映画「グレイテスト・ショーマン」 平成30年2月16日公開 ★★★☆☆

 

 

 

主人公のP.T.バーナムは<ショービジネス>の概念を生み出した男。

誰もが“オンリーワンになれる場所”をエンターテインメントの世界に作り出し、

人々の人生を勇気と希望で照らした実在の人物だ。

そんなバーナムを支えたのは、どんな時も彼の味方であり続けた幼なじみの妻チャリティ。

彼女の愛を心の糧に、仲間たちの友情を原動力に、

バ ーナムはショーの成功に向かって、ひたむきに歩む。                            (filmark)

 

「ラ・ラ・ランドの製作チームが作った」というのがウリのようで、

失敗の許されない超長回しのダンスシーンからスタートするところとか、

全く同じですね。

キレッキレのダンスと歌のクオリティがめちゃくちゃ高いです。

これこそエンターテイメントだ!っていうシーンの連続で、高揚感一杯になりました。

 

主演はミュージカル出演には安定のヒュー・ジャックマンで、安心して観られますが、

とても踊りそうにないミシェル・ウィリアムズにまで

フィギュアスケート、ペアみたいなアクロバティックなダンスをさせちゃうのは、

さすがに「ラ・ラ・ランドの製作チームだ!」と思いました。

 

「ショービジネスの原点を築いたPTバーナムの『サクセスストーリー』です」

とか、最初にいわれるので、まあ安心して観てられるんですが、

貧しい仕立て屋の息子が、初恋の深窓の令嬢を恋をして、すんなり結婚して、

可愛い女の子がふたり生まれて、会社勤めをやめて、博物館を買い取るものの評判があがらず、

「あるアイディア」を思いついて、ショービジネスの世界に足を踏み入れると、連日満員の大盛況・・・・

と、前半だけで、あっという間に「サクセス」しちゃうんですよね。

 

実は、PTバーナムというのは実在の人物で、私でも名前くらいは知っている、ちょっとうさん臭い

やり手の興行師。

 

 

ヒュー・ジャックマンというよりは、ジョン・C・ライリーという感じですけど(笑)

 

彼は、サーカスの技を持ってる人や珍しい動物だけでなく、

見かけにインパクトある人を「見世物」としてお客を呼んで大成功。

彼の「地上最大のショウ」は、サーカスに動物園、フリークス(奇形の人たち)、蝋人形展示・・・

とにかく人の興味をひくもののてんこ盛りだったそうです。

 

 

映画のなかにも、髭もじゃの歌姫とか、小人のナポレオンとか、毛むくじゃらとか、200歳とか、入れ墨男とか

インパクトある面々を次々にリクルートして仲間にしていましたが、

これ、ほとんど実話ベースです。

 

ほらね。

 

映画では、マイノリティーの人たちが、陰に隠れずに、堂々と表に出てこよう。

というメッセージが、

 

「わたしは立ち上がる。

わたしは屈しない。

これがわたしよ!」

と、「This isMe」の中で高らかに歌い上げられます。

 

キアラ・セトル演じる、髭の歌姫レティはじめ、アイルランドの巨人とか、世界一の超デブとか、

メンバーは各種フリークスで、見世物小屋アイテムにもかかわらず、

映画の中ではキレッキレのダンスと歌を披露します。

 

「今でこそ、誰もが“オンリーワンになれる場所”なんていえるけど、

当時はこんなじゃないよね」

と思いつつも、彼らのパフォーマンスの高さに圧倒され、

だんだん魅了されるほうに傾いていきました。

キアラの歌とか、本当に素晴らしい!

 

 

オペラ歌手、ジェニー・リンドのくだりは、ちょっと唐突で、これ必要?と思ってしまいますが、

「スウェーデンのナイチンゲール」と呼ばれた彼女もまた実在の女性で、

ほんとうにバーナムのプロモーションで世界中を公演していたんですって。

 

レベッカ・ファーガソンは好きな女優ですが、圧倒的に声量が足りてなくて、なんだかなぁという感じ。

PTバーナムからは設定だけをいただいて、ヒュー・ジャックマンに似合った人物像をつくればいいのにな、

って思ってしまいました。

 

劇中で唄われるナンバーはすべていい曲で、早く一曲でも覚えて、カラオケで96点くらい出したいよな、

と思いながら帰ってきました。

ストーリー部分には、たいして思い入れもなかったけれど、見ている間は楽しかった。

劇中の言葉を借りるなら「喜びを見いだせた」のだから、エンターテイメントに特化した作品としては

良かったんじゃないかと思います。