映画 「うさぎドロップ」 平成23年8月20日公開  ★★★☆☆


原作コミック 「うさぎドロップ」  宇仁田ゆみ 祥伝社コミックス 





読んで♪観て♪





27歳独身のダイキチ(松山ケンイチ)は、祖父の葬式に出席するため


久しぶりに帰省する。


彼はその席で6歳の少女りん(芦田愛菜)に目を留めるが、


何と彼女は祖父の隠し子だということで親族一同がパニックに陥ってしまう。


ダイキチは施設に入れられそうになっていたりんをふびんに思い、


つい自分が彼女を引き取って育てると言ってしまい……。(シネマ・トゥデイ)





あの芦田愛菜ちゃんが「おじいちゃんの隠し子」リンちゃんを演じる・・・


愛菜ちゃんのことは、私はテレビCMでしかみたことないので、


予告編をみたときから、それはそれは楽しみにしていました。



原作コミックも読んでませんが、映画館にあった「試し読み」の小冊子で


雰囲気はだいたいわかっていました。




とにかく愛菜ちゃんの大女優っぷりばかりが目立って・・・


しかも片手で抱きあげられるプティサイズでこんなに可愛いのに


このパーフェクトな芝居はなに?


彼女の天才ぶりは誰もが認めるところで、


今さら私がムキになる必要もないんですが、


今までにみた古今東西すべての子役のなかでタントツの存在感でした。


子役は大成しないとよく言うけれど、


愛菜ちゃんはすでに大女優ですね。




(テレビドラマみてないのでわかりませんが)


視聴率かせぎのくっだらない脚本で才能を浪費させないでほしいな。


ちゃんと学校にいって、リア充したうえで、芸能活動もやってほしい。


日本の宝、いや、世界の宝なんですから・・・






本作が「くっだらない脚本」かどうかはなんともいえませんが、


冒頭のお葬式のシーン。


大吉がおじいちゃんに似ているといって、


おばさんたちはみんなびっくりしてひっくり返る・・・・って、


そんな不自然な演出、映画ではやってほしくなかったなぁ~


そして親戚のおじさんおばさんがそろって悪代官みたいで、


あまりのベタさに、最初からげんなりしてしまいました。




ところで、「隠し子」というけれど、一緒にくらしていたんなら隠してないし、


戸籍はどうなってるんだろうか?


きちんと籍にいれていたら、おじいちゃんの財産の相続権も発生するし、


ただいっしょに住んでいただけなら、実の母親がわからないのに


なんで「隠し子」とわかったのか?


遺言書でもあったのかしら?


それなら、まずはリンのことを誰かにたくす旨を書きおくはずだと思いますが・・・




設定はなかなかおもしろいけれど、


いきなり独身の大吉との共同生活がはじまって


一番納得いかないのは私たち観客だとおもいます。





ご飯のおかわりをしたリンが(もうおかずがないから)


ご飯に塩をふりかけ、麦茶のコップに手をつっこんでから


小さな手で、


小さな月見団子みたいなおにぎりを握り始めるのです。


大吉にひとつ、自分にもひとつ・・・・・・


なんていじらしいの?


気がついたら泣いていました。




予告編でもやっていた


「大吉も死んじゃうの?」


これも、あのタイミングでいわれたら、


大吉ならずともおろおろしてしまいます。




おじいちゃんの思い出話をするところもよかったなぁ。


シャツを脱いで乾布摩擦したり、コンビニおにぎりがうまくむけなかったり、


キャラメルの包み紙で船をつくって水に浮かべたり、


ルームランナーでキコキコ走ってプップーとおならをしたり・・・




6歳の女の子の目線でみたおじいちゃんへの想いが伝わって


いいシーンでした。




このドラマ、半分くらいは


「小さい子どもをかかえて働く事の大変さ」


がえんえんと語られます。


大吉は27歳独身ですから、子育て支援制度なんてしるはずもなく


ちっちゃいリンを抱っこして満員電車に乗って、駅から全速疾走して・・・


と毎日ガンパリ続けるのです。


実際に子育てをしているシングルファザーからしたら、


食事の支度とか掃除とか洗濯とかもいっさいなかったから


物足りなく思われるでしょうが、


それがなくても充分苦労は伝わりました。




リンとの時間をつくるために大吉は、


残業の多い営業職から定時退社できる配送の仕事にかえるのですが、


そのときの先輩OLママのことばが印象に残りました。




「子育ては自分を犠牲にすること?


いやいや、子どもとの時間は自分の時間なんだから」




新しい職場での同僚たちのことばも。




「子どもは説明することばをもってないだけで


心の中はけっこう複雑なこと考えてるんですよねえ」


「親になったら強くなると思ってたけど、


(あまりに大切過ぎて)臆病になるんですよね」





この職場の人たちはみんな子煩悩で良い雰囲気なんですが、


段ボールをただ右から左に動かすだけ・・・って、どんな仕事なんだっ!




行方不明になったリンたちを探すのに、職場放棄して全員でさがしたり、


いきなりダンスを踊り始める妄想シーンがあったり、


見るに堪えない酷いところもありましたが、


とにかく愛菜ちゃんと(言い忘れましたが)松ケンの無敵のコラボで


わすれられない映画になりました。




この映画を見た人が 子どもが欲しくなるか


それとも子どもは無理、と思うかはわからないですが、


若い人には心の準備にはなるかな?


イクメンHOW TOものとしてはやや弱いですが、


少なくともエンタメ映画としては充分成立していると思うので


私みたいに愛菜ちゃんのドラマを見たことない人も、


(そんな人いるのかな?)ぜひ映画館へどうぞ!



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