映画 「川の底からこんにちは」 平成22年5月1日公開 ★★★★☆
 

読んで♪観て♪

上京して5年、仕事も恋愛もうまくいかず妥協した日々を送る佐和子(満島ひかり)は、
父親が病で倒れたことから帰郷。
一人娘のため父が営むしじみ加工工場の後を継ぐことになるが、
従業員のおばさんたちには相手にされず、会社の経営も倒産寸前に追い込まれていた。
その上、一緒に工場の後継ぎになりたいと付いてきた恋人にまで浮気されてしまう。
                        (シネマトゥデイ)

「しょうがないですから」
が口癖のどんづまりOLの一発逆転物語・・・!

ということなんだけど、
佐和子の「のらりくらり」生活は半端なくて、
あきれかえってしまいます。

のっけから「腸内洗浄」て、映画的じゃなくてびっくり!
彼女はここの常連さんなんだって!
「かなり溜まってますね~」
「あ、すいません」


声をかけてきた男と(断るのも面倒なので)つきあい、
男にいいように扱われて捨てられる・・・・
その5人目の男は元会社の上司で、バツイチ子持ち。
現在無職(変なミニカー作ってクビになった)
というこの男、「駄目だけど憎めない」という設定らしいですが、
私は、こういうヤツ大~っきらいなので、
もうストレス溜まって変になりそうでした。

編み物する男は(ワタシ的に)NG
似非エコロジストもNG
自分の言葉に責任持たないのもNG
「ボクのどこが好きなの?」としつこいのもNG

こんな男にのこのこ実家までついてこられたら
たまんないと思うのですが、
佐和子はゆるしちゃうんだよね~

しかも、彼の連れ子のことを叔父に聴かれて
「あ、
あ、説明めんどくさいから私の子でいいや」

って、そこはがっちり説明するところだと思うけど・・・

シジミ工場で佐和子を待ちうける従業員のおばちゃんたちは
駆け落ちして故郷を捨てた佐和子に敵意むき出し。
おどおどしゃべる彼女に
「なにをいってるんだか、聞こえませ~ん」
(あ、これ、私もいうかも。)
事務所の中に(衝立もなくて)ロッカーがあって、
おばちゃんたち、いきなり生着替え、というのはスゴイ!
(これは、私、無理です)

ゆる系ドラマの必須アイテム「岩松了」は
「ちょっと出てうざい事をいって、ささっと消える」
という節度ある遣い方が鉄則だったのですが、
この作品では叔父役で出ずっぱりの準主役扱い。
そにかく他の出演者みんなウザいので、意外と気にならないです。

どんな人にも毎日「選択」をせまられることがあり、
人生はその連続。そして選んだ道は自己責任で・・・
というふうに「私は」思っているので、
何ひとつ自分の意思で選ぶこと無く、
惰性にまかせて生きてきた以前の佐和子は
私にはありえなかったのですが、
倒産寸前の会社をなんとかするべく、
まず会社の新しい社歌をつくって、次第におばちゃんたちをとりこんで
売り上げを「2倍弱」まで伸ばすなんて、
爽快感いっぱいでした。


音譜上がる上がるよ 消費税 
金持ちの友達 一人もいない  
来るなら来てみろ 大不況 
その時ゃ 政府を倒すまで
倒せ倒せ 政府
シジミのパック詰め 
シジミのパック詰め
川の底からこんにちは 

何だかよくわかんないですが、
とにかく頑張るしかないでしょ!という歌です。

私なんか中の下ですから・・・」
というのは前半では「ぼやき」にしか聞こえなかったのですが、
「中の下で何が悪い!
良いとか悪いとかじゃなくて
私、決めたから
たいした女じゃないんだから
もう頑張らなきゃしょうがないんだから・・・」


文字にすると、ただ開き直ってるだけに見えますが、
皆の前で 大きな声で
叫び続ける佐和子(というか満島ひかり)にはちょっと涙がでました。

けっこう下ネタもおおく、上品な映画じゃないのですが、
それほどイヤじゃないのは、
きっと監督のセンスがいいからでしょうかね。


ものすごく良い映画をつくろうとしてないところ、がいい。
「こんな映画、中の下ですから」
って思って作ってたりして・・・・・

とにかくこの映画、ユーロスペース一館だけの上映なので、
その混雑ぶりは半端ないです。
実は昨日、「プレシャス」のまえの空き時間に
これを見に行ったのですが、久々の「立ち見」を経験する羽目に。
疲れたよ~