映画「パディントン2」 平成30年1月19日公開 ★★★★☆

原作本「パディントン」シリーズ  マイケル・ボンド

(英語 字幕翻訳 岸田恵子)
 

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ブラウン家の一員として、幸せに生活しているクマのパディントン。

もうすぐ100歳になるルーシーおばさんへの誕生日プレゼントを探していた彼は、

骨董品屋ですてきな絵本を見つける。

絵本代を稼ごうと窓ふきのアルバイトを始めるが、洗剤を頭からかぶるなど失敗しては騒動を起こす。

そんな中、絵本が盗まれ、一家と共に絵本の行方を追うパディントンだが……。(シネマ・トゥデイ)

 

 

去年、作者のマイケル・ボンド氏が91歳で亡くなったという報道がありました。

「くまのパディントン」は60年近く愛された児童文学の主人公で

日本でもすでに1967年に福音館から初版がでていたのに、(前にも書いたけれど)

私は読むことなく、大人になってしまいました。

当時、私がほぼ読みつくしていた、学校や地域の図書館は、岩波や偕成社が中心で、

福音館書店って、あまり置いてなかったのかも。

 

 

先日「原作本」の記事で載せたこの絵本も、娘の本ではなく、

なんと1歳の孫のために買った本でした。キャー!

 

 

ロンドンのパディントン駅で、

「このクマの面倒をみてください」という札のついたクマをみつけたブラウンさん一家。

聞けば、はるばるペルーから密航してきた身寄りのない子だと知って、家族として受け入れる・・・・

 

前作では、原作の導入部分に続いて、ニコール・キッドマン演じる剥製師に追いかけまわされる

劇場版オリジナルストーリーとなります。

本作も、ブラウン家のメンバーは原作どおりですが、お話はやっぱりオリジナルストーリーです。

 

前作の後日談ではあるんですが、冒頭は、エピソード0というか、

パディントンと、養母のルーシーおばさんとの出会いからはじまります。

 

ペルーの森に住むルーシーおばさんとパストゥーゾおじさんは、ロンドンに行くのを夢見ていたんですが

ある日、川で流されている子グマを発見。

おばさんは身の危険をかえりみず、飛び込んで助けます。

「ロンドン行きはおあずけね」

「だって、この子を育てなくちゃ」

「この子はきっと広い世界に羽ばたくわ」

 

そしてパディントン(この時は別の名前)は、大切に育てられ、おじさんが亡くなったあと、

養老院にはいったおばさんにかわって、ひとりでロンドンにやってきた、というわけ。

ペルーの公用語はスペイン語なのに、パディントンがちょっと英語を話せたのは、

英語の勉強をしていたおばさんに教わったということだったんですね。

 

今回、パディントンは、ルーシーおばさんの100歳の誕生プレゼントを探していたら

グルーバーさんのお店で、ロンドンの名所を描いた、すばらしく精巧なポップアップ絵本を見つけました。

でもそれは1点物で、とても高価で、パディントンの所持金ではとても買えません。

そこで、彼は、一念発起してアルバイトをはじめることにしました。

床屋の掃除係とか、ビルの窓ふきとか、いろいろやるんですが、何をやっても失敗ばかり。

ドジつづきのバイト生活は子どもの頃観ていた外国のドタバタアニメが実写でリアルになった感じ。

(ちょっと大人の鑑賞には耐えないかな?)

 

ある日、グルーバーさんの店に忍び込んだ泥棒を目撃して、追いかけているうちに逃げられ、

日頃からパディントンを良く思っていない「自称自警団」のカリ―の証言とかで、容疑者にされてしまいます。

判決は10年の刑。

 

刑務所のなかでもパディントンは相変わらずドジです。

洗濯係になったときも、赤い靴下を一緒にいれてしまって、囚人服がみんなピンクに染まってしまったり・・・・

 

 

刑務所の食事は激マズなんですが、料理人のナックルズが怖くて、誰も文句がいえません。

ところが、パディントンは何の躊躇もなく、

「メニューの見直しが必要です」と進言し、ルーシーおばさんのレシピで

560人分のマーマレードサンドイッチを作って、大喝采を浴びます。

 

一方、パディントンの無罪を信じるブラウン家の人たちは、真犯人さがしに必死です。

落ち目の俳優ブキャナンが怪しいけれど、なかなか証拠がつかめない・・・

そして、刑務所の面会時間に間に合わなくなってしまい、パディントンは見放されたとガッカリするのです。

 

「ブラウンはそのうちお前を忘れるさ」

「泥棒探しは、俺たち泥棒の方が力になれる」

「一緒にここを脱獄しよう!」

と、脱獄計画を練るのです。

 

気球に乗ってゆらゆらと・・・・

脱獄は見事に成功しますが、

「悪いな、計画変更で俺たちは海外に逃げる」

と、あっさりナックルズたちに裏切られてしまいます。

 

さて、無実の窃盗の罪に加えて脱獄犯になってしまったパディントン、

これからどうするのか????

 

もちろんハッピーエンドが用意されていますけど、

ヨガにハマってるブラウンさん、水泳にハマってるブラウン夫人、

新聞づくりにハマってるジュディス、SLオタクのジョナサン、とか

前半で出てきた設定が全部伏線になっていて、楽しさ一杯の展開です。

 

パディントンが無実の罪で投獄されてしまうあたりまでは

「子どもたちはきっと小さな胸を痛めながら見てるんだろうなぁ・・・」

と、保護者(母親と言うよりむしろジジババ)目線で観ていたのですが、

どんどん引き込まれて行って、自分の年齢も忘れて、全力で応援してしまいました。

 

どんな環境に放り込まれても、礼儀正しく、人に優しく、一生懸命。

ブレないパディントンの在り方に、なんか感動してしまうんですよね~

 

自分は不法移民のメタファーみたいなパディントンを受け入れられるか?

カリ―のことをひどい奴だと笑えるのか?

マイケル・ボンドは、この可愛らしい児童文学を通じて、こういうことを伝えたかったんでしょうね。

 

どうもレビューを見ていると、「うちの子どもが喜んだ」というような感想でなく、

一般の映画ファンの評価がとても高いように思えます。

 

私は字幕で観たのですが、日本語吹き替えのほうがスクリーン数は多いようですね。

声優に松坂桃李とか斎藤工とかの人気俳優を使ってるからなんでしょうが、

子ども連れでなければ、よりイギリスらしさが伝わる「字幕版」を、ぜひおススメします