映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」平成29年4月7日公開 ★★☆☆☆
原作コミック「攻殻機動隊」 士郎正宗 ヤングマガジンコミックス 講談社
近未来。
少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、かつて凄惨(せいさん)な事故に遭い、脳以外は全て義体となって、死のふちからよみがえった。
その存在は際立っており、サイバーテロ阻止に欠かせない最強の戦士となる。
少佐が指揮するエリート捜査組織公安9課は、サイバーテロ集団に果敢に立ち向かう。(シネマ・トゥデイ)
初日鑑賞したので、ホログラムのクリアファイルいただきました(左) なかなかの出来で、お金かかってそう!
原作はとっても有名な日本のコミックなんですけど、私は原作コミックも押井監督のアニメも知らず、ほとんど予備知識なくて見ました。
北野武や桃井かおりなど、重要キャストを日本人がやっており、日本人の役名も出てくるし、そもそも日本発の作品だから
外国人から見たらきっと日本そのものなんでしょうけど、街並みはブレードランナーの世界(つまり香港っぽい)だし、
日本人がみるとあっちこっちに違和感ありますね。
オープニングクレジットにもHua Hua Medeiaとか上海なんとかとか書いてあったから、中国資本に頼った映画だからかな?
サブキャラながら、インパクトのあるビジュアルの「芸者ロボット」ですが・・・
↑これだったら日本人の目から見ても「芸者」と認識できますが、これはボツになったようで
↑本編でつかわれてたのはこれ! ここまでいじくったら、すでに芸者ではありません。
日本だから顔に日の丸をかいちゃったのかしら?
福島リラがモデルになってるようですが、欧米人からみたら彼女の顔が一般的な日本人の顔なんでしょうか?
髪も衣装も中国寄りですよね~
さて、あらすじですが、
スカヨハ演じる「少佐ミラ」は、「2571プロジェクト」の最初の成功者で、
瀕死の肉体から脳だけを取りだして移植された全身義体の不死身の存在。
公安9課のエリート戦士として日々過酷な任務をこなしています。
ロボットと決定的に違うのは、彼女には想像力も直観もあること。
指示を待たずに的確に判断もできるから危険な現場に乗り込んで目覚ましい働きをします。
彼女の生みの親はハンカ社の研究者のオウレイ博士(ジュリエット・ピノシュ)
不具合があるとすぐにメンテナンスして完璧に復旧させてくれます。
1年後、大統領との会食中に、コンパニオンロボットのはずの芸者ロボが急に制御不能になり、
ハンカ社のオズモンドの身体に触手を巻き付け電脳ハックを開始し、結局3人の研究者たちが殺されてしまいます。
犯人は「クゼ」と名乗り「ハンカ社と組んだら破滅だ」のメッセージを残して姿をくらまします。
このサイバーテロの捜査に駆り出されたミラは芸者ロボの記憶にダイブして犯人に迫ろうとするのですが
その過程で、自分の過去の記憶が間違っているのではないか、と思うようになる・・・・・
というようなストーリーで、最初のうちはゾクゾクしながら見てたんですが、前半で材料も出そろうから、
私のように原作を知らない人でも、ほぼ最後まで予想がついてしまい、後半はひたすら退屈だったんですが、
芸者ロボットのトランスフォーマー後のうしろ足がザリガニみたいだったり、多脚戦車がカニみたいだったりで
もしかして甲殻(攻殻)類つながり?なんて思ったりして・・・・(笑)
スカーレット・ヨハンソンは、バックショットはオールヌードで戦うときほぼ全裸なんですけど、一応「身体は造り物」設定なので
フィギュアを観ているようでセクシー度は低いから、R指定もなかったように思います。
っていうか、なんで服を着ないのかよくわからないんですけど・・・・
ラスト近くに、力をふりしぼりすぎて、筋肉モリモリ→バリバリになってしまうところは、なんか肉肉しくて面白かったです。
以下はネタバレになるのかな?
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「難民ボートに乗っていたミラはテロリストに襲撃されて両親も兄弟も死んでしまうが、ミラの脳だけがハンカ社のラボで蘇った」
というミラの記憶はどうやら嘘だということがわかって、彼女が定期的に打たれていた注射は、記憶が蘇らないようにするためだったのです。
じゃあ、ミラの脳(魂)は誰の脳(魂)か?ということになります。
(タイトルのゴーストというのは、この魂をさすようで、お化けとか霊とかのゴーストではないようです)
ミラの魂の持ち主は、実は日本人の草薙素子で、ミラが追跡していたクゼも日本人のヒデオという元カレで
彼もまた脳を移植する実験台として使われたものの、上手くいかずに廃棄されてしまったものの一人だったことが分かります。
モトコとかヒデオとか、いかにも昭和の名前で、それで公安とかがでてくると、
連合赤軍とか中核派とか、かつてのサヨクの誰かの名前がモデルになってる?とか思いましたが、それは考え過ぎですかね?
ミラのゴーストが素子ということは極秘事項だから、ハンカ社を守るために
社長のカッターは多脚戦車をはじめとする、執拗な攻撃を「ヒデオと素子」に仕掛けてきます。
ここまではほぼ予測可能でしたが、
「ここは我々の世界じゃない。僕とネットワークの世界に行こう」というヒデオに
「いやよ、私はここで生きる。この世界を離れない」
とかたくなにこの世界で生きることを選択したミラ(というか素子)にはしびれました。
「私は第一号だけど、これから仲間がふえる」
「自分は何者で何をすべきか知っている」
「大切なのは記憶ではなく、何をするかということ」
結末は原作どおりなのか、映画オリジナルなのかわかりませんが、考えさせられるものでした。
それにしても、けっこう繊細な話だと思うんですが、力でねじ伏せようとする雑な展開が邪魔。
画像処理にお金かかってそうですが、画面が派手になればなるほど、逆に観る気が失せてしまうのは残念です。
先日観た「セルフレス/覚醒した記憶」のように遺伝子操作で新たに創造した肉体に、死んだ人の頭脳を転送する・・・
という話はよくあって、その場合記憶を継続させることが最重要で、だからこそ不死身の身体を得るために大枚をはたく金持ちがいるわけですが、
ミラのように「未来の兵器」として使うのなら、記憶は邪魔にしかならない、というのもうなずけます。
ミラは素子だった自分の過去を葬り、ミラとして少佐として生きようと決意しました。
元カレとネットワークの中で生きる方が楽のように思えますけど、あえて困難な道を選んだんですね。
実は私が本作で一番興味をもったのは、近未来、ほとんどの人が「人口パーツで自らを義体化するようになる」ということ。
街を歩くと、客引きのように「アップグレードしない?」と声をかけてくる時代が来るのかな?
今だって、本物を遜色ない義肢を付けている人がいるし、臓器移植を受けて生きている人だってたくさんいます。
もっと卑近な例だと、私がハードコンタクトを入れたのは昭和40年代で、まわりに誰もいなかったから、
当時の感覚では「目のアップグレード」以外のなにものでもありませんでした。
これからは医学だけでなくて、テクノロジーの進化でさらにいろいろなことが可能になるかと思うと、楽しみです。
ただバトーの義眼の仕上がりだけ、何であんな悪いんでしょう?
これはコスプレしやすいように、でしょうかね。
北野武演じる荒巻課長のことに触れずじまいでしたが、なんで彼だけ日本語で話が通じるのか、そればかりが疑問でした。
日本語なのに聞き取れず、思わず英語字幕をみてしまったりして・・・・・(笑)