映画「潜水服は蝶の夢を見る」 平成20年2月9日公開 ★★★★★
原作 ジャン=ドミニク・ボビー作 「潜水服は蝶の夢を見る」 講談社 ★★★☆☆
いわゆる難病ものの映画は、苦手です。
涙をたくさん流しながらも、どこかで自分や家族が健康でいられることにホッとし、
それをまた後ろめたく思っている自分がいるから。
この映画もあまり興味は無かったのですが、
たまたま公開から2ヶ月後に、近所のシネコンにきていたのを、
アカデミー賞ノミネートの冠につられて、何気なくみたのでした。
高名な現役バリバリの編集長が、ある日突然左目以外のすべての自由をうばわれるが、
その残された左目の瞬きだけで、本を一冊書き上げる、というものです。
当初、自分の陥った状況に動揺し、絶望的になるところは、昔にみた
「ジョニーは戦場にいった」を思い起こしました。
で、暗~い気持ちになりました。
最初のうちはカメラは彼が実際に見たものを撮っているので、
狭い、とても見づらい画面なのですが、
しばらくして彼が現実を受け容れ、前向きに生きることを
決意した頃から、カメラは自由自在に撮影を始めます。
まるで蝶のように自由な彼の想像力を象徴するかのように・・・
肉体の自由がなくなっても、精神が健全と言うことはこういうことなんですね。
人間てすばらしい!!と心から思いました。
彼に起きたことは悲劇的なことですが、医療スタッフも家族も友人も
笑顔で自然に彼のフォローをしている。あまり薬臭い感じではないです。
むしろユーモアにあふれていて、ずいぶん笑いました。
日本だったらどうかな?と思ってしまいました。
ボビー自身の書いた原作本(彼は出版直後になくなりましたが・・)が
あることを知り、書店になかったので、図書館で予約したら、すぐ手に入ったので
一気に読みました。
ものすごくおもしろい、というわけではないけれど、
出版までの経緯を知って読むと「すごい」のひとことです。
でもこの作品に関しては、映画があまりに良かったです。