映画「 あぜ道のダンディー」 平成23年6月18日公開  ★★☆☆☆



読んで♪観て♪


北関東のとある都市。

宮田淳一には浪人中の俊也と高校3年の桃子の二人の子どもがいる。

妻はすでに他界し、男手ひとつで育ててきた。

しかし最近は子供たちとの会話がかみ合わない。

仕事が終われば、友人の真田と毎日のように居酒屋で酒を酌み交わしている。

ある日、宮田は胃に不調を覚える。

胃ガンだった亡き妻を思いだし、自分もそうなのだと思い悩む。

相談できるのは真田だけ。

そんな中、俊也と桃子が東京の私立大学に合格する。 (GOO映画)



「川の底からこんにちは」の石井監督作品、ときいて

そりゃもう、楽しみにしていました。


そしたら日経の「シネマ万華鏡」で★ふたつ。

「次回作に期待する」なんて書かれてて、

どうしたものかと思いつつ、

ひと月近く遅れての観賞。


あ、たしかに。


50男の悲哀、なんて、

結構好みのテーマだったんですが、

リアル感うすかったなぁ~


まず、時代設定がよくわからなくて、

18歳の女の子がプリクラにはまってるなら

10年以上前?と思ったら、

対戦ゲーム機は最近のみたいだったし・・・


今どきの50歳で中卒の人なんて、けっこうレアでは?

よっぽどの事情あるはずですよね。

バブル世代のちょっと上ですよ。

団塊の世代じゃないのにね。


一番一般的な50歳といったら、

宮田と同じく受験生をかかえて

一番お金がかかる時期、

お小遣いを減らされて発泡酒しか飲めないし、

会社では苦労の多い中間管理職、

子どものことは妻まかせ、

オヤジ臭で娘には嫌われてる・・・・


なんて、サラリーマン川柳に出てくるような

ベタなオヤジ像は期待しないけれど、

ここに出てくる宮田も真田も

あまりに嘘っぽくて、困ってしまいます。


育ててくれた父にお礼の言葉は恥ずかしくても、

毎日学校であったことをじゃべることは無くても、

何の相談もなしに大学受けるか??

「勝手に海外旅行」くらいならバイトでなんとかなるでしょうが、

推薦で大学受かったら、もう容赦なく入学金の払い込みが待ってます。

二人分ならかなりな金額です。

いくら会話のない親子だって、勝手に決めるか??って話です。


親友の真田に至っては、

7年親を介護してるうちに妻に逃げられ

親が死んで遺産がはいった・・・

って、言葉での説明だけ。

二人しかいないんだから、手を抜かないで下さいよ!


その真田はなにを相談されても

「俺って子どもいないからなぁ・・・」

ってあてにならない。

それより、脚本書いた人が

「20代で子どももいないからなぁ・・・」

って私は思いましたけど。



「どうせ、私は中の下の女ですから~」

「川の底からこんにちは」のジリ貧の崖っぷちOLの居直りは見事でしたが、

「そんな当たり前のこというな」

「大変なんて、わかりきったこというな」

「弱みを見せずに男をきどってる父の心意気をわかってくれ」

と大声出したり、

「このメス豚が~!」

なんて

初対面の女子高生にいきなりキレても

ひとりよがりの馬鹿野郎にしか思えなかったんですけど。


妻に先立たれたあと、一人で子どもを育てるのって

それはそれは大変だと思うんですが、

必死で仕事してる感も、必死で家事をしてる感じも伝わってこなくて

ただただ言葉による説明なのも物足りない。


適当に仕事して、幼馴染と居酒屋で酔っ払うシーンばかりなのに

とにかくカメラはこのオヤジにやさしいんですよね。

なんかこう、もっと意地悪なブラックな視線でやってもらわないと

面白くならないと思います。


「爆笑コメディ」でないのはわかっているし、

笑いのツボを微妙に外した、ばつの悪さ、が売りだとおもうんですが、

病院での「ああ勘違い」は何のオチもなくてがっかりだなぁ・・・

今回は医師役の岩松了には(前作ではかなり最後までからんできてたから)

ちょっと期待してたんですが。


あ、これ俳優さんのせいじゃありません。

あくまでも脚本です。

「岩松さん、自分で書いちゃってくださいよ~」

って、お願いしたくなりました。


テアトル新宿で観たので、どんなちっちゃい笑いどころもひとつも外さず

皆さん丁寧に反応してましたが、

それもだんだん「苦笑い」になってきてたような。


なんか面白いシーンあったかなあ?

あ、写真屋の店員のそっけない対応はちょっと笑えたけど、

四つ切2枚で2万いくらは高すぎますよね。

「ウサギのダンス」の振り付けも可愛かった。

でも映画の1シーンとしては「ふざけんな!」といいたいけど。


とにかくですね、

「川の底からこんにちは」しか見てないからなんともいえないですが、

「石井監督、今回はどうしちゃったの?」というより

川の底・・・のほうが、まぐれで良かったとしか思えないです。


ホントは★ひとつにしたいんですが、

後半退屈で、熟睡してしまいました。

気が付いたら真田が号泣していて、

え、どうしたの?と思っているうちに終わってしまいました。

いいシーンを見逃した可能性もあるので、

★2つです。