映画「ディーン、君がいた瞬間」 平成27年12月19日公開 ★★★☆☆


1955年、写真家のデニス・ストック(ロバート・パティンソン)は映画監督のニコラス・レイ主催のパーティーで、
ジミーことジェームズ・ディーン(デイン・デハーン)に出会う。
ジミーの出演作『エデンの東』を観てその演技に衝撃を受けたデニスは、フォトエッセイを撮ることを決意。
最初は警戒していたジミーだったが、デニスが写真を撮り始めたきっかけを聞いたことで……。(シネマ・トゥデイ)

ジェームズ・ディーンは早世した天才俳優として超有名ですが、数少ない出演作も観ていないし
なにせ私が生まれる前に交通事故で亡くなったので、顔と名前しかしりません。
贔屓のディン・デハーンが演じるというそれだけで観賞。

ジェイムス・ディーンの短い生涯のドラマ化ではなく、彼を撮った写真家との短い交流のみ。
ジェームズの一番有名な写真と言えば、雨に煙る町を背景にタバコをくわえるこの姿↓


映画のなかではこんな感じ↓


一番上の理髪店でのオフショットの本物はこれです↓


これを撮ったデニスは、「エデンの東」でデビューした新人俳優が気になって、
どうしてもプライベートなフォトアルバムを撮りたくて、彼に近づきます。
きっちり締め付けられるのが嫌いな彼をその気にさせるのは困難を極めますが
まったく境遇は違うけれど同年代のこの二人はだんだん心を通わせていき、
エデンの園のプレミア上映の直前にライフ誌に4ページのグラビアとして掲載されます。

ストーリーはまさにこれだけ↑
映画を撮っているシーンはまったくなく、セリフを覚えたり役作りをしてるところもありません。
彼は実質1年の映画人生のなかで3本に出演し、そのうち2本がアカデミー賞にノミネート。
2本と言うのは「エデンの東」と「ジャイアンツ」なんですけど、ノミネートされたのは死後という悲劇。

彼の作品は今も観られますけど(私は未見ですが)
多分その時代の既存の俳優とくらべての彼の鮮烈さが評価されたでしょうから、
今私たちが見てもきっとよくわからないかもしれません。
その時代の空気感をわかる人って、よっぽどのオールドファンですよね。

たまたま出会ったカメラマンに、自分の生い立ちやら好きなことばを語りはじめるジミー。
(ジミーはジェイムスの愛称ではあるけど、なんかピンときませんでした)

彼は幼いころ母に死に別れ、インディアナの叔父夫婦のところで育てられ、故郷をとても愛していたこと。
そして、いっしょに帰省することをジミーのほうからもちかけられ、
この農場に泊まり込んで、彼のプライベートショットを撮ることになるのですが、
地元の若者たちのパーティーでコンガをたたいたり、動物とたわむれてるスナップとかで、まあ普通です。
(コンガも、いつも持ち歩いている割には特別上手いわけもない)

「気難しい新星」というタイトルで発表された、ライフのグラビア写真集は評判を呼びます。
マネージャーや映画会社の社長にも管理できない、「不思議ちゃん」の彼のオフショットは
もうそれだけで価値がありますよね。
この7か月後に自動車事故で帰らぬ人になってしまったので、さらに希少な写真となりました。

私は(プライベートはどうあれ)俳優は作品のなかで輝いていればいいと思うので、
正直、このカメラマンとの短い関係はどうでもいい話でした。
「幼いころ母を亡くした」というのも、それほどすごい話でもないし・・・

カメラマンのデニスは、10代で父親となり、離婚した妻や8歳の息子との関係になやむ、
ジミーと同年代の青年でもあります。
彼もまたハリウッドの報道写真家として大成するのですが、仕事と実生活のはざまで悩む姿は
むしろ彼を通して感じることができました。

ところで、ジェームス・ディーンのそっくりさんといえば、
23歳の時にTV映画で「ディーン」を演じてブレイクしたジェームス・フランコですけれど、



今独特のぎこちなさや純粋さで「新世代の旗手」といわれてるのが誰かと言ったら、ディン・デハーンでしょう。
(このふたり、「スパイダーマン」の友人ハリー・オズボーン役でメジャーになった、というのも共通しています)

本作では、顏も似てないし、髪型も全然似合わないのに、モゴモゴした話し方や視線のやり方などで、
一生懸命ジェームス・ディーンに寄せているのがちょっと痛々しかったけど、頑張りました。

ジュークボックスでレコードをかけて踊ったり、ベンゼドリンの錠剤を酒で飲んで酔いつぶれたり・・・
これもこの時代の流行だったのでしょうか?
当時の車やファッション、それにNYのタイムズスクエアの再現などは
その時代を知る人にとっては胸キュンポイントですよね~

ジミーが「くだらない最低映画」とワーナーのお偉方の前で派手にこき下ろしちゃった当時人気の西部劇
「西部の掟」もみてみたいなぁ~