映画「キングコング 髑髏島の巨神」 平成29年3月25日公開 ★★★☆☆

 

コンラッド(トム・ヒドルストン)率いる調査遠征隊が、未知の生物を探すべく、神話上の存在とされてきた謎の島に潜入する。

しかし、その島は人間が足を踏み入れるべきではない“髑髏島”だった。

島には骸骨が散乱しており、さらに岩壁には巨大な手の形をした血の跡を目撃する。

そして彼らの前に、神なる存在であるキングコングが出現。

人間は、凶暴なキングコングに立ち向かうすべがなく……。   (シネマ・トゥデイ)

 

「キングコング」が映画の世界に初登場したのは、今から80年以上前の1933年。

「戦前」の映画なので、東西冷戦も核実験もまだ存在しなかった時代。

「ゴジラVSキングコング」の日本の怪獣映画しか見たことない私には、当時はどういう設定だったのか興味あるんですが

古いビデオを観るチャンスもないまま、とりあえず2017年度版を観てきました。

 

1944年、戦争末期。

「南太平洋のどこか(髑髏島)」に墜落した戦闘機からパラシュートで助かった日本兵とアメリカ兵。

二人は南の島でタイマンで戦うんですが、日本兵が日本刀でとどめを刺そうとしたその瞬間、

とてつもない巨大な猿が登場して、ふたりはあっけにとられます。

 

時代はかわって、1973年。この年はベトナム戦争から米軍が撤退した年です。

「モナーク」という特務研究機関のランダ(ジョン・グッドマン)は南太平洋の未知の島の地質。生物調査を要請し、

ベトナム、ダナン基地から帰還予定のパッカード大佐(サミュエルLジャクソン)の部隊が同行することになります、

ランダのほかに地質学者のブルックス、生物学者のサン、それに女性カメラマンのメイソン(ブリー・ラーソン)が加わり

この民間人たちの護衛として元イギリス特殊部隊のコンラッド(トム・ヒドルストン)が同行することになります。

 

10機くらいのヘリに分乗して島に近づき、地質調査の名目でサイズミック爆弾をさく裂させるのですが

突然巨大な猿が現れてそれを妨害します、

ヘリはすべて叩き落され、助かったのは民間人たちと半数くらいの兵士だけ。

民間人たちが島をさまよううちに、水のなかからは大タコや水牛の化け物みたいなのが現れたり、

上からは巨大なクモの足で突き刺されたり、とにかく巨大生物が次から次へと現れるのでもうぐったりです。

 

島には原住民も生活をしていて、なんとそのなかに英語をしゃべる人物が。

彼こそが(冒頭に登場した)第二次大戦の生き残り米兵のマーローで、何と28年11か月もの間、ここで生きていたのです。

日本兵イカリ・ガンペイは少し前に死亡し、彼の遺品の日本刀をマーローは大切にしています。

 

マーローによれば、「この島はキングコングの家で、我々は客」だということで

爆弾を落とせば当然島を守るために排除しようとするし、大人しくしていれば攻撃はしない。

地中に「胸糞悪いスカルクローラー」が何匹も住んでいて、とくに大きいのが手におえず、唯一の天敵がキングコングだから

コングと戦うなんてとんでもない、コングがいなくなったら、この島はトカゲのお化けたちに占領されてしまう・・・というのです。

 

そしてヘリをうしなってしまったコンラッドたちのために、マスタングとB29とゼロ戦の部品を使った「グレイフォックス号」の整備を始めます。

 

一方、パッカード大佐は部下を何人も殺したキングコングを倒すことだけを考えて武器を集めており

兵士たちはしかたなく大佐の命令に従っています。

 

予告編では、「キングコング+島の巨大生物 VS 人間たち」の印象が強いですが、実際は

マーローたち「親コング派」 VS パッカードたち「反コング派」のたたかいなのです。

 

 

 

 

話を引っ張るのは、ほぼこの三人のオジサン(↑)たちでして、

ヒーローだと信じていたトムヒが、本編ではほとんど存在感ないのにはびっくり。

ブリー・ラーソンも、一応「コングに助けられる女性」というおなじみの役なんですけど、非常にあっさりしております。

 

さらに見た目でいうと、

いいゴリラ → キングコング

悪いゴリラ → サミュエル・L・ジャクソン と言い切ってしまって問題なし。

「王は人間だと教えてやる」なんて傲慢なことをいうサミュエルは本当に悪役面で、

一方、コングがだんだんイケメンゴリラのシャバーニにみえてくるから不思議・・・・

 

サミュエルたちの爆薬攻撃で傷ついた手負いのコングが、島や島にいる人間や動物たちを助けるために

トカゲの親玉と死闘を繰り広げるところなんて、まるで千秋楽の稀勢の里を見ているようで

マジで応援してしまった!!

鎖を使っての「反則技」にもちょっと興奮してしまいました。

 

ま、そんな感じの、そんなに頭つかう話ではないんですが、ベトナム戦争の反省みたいなのはあったかも。

髑髏島は南太平洋だから、原住民はきっとガタイが良さそうに思うんですが、

映画の中の彼らはベトナムの山岳地帯に住んでるようなほっそりとした外見です。

(米軍の多大な犠牲だけじゃなくて)ベトナムの民間人への謝罪の気持ちをちょっと感じてしまいました。