映画 「ファンタスティックMr.FOX」 平成23年3月19日公開 ★★★★★

原作本 「すばらしき父さん狐」 ロアルド・ダール 評論社


読んで♪観て♪

妻ギツネの妊娠を機に泥棒稼業から足を洗ったMr.FOX。

親子3人、穴ぐらでの安定した生活から丘の上の大木の家に引っ越したことから、

Mr.FOXは近所に住む農場主3人の家に盗みに入ることを思いつく。

しかし、大事な家畜や食べ物を盗まれた農場主たちはキツネを追い込むことに。

Mr.FOX一家と仲間たちは結束し、穴を掘って逃げようとするが……。 (シネマ・トゥデイ)


ご存知、ロアルド・ダールの児童文学が原作。


読んで♪観て♪


私が前に読んだのは「父さんギツネバンザイ」なんですが、

今売っているのは↓こちらだけみたいですね。



読んで♪観て♪


どちらも大きな違いはないんですが、新訳では宿敵の3人の人間が

デブのボギス→ ブヨブク

チビのバンス→ ブクゼニ

ヤセのビーン→ ゼニシブリ

って、日本語名がついているところでしょうか?

(個人的にはこれはちょっとどうかと思うのですが・・)


実は、すごく前に私が人形劇をやっていたころ、

このお話、ダイジェスト版にしてやったことあるんです。

野生動物が人間と闘うのって、子供向けの話ではけっこう定番で、

子どもたちはもちろん動物たちの味方ですから、かなり盛り上がります。

「ピーターラビット」だってそうだし、

映画でも数年前にみた「森のリトルギャング」なんかもこのパターンです。


ところがところが、「ファンタスティックMr.FOX」のシニカルな大人っぽさは何でしょう!

「動物vs人間」といったステレオタイプな単純なプロットに見せかけて

大人がにんまりしてしまうような人間社会の寓話となっています。



ストーップモーションの手法でとった、おそろしく手間と時間のかかったアニメ、・・・

ということばかり強調して宣伝してましたけど、

この脚本、いいなぁ~

原作から脚本を起こそうとしたら、

「あいつら、一匹残らず殺してやる!」

「死に物狂いで掘れ!掘れ!掘れ!」

みたいな「!」ばかりの騒がしい台詞で、ドタバタ劇になってしまうこと必至です。


まず、声優がいいんですよ~

お父さんキツネがジョージ・クルーニー。

キツネ界きってのアスリートで、勇気も判断力もあるカッコいい大人の男。

なのに、たまに野生が疼いて、どうにも規制がきかなくなるのです。

ジョージの声だと、なんか説得力あるなぁ・・・



お母さんキツネはメリル・ストリープ。

安定した安全な結婚生活を望む堅実な妻。

鶏泥棒の名手だった夫を新聞記者に転職させ、

上手に夫の手綱をとってるのには脱帽です。



「妊娠したの・・・」

この台詞をいうタイミングがすばらしいです。


原作では子狐たちは無邪気で好奇心旺盛な普通の子どもたちなんですが、

映画版の一人息子アッシュは、反抗期まっただなか。

優等生のいとこのクリストファソンにライバル心を燃やす、 ちょっと屈折したキャラになっています。


「強盗帽」とか「バシット」とか、多分原作になかったアイテム、

超おもしろいです。

「きつね時間で○○日」なんていうのも、原作では記憶ないのですが、

あとから付け加えたところがとっても「ダール的」なのは

心底製作者たちが彼のファンだったからでしょうかね?


尻尾を切られたり、リンゴ酒倉庫でビーンの使用人と鉢合わせするところ・・・

これは原作にもありましたけど、映像で見るとさらに楽しいです。


本物の人形を作って動かしながら作っているので 人形劇とも近いところあって、多少なりとも経験ある者にとってはすごく興味あります。 (今日はレンタルDVDで観たのですが)

セルDVDの50分の特典映像は何だか面白そう・・・

これは「買い」ですね!


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