画「るろうに剣心 京都大火編」 平成26年8月1日公開 ★★★★★
原作コミック 「るるろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」和月伸宏 ジャンプコミックス

 

かつて人斬り抜刀斎と呼ばれた伝説の人斬り、緋村剣心(佐藤健)。
刀を置き、平穏な生活を送る剣心は、ある日、
剣心から影の人斬り役を引き継いだ志々雄真実(藤原竜也)が京都でその名をとどろかせていることを知る。
政府が派遣した討伐隊は志々雄を前に成すすべがなく、最後の望みとして剣心に白羽の矢が立つ。
志々雄の野心を阻止すべく、剣心は京都へ向かう。     (シネマ・トゥデイ)

コミック原作の時代劇って、私にとっては一番とっつきにくいジャンルなんですが、
すべてのシーンに細心の配慮がされていて、文句なく美しいのには驚きました。
原作ファンやアニメのほうのファンの人は、なにかそれぞれに感想があるかもしれないけど
何もわからず、前作も地上波で初めてみた私なんかでも、ちゃんと楽しめました。

幕末、討幕派の影の暗殺者、「人斬り抜刀斎」と呼ばれた緋村剣心。
彼の後継者である志々雄真実は、目覚ましい活躍をしながらも、裏切られて斬られ、火をつけられ
亡きものとされるんだけど、燃えカスのなかから蘇って復讐の鬼となる・・・
ゾンビのようによみがえった彼は、武器商人を掌中におさめ、新政府を倒す一大勢力となっており、
すでに剣をおいて10年たってる剣心のもとへ大久保利通直々に「志々雄を倒せ」という依頼が来ます。
なんとも自分勝手な依頼ではありますが、志々雄一派により警官や罪のない人が殺され
泣き叫ぶ家族を見て剣心の心は決まります。

神谷道場の薫や左之助は反対するのですが、一人旅立つ剣心。
「今までありがとう。そしてさよなら」
「拙者は流浪人。また流れるでござるよ」

・・・というような予告編で流れるセリフはここで。

お話を知らない私でも、実は「おかしくない?」と思うことは多々あって、
たとえば、剣心、若すぎませんか?
人斬りをやってたのは10代後半で、今は30歳前、という設定らしいですが、
当時の年齢だったらもっとオジサンでしょ?
後輩であるはずの志々雄のほうが貫録ありますよね。

でも佐藤健がミスキャストなんてことは全然なくて、あの塀に駆け上がって疾走し
スピード感あふれる超人的な立ち回り。
普段のひょうひょうとした癒しキャラとの落差も、とっても萌えます。

ひとりで何十人も相手にしてすべて切り捨てる(剣心の刀は逆刃なので気絶するだけですが)
なんて、現実には難しいと思うんですが、立ち回りの華麗さを楽しむ「チャンバラ映画」の最高峰では?

本作の殺陣は、江口洋介演じる斉藤一はオーソドックスだったけれど
他の人たちはそれぞれに個性があって、立ち回りの見本市みたいで、すごい!
画像処理やボディー・スタントの人たちの力も大きかったでしょうが、
役者さんたちの力量はすごいですよね~

若くてイケメンながら。ヴィランがすっかり板についた藤原 竜也
超高速の剣術の達人ながら無邪気な微笑みを見せる、しかも悪役、という宋次郎を演じた神木隆之介、
クローズから紛れ込んだような金髪ヤンキー野郎の張が三浦涼介、
(メゾンドヒミコ以外は)大物政治家や財界人の役がほとんどの田中泯が元御庭番衆のトップの翁でした。

旅館を営みながらひそかに情報を集め影の組織を取り仕切るミステリアスな役は、いかにも、なんですけど、
ビックリしたのは蒼紫演じる伊勢谷友介との一騎打ち!
元々舞踏家だったことは知っていましたが、69歳になった今でも、素晴らしい身体能力です。
脇役と脇役の戦いなのにけっこう時間割いてるのは、
素晴らしすぎてカットできなくなったのかな?なんて・・・

大久保利通とか斉藤一とか、歴史上の人物がでてくるのも、何気にリアリティあってよいと思います。
ただ、大久保が暗殺された紀尾井坂。
紀尾井坂って200メートルくらいの見通しのいい坂道で、江戸時代から現在まで変わってません。
幕末にお侍さんが歩いてる写真が今と同じで感激したのを思い出したんですが、
どう考えても映画で大久保が襲われた場所とは違うんですね。
「紀尾井坂の変」は有名な事件なので調べてみたら、なんと暗殺場所は紀尾井坂ではなく
清水谷公園前の「清水坂」だったことが判明!あらら・・こういうことはよくあるんでしょうか?
ロケ地は彦根城のようですが、それにしてもなんかちょっとイメージ違うんですけどね、坂道でもないし。
本物の大久保は宋次郎に殺されてないし、別にいいんですけどね。

ワーナーも「藁の盾」なんかじゃなくて、こういう作品を世界に持って行ってほしいな。
前作が世界でどう評価されたのかはわかりませんが、とにかく前作を上回るスケールと迫力なので
ぜひぜひどこかに出品してほしいです。

後編「伝説の最期編」も完成したそうで、楽しみ!
「9月の観たい映画」には入れておくつもりです。