをつけて、発信させていただきますね。

 

とにかく、DVDなんて待たないで、劇場でぜひみて下さい。

今だったら、平日の昼間にシネコンでゆったり見るもよし、

ミニシアターで「生き返り」の人たちに囲まれて大盛り上がりで観るもよし、です。

 

なんか一言くらいネタバレ的なことをいいたくなってしまいました。

パンフレットの裏側からは、劇中劇のゾンビ映画のシナリオになっているのですが、

その表紙に書かれているタイトルは、けっこうヒントになっているかも。

 

 

 

文句なしに面白いドラマではあるんだけど、奇をてらっているわけでも、

特別新しさを感じるわけでもなく、むしろ王道というか正統派というか、オーソドックス。

昔の「調子よかったころの三谷幸喜」だったら、書けちゃうんじゃないかと思うんですけどね。

オールスターキャストの大作や大河の脚本なんて書かなくていいから、

「12人の優しい日本人」とか書いてた頃の三谷さんに戻ってほしい。

久々の新作では、ぜひぜひ「ギャラクシー街道」のリベンジをしてほしいものです。