映画 「アンナ・カレーニナ」 平成25年3月公開 ★★★☆☆

原作本 「アンナ・カレーニナ」(上・中・下)レフ・トルストイ 新潮文庫ほか



読んで♪観て♪

19世紀末のロシア。

政府高官カレーニン(ジュード・ロウ)の妻にして、社交界の花として人々から注目されるアンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)。

しかし、華やかな生活の裏で夫との愛なき結婚に空虚なものを抱いていた。

そんな中、彼女は離婚の危機に陥った兄夫婦の関係を修復させようと、彼らのいるモスクワへ。

駅に降り立ったアンナは、そこで青年将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会う。

彼から強い思いをぶつけられて戸惑う彼女だが、自分にも彼を慕う気持ちで胸がいっぱいだった。    (シネマ・トゥデイ)


今は亡き世界的衣装デザイナーの石岡瑛子さんが遺作の「白雪姫と鏡の女王」でオスカーノミネート。

それをあっさり横取りしたのがこの「アンナ・カレーニナ」でした。

どんなにか豪華絢爛のドレスかと思ったら、意外と現代的なハイセンスなドレスでしたね。

ディオールのスタイル画なんかを参考にしたとか。


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こんなワンショルダーっぽいドレスを帝政ロシアの貴族が着るとはとうてい思えないんですが、

キーラはめちゃめちゃ似会ってましたね~

まるで私服(?)みたいに自然でした。(ジュリア・ロバーツはコスプレっぽかったけど)

衣装デザイン賞はモデルの違いだったかも・・・・?

ということにしておきましょう。


「プライドと偏見」のジョーライト監督とキーラナイトレイのコンビで・・・というのはあちこちに書かれていますが、

もうひとりすごく大事な人を忘れちゃいませんか?

天下のダーシー様の、マシュー・マクファディンだってちゃんと出ています。



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「プライド・・」でのダーシー様はプライド高い高貴なお方だから、どんなに好きでもいちゃいちゃベタベタしたりせず、

うっとりするようなラブシーンはほんの少し。でももう胸がいっぱいですよ!

あの憂いを帯びた声もものすごく素敵!



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それが、本作ではアンナの兄のオブロンスキー。どうにも浮気性のダメ亭主です。

7年しかたっていないのに(キーラは相変わらずの美貌なのに)ずいぶんとオッサンぽくなってしまいました。

でも雨の中のダーシー様の髪の薄さが少々心配だったのですが、こちらはどうやら歳月がたっても大丈夫そう。


髪が心配なのは夫のカレーニン役のジュード・ロウですよね。

彼の生え際の後退を世界中の人たちが心配していますが、

すでにアイランド状態になっていたおでこの貴重な髪も透明化したら、生え際ほぼ真上まで後退!



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自然の摂理には反してないですが、あんまりにハンサムが売りだったりすると、哀愁もひとしおです。

でも役柄にはぴったりあっていて、まさに冷静で理屈っぽい、カレーニン大臣そのものでした。


最初から関係ないことばかり書いてしまいましたが、

「アンナカレーニナ」

中学か高校の時にダイジェスト版で読んだことしかないのでエラそうなことは言えないのですが、

あれだけの長編を2時間にまとめるのは凄いです。

まさに文芸よろめきの超大作で、昼ドラだったら、月~金で最低6か月は必要なところを、

内容もそんなに削らずに、それで、わずか2時間!


冒頭から、芝居仕掛け?劇中劇?と思わせるようなオープニング。

「もうひとりのシェイクスピア」も舞台の上で演じられていたはずが気づいたら外の世界につながり・・・

というものでしたが、本作は終始そんな感じ。

説明的なせりふもそれに比べたら違和感なく受け取れ、ともかく話はサクサク進みます。


離れて住んでいる兄のオブロンスキーが家庭教師に手をだして兄嫁のドリーがショックを受けている・・・

というのを聞いて、妹のアンナは列車で兄の家へ。


「兄を許せるだけの愛は残っていない?」

「許せなかったが辛い日々が続くだけよ」

なんて必死で説得するアンナ。


このとき、オブロンスキーの友人のリョーヴィンも、兄嫁ドリーの妹であるキティにプロポーズするために訪れていました。

ところが、キティはイケメンで金持ちの貴族の息子アレクセイ・ヴロンスキーと婚約していて、

あっけなくリョーヴィン、撃沈!


ところがこの時、アンナとヴロンスキーがお互いビビビ・・・と来てしまって、

激しくマズルカを踊るふたりに周囲唖然、キティは激怒、

とにかくこの二人はどう考えたって恋仲になる状況ではなく、空気読め!って感じなんですが、だからこそ愛は燃え上がる・・・?


もうオブロンスキーの浮気なんてどうでもよくなってしまったんですが、

ちなみに彼はこの騒動のあともまたまた浮気を重ね

妻子持ちの浮気は満腹でパンを盗むのと同じ」とかいわれても

「いやいや、浮気は別腹だ」

とか反省の色なし。


ヴロンスキーのアーロン・テイラー・ジョンソンは、年下の金持ちイケメン小僧。

髭とかぜんぜん似あっていません。宝塚の男役みたい!

アーロンは私生活でも自分の歳の2倍以上のおばさん映画監督と孕ませた!という実績があるので

彼のオバサンキラーぶりはただ者ではありません。リアル!

アンナは18歳で「愛のない」結婚をして息子がいるアラサー(?)人妻です。

恋をするひまもなく結婚させられたわけで同情はしますけど、

じゃあ夫を裏切っていいもんでもありません、


夫のカレーニンは政府の高官。仕事人間です。

国の指針を決めたりする立場で勲章なんかももらっているひとだから、

そんな偉い人の妻が若い小僧にうつつを抜かしてる場合じゃないんですが、

夫のほうは最初のうちはかなり冷静。


「今日の君は節度がなくて感情をあらわしすぎだ」

「私の余計な心配だとは思うが・・・」

「不注意や軽率な行為があらぬ噂をたてられる」

「夫として注意勧告する。神によって結ばれた絆を大切にしよう」・・・・


兄のところが(小さな衝突はあるものの)すぐわだかまりが解け、一件落着するのに比べ、

ヴロンスキーとの子供まで妊娠してしまうアンナは、社交界でも干されちゃいます。

「何もなかったようにふるまえば妻の地位は認めよう」といっていた夫もついに見放します。


愛する息子も置いて、家をでるアンナ。

そうまでしてもこの若い男がいいんでしょうか・・・・?


一方、キティに一度は断られたリョーヴィンですが、お相手のヴロンスキーが人妻に走ったため婚約解消。

ついに彼女もリョーヴィンの求婚を受け入れることに。

彼は地方の地主の息子ですが、小作人たちと農地を耕す毎日。

「貧しく肉体労働に追われる農民のほうが幸せに見える」

「彼らは自分が何者か悩まない」


アンナの対局で生きるリョーヴィンとキティは、実はこのドラマの影の主役なのかもしれません。


ストーリーは背徳的なよろめきドラマですが、

衣装はもちろん、一風変わった舞台セットやダンスシーン、クラシカルな音楽など見どころも多く、

けっして退屈はさせません。


ただ、すべて英語というのは、なんか安っぽくないですか?

音声はともかく、キリル文字すら出てこないのですから。

リョーヴィンとキティがお互いの心をたしかめるのに文字の書かれたさいころを使うんですが、

Then I did not know・・・・とか ILY ( I love you) とか・・


夫も不倫相手もファーストネームがアレクセイというもの偶然?

アリョーシャとかリョーシャとか愛称では呼ばないのかな?

兄がオブロンスキー、不倫相手がヴロンスキーと、こちらもよく似ていて勘違いのもとになってます。


「結婚は背負う荷物で、本気の不倫は両手を縛る」とか

「心を満たすただ一人の人を見つけること」とか

結婚を考える名言満載で、これから結婚を考えるカップルとかにもオススメできると思います。