映画 「モーターサイクル・ダイアリーズ」 平成16年10月9日公開 ★★★★☆
原作本 「モーターサイクルダイアリーズ」 エルネスト・チェ・ゲバラ  角川文庫


読んで♪観て♪

1952年、喘息持ちだが“フーセル(激しい心)”の異名を取る23歳の医学生エルネストは、
7歳年上の陽気な友人アルベルトとバイク旅行に出発する。
本でしか知らない南米大陸を、自分の目で見たいという好奇心からの冒険旅行だった。
故郷のブエノスアイレスを出発しパタゴニアへ。
さらに6千メートルのアンデス山脈を超え、
チリの海岸線沿いに南米大陸の北端を目指す1万キロ超の旅路だ。
だが所持金は乏しい上、バイクは故障ばかり。
2人の旅は困難を極めていく…。                          (GOO映画)


若かりし頃のチェ・ゲバラの放浪の旅。
デルトロのゲバラ2部作をみたときから気になっていた作品でした。

本作ではフーセルとあだ名で呼ばれることが多いのですが、
チェというのだってあだ名だから、
一応本名のエルネストで表記することにします。
ちなみに彼の本名は
エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ
なんて長いんだぁ~

医大生のエルネストは父の反対、母の心配を振り切って、
あてになるのかさっぱり分からない先輩のアルベルトと
二人乗りバイクで旅に出かけます。

アルベルトは陽気でお調子者。
一方のエルンストは見た目はラテンのお兄ちゃんなんだけど
生真面目で実直な好青年。

もともとこのたびはいわゆる「卒業旅行」
好奇心満々の観光旅行だったのでしょうが、
バイクがこわれ、徒歩の旅となり、
チリ~ペルーと現地の人たちの世話になり
医学の知識で役にたとうとすることからは
一文無しの旅人である彼らよりも悲惨な生活をしている
現地人、先住民の人たちの境遇が気になり、
弱いものが追いやられ切り捨てられていく社会体制に
強い怒りを感じます。
もう彼の目は、未来の南アメリカに向けられているのです。

ペルーのハンセン病療養所でのお別れの前日に
彼の誕生日会をやってくれるのですが、
その時のスピーチが印象的でした。

「南米は無意味な国籍で遮られていますが、
南米大陸は一つの混血民族で形成されているのです。
偏狭な地方主義を捨て、
ペルーと統一された南米大陸に乾杯」



旅の最後はいかだでアマゾンを下り、

コロンビアからベネズエラへと行くのですが、

映画ではこのあたり全く省略で、いきなり飛行場での

アルベルトとの別れ、というのはちょっと残念。

チェゲバラの映画で、旅の途中で

「カストロ兄弟と知り合う」とあったのですが、

これはこの後の旅だったのかな??

ついでにいうと、預かったお金を途中で使ってしまった

「恋人への水着」は買えたのかな?


南米は世界遺産の宝庫で、

マチュピチュやクスコなど、訪れる大学4年生は多いでしょうが

ガイドのあとをくっついて写真をとり

お土産を買うだけでは成果は少ないと思うんだけど。

まあ親としてはエルネストみたいな旅をして欲しいとは思わないし、

ウチの娘が列車も宿も予約なしで

「毎日どこの国に居るかわかんない

運が良ければローマ字のメールがくる」

という、いきあたりばったりの旅に出た時は

毎日が心配でした。

そういえば私も大学4年生の時、

シベリア横断鉄道を踏破したんでした。

あ、若いっていいですね。



ところで、「28歳の革命」のベニチオ・デル・トロは大男で

ガエル・ガルシア・ベルナルは170cmそこそこの身長ですが、

(実際のゲバラは小柄でがっちりのハンサムさんだったそうです)

ふしぎと矛盾なくつながるところがすごい。


エンドロールで、おじいさんになった盟友アルベルトの映像が。

旅の途中のふたりの写真や映画でも登場した新聞記事など

アーカイブ画像にひきこまれてしまいました。

アルベルトは1922年生まれなので

生きていたってぜんぜん不思議ではないのですが

彼のことを知りたくてググッてみたら、

「トラベリング・ウィズ・ゲバラ」という彼の書いた本があって

邦訳もされているそうです。

で、この映画の底本にもなっているとか。

ゲバラの本もまだ読んでいなのですが、

こちらも要チェックですね。

古い本ですが、図書館をさがしたらあるかも?

メモしておきます。


「トラベリング・ウィズ・ゲバラ」 アルベルトクラナード著 学研