映画「帝一の國」 平成29年6月公開 ★★☆☆☆

原作コミック「帝一の國」 古屋兎丸 集英社

 

国内屈指の名門校である海帝高校で生徒会長の座に就いた人物には、将来の入閣が約束されていた。

首席で入学を果たした新入生の赤場帝一(菅田将暉)には、

いつか総理大臣になって己の国を作り上げるという大きな野望があった。

彼は2年後に控えた生徒会長選を見据え、全国から集まったトップエリート800人の高校生相手に戦いを挑む。(シネマ・トゥデイ)

 

ミニシアタースタンプラリーの無料鑑賞で、シネパレスで鑑賞。

けっこういい感じで台紙2枚埋めたんですが、いざ無料鑑賞となると、観る映画が全然な~い!!

行ける映画館はほとんど観た作品ばかりで・・・・

横浜に住んでいて東京の映画館にも行く、なんて人だったら楽だったかな?

 

本作は全く観る気つもりがなかったのものの、巷の評価が高いので、若い人に交じって、恥ずかしながら観たんですが

始まって10分くらいで、濃すぎるキャラやくどい芝居に辟易して帰りたくなりました。

「総理大臣になって自分の国を作る」

なんて、5歳児でもそんなこと言わないけどね。

 

原作コミックにかなり忠実に実写化しているようで、コミックファンには楽しいんでしょうけど、

「海帝高校の生徒会長がのちの総理大臣になる」

という、設定からおバカすぎて、ちょっとついていけませんでした。

「生徒会長になると東大に推薦入学」というプレミアも、たいしたことなくて、さらにありえないという意味不明さ。

 

海帝高校は、元は海軍兵訓練学校、と聞いて、海軍兵学校へのエリートの予備校だった、海城高校を連想したんですけど、

今は難関校の滑り止め,的な学校のイメージなので、ちょっとちがうかな?

超難関校なのに、褌で泳いだり、異様に熱すぎる運動会の開成高校のほうがイメージとしては近いですかね。

 

ともかく、学力がずば抜けていて実績を残せる学校だと、時代錯誤のおかしなことをやっても

「伝統」として世間に受け入れてもらえるってことは間違いなく、

海帝高校みたい学校は、ぎりぎり「ありえる」感じなんですけど、

大前提の「学力優秀」はどこへいっちゃったの?

勉強してるシーンが全くないのはいかがなものか?

 

新入生総代→ルーム長→評議会入り→応援する派閥の長を生徒会長にする→生徒会長選挙に勝つ・・・

と、2年くらいに起こることを2時間に納めてしまったから、終始、生徒会活動だけをしてるみたいになったんでしょうが、

それにしてもねえ・・・・・

 

高校生役のキャストは、戦隊もの出身の売り出し中イケメンをずらりと揃えています。

私が俳優として知っているのは、菅田将暉と千葉雄大くらいですが、

テレビのバラエティやクイズ番組で名前を知ってる人がほとんどでした。

鼻につくほどのやり過ぎ感はあるけれど、それは演出の問題なので、みんな上手だったと思います。

 

結局帝一が総理大臣になって自分の国を作りたかったのは

「父親に邪魔されずにピアノを弾きたい」という、それだけの理由でした。

 

そうすると、クライマックスは生徒会長選挙の投票でも、ふんどし姿での太鼓でもなく、

ラストのピアノ演奏だと思うんですが、これが残念ながらかなりお粗末。

子役の子が上手に弾いていたのに、クライマックスでこれかよ!

「砂の器」での加藤剛の指揮、「幕末太陽伝」での石原裕次郎の三味線に匹敵する酷さです。

太鼓のシーンはあれだけ決まっていたのに、ここは、手を抜くとこじゃないでしょ!

 

菅田将暉は今まで弱点の見つからない才能あふれる若手のホープだと思ってたけど、

ちょっとこの作品では気負いすぎてしまったか?

父の吉田鋼太郎とやりあうところとかも、発声ができてないから、大声を出せば出すほど聞きづらいです。

シェイクスピア俳優の吉田さんと張り合うのも大変ですが、そもそも滑舌自体も悪いですよね。

 

役柄もあるけれど、大鷹弾役の竹内涼真が「さわやかバンカラ」感を振りまいていて、それがあまりに自然なので

むしろ彼の引き立て役になってしまった感じです。

 

個人的好みでは★2つがせいぜいですが、たまにはこういうのも、映画館で観なくてはね。