映画「ガザの美容院」 平成30年6月23日公開 ★★☆☆☆

(アラビア語 ロシア語 字幕翻訳 松岡葉子)

 

 

パレスチナ自治区、ガザの美容室は、離婚調停中の主婦やヒジャブをかぶった女性、

結婚を控えた若い娘や出産間近の妊婦らでにぎわっていた。

ところが通りの向こうで発砲騒ぎがあり、美容院は孤立してしまう。

極限状態で女性たちは平静を装っていたが、いつしかトラブルになり……。  (シネマ・トゥデイ)

 

 

シネマカリテのロビー展示は、美容室の三面鏡を再現。

左右の部分には作品に登場する女優さんの姿がはめ込んでありますが、中央の部分は本物の鏡です。

この三面鏡の前と右側はチラシコーナーで、このあたりはいつも人がたくさんいて、

誰もいなくなった一瞬、写メ撮るのに成功!と思ったら、

鏡のすみに、スマホで写真撮る女性の姿が映りこんでしまいました。

(ていうことは、この方の写真には私が映りこんでるんでしょうね、ドキッ!)

 

人物特定できるほどじゃないので、そのまま掲載させていただきますが、

映画の中にも「撮影者が意図していない部分」が映ってしまうことはよくあり、

(とくにドキュメンタリー映画)そういうのを発見するのも映画の楽しみなんですが、

今回の映画は、私にはなんにも見えず、非常に悲しい思いをしました。

レビューは少ないけれど、軒並み高評価で、絶賛しているものも少なくなく、

でも私には正直、ひたすら退屈な時間でした。

★2つつけましたが、満足度では★1つかもしれない・・・・

 

以下あらすじです。

 

ガザの美容室には、店主(クリスティン)とアシスタント(ウィダト)のふたりの美容師と

店主の小学生くらいの娘、それにつきそいを含めて10人の女性客が訪れていました。

 

手前に座っているサルマは結婚式直前で、ヘアメイクと顔のメイクにきており、

向こう側の中年女性エフィティカールは、脱毛のためにきていましたが、施術するはずのアシスタントが

元カレのアマハドとずっと電話で揉めていて、ずっと放置されているから、かなりいらついています。

 

とにかく、このふたりの美容師は、ありえないくらい仕事が遅くて、

エフィティカール以上にいらついているのが、映画をみてるこの私!(笑)

 

↑の画像は、もう夜になってますけど、実は昼間から数時間?くらいかけて、

サルマは髪にカーラをまいただけ。このあと、セットして、メイクして花嫁衣裳、です。

エフィティカールは足と脇の脱毛がおわって、これから顔の脱毛です。

客がふたりだけならいいけど、後ろにはまだ付き添い含めて8人待ってるんだけど

今日中におわるのかしら??

 

和気あいあいと楽しく待ってるのならいいんですけど、

室内は暑くても(電気がもったいなくて)扇風機もかけられず、飲み物がでるわけでもなく、

ずっとしゃべり続けているオバサンの話はつまんないし、うるさい。

テレビもイスラエルのドローンのせいでちゃんと映りません。

 

彼女たちのうちの何人かは携帯電話をもっていて、話をしているんですが、

その話の内容からだいたいどんな境遇にある人物かがわかってきます。

 

一般的にワンシチュエーションの密室劇では、電話という外部との接触手段は非常に重要なので、

私はひとことも聞き漏らすまいと耳を傾けていたのですが、

結論から言うと、本作では、別に何ということもないただの会話でした。

 

脱毛のエフィティカールは、今離婚調停中で、どうやら調停を依頼したイケメン弁護士を狙ってるらしくて、

これは絶対になにか進展があるはず、とおもっていたのに、特に何も起こりません。

 

他の客は、今夜が結婚式のサルマとその母と義母、

ヒジャブを被った敬虔なムスリムの女性、

臨月の妊婦とその妹、

離婚経験のある黒人女性など。

 

しゃべり続けているオバサンはサフィアという名前で、実は夫から暴力を受けているとか

サルマの母はエフィティカールの吸うタバコにせき込み、喘息を患っているとか

娘とはロシア語で会話する店主のクリスティンはロシア移民だとかわかってくるけれど、

とくにストーリーにからんでくることはありません。

 

そのうち、(停電日はあしたなのに)急に電力供給が止まり、しかたなく自家発電しようにも

ガソリンの配給が遅れていて、それもままならず。

そのうち妊婦の具合が悪くなってしまい・・・・・

 

これだけでも充分ピンチなんですけど、

店の外は非常事態へと・・・・!

 

ヴィダトの元カレ、アマハドがいきなり店の前にライオンを連れてやってきて復縁を迫り、

(それにしてもなぜにライオン??)

店の前にライオンと銃をもったアマハドが座り込んでいるという異常事態。

 

そのうちだんだん外が騒がしくなってきて、それが銃撃戦に発展しますが、

この程度はよくあることらしくて、鍵をかけただけでそんなに驚いていないようですが、

そのうち空爆?のような激しい揺れに襲われます。

 

イスラエルの空爆?と思ってしまいますが、これは結局ファハタ側にいるマフィアたちを一掃する

ハマス政府の軍事行動だったのですね。

 

妊婦がいよいよピンチでタクシーを呼ぼうとしますが、

道が封鎖されていて、ここは孤立していることを知って、愕然とします。

 

外から助けを呼ぶアマハドの声。

みんなの反対を押し切ってヴィダトが鍵をあけ、中にかくまい、

二階に連れて行こうとしたところで、警察(ハマス政府?)に拘束されて連行されます。

 

今回のマフィア掃討作戦で、何人もの人が殺されているようですが、

特段なにもなかったかのように、この美容室にも明日がくるんだろうな。

(マフィアをかくまったことでのお咎めはないみたいですね)

 

おしまい。

 

 

ガザというのは、あのパレスチナ自治区内のガザ地区のことで、

「難民流入の絶えない世界有数の紛争地域」

という認識でしたから、

「ここにもおしゃれしたい女性はいて、美容室があるんだ!という驚き。

それに、舞台はこの狭い美容室の店内だけのシチュエーションドラマで、

そこに集まってくる女性たちの群像劇、というのは私の最も好きなカテゴリーなので、

けっこう楽しみにしていて初日の初回に鑑賞しました。

 

「女性客でにぎわう・・・」「女だけの憩いの場で四方山話に興じていると・・・・」

公式サイトにはこういう記述がありましたが、とても彼女たちが楽しんでいるようには思えず、

非常に不謹慎ながら、銃撃戦が始まった時

「これでやっと話が動く」

と、ほっとしてしまったくらいです。

 

サフィアが、「男たちには任せられない。私たちで新政府をつくるわ」といいだし、

「あんたはいつも携帯をいじってるから通信大臣」

「あんたは喘息持ちだから厚生大臣」

とかシャドーキャビネット(?)を発表するのですが、まったく私の心には響かず。

 

それよりも、具合の悪い妊婦をトイレに放置して、タクシー呼ぶだけって、信じられません。

美容院ならハサミもタオルもお湯も、最低限のものはそろうはずだから、

みんなでサポートしてあげればいいのに・・・・とか、

この非常時には携帯電話をどうでもいい話に使わない方がいいんじゃないの?・・・とか

登場人物たちに全く共感できずに、勝手に苛ついてしまいました。

 

実は初日鑑賞したので、思いがけず、

税抜き800円もするサフラン入りオリーブソープをいただきました。

 

 

ここに写っている現地の女性たちは、全員ヒジャブをかぶっていますが、

作品中では一人を除いて全員髪をみせていて、これは美容室ならではの光景。

それだけでも女性たちには自由な空間だったのかな?と

勝手にホスピタリティあふれる日本の美容院を比べてしまった自分を恥じましたが、

それを差し引いても、まったく心に響かない映画でした。ごめんなさい。