スウェーデンの民話です。

「くぎのスープ」


菱木晃子(あきらこ)さん  文

スズキコージ  絵



昔々、森の中の一軒家に、一人のおばあさんが住んでいました。

おばあさんは大変なけちんぼうでした。


ある日の夜でした。

一人の旅人がおばあさんの家に「泊めてほしい」とやってきました。


男は、「この釘一本で、うまいスープを作れる」と言いました。

食べ物などこれっぽっちもやりたくないと思っていたおばあさんでしたが、釘1本でうまいスープが作れると聞くと作り方を聞きたくなりました。

そこで、男は鍋に水と釘を入れて、かまどの火にかけました。

おばあさんは、興味津々。

男は、
「もうすぐできあがりさ。
 でも、ここでほんの少し小麦粉を入れると、もっとうまくなる…」と言いました。

おばあさんは、ほんの少しの小麦粉でもっとうまくなると思うと、小麦粉を持ってきました。


その後、男は同じ手で、
 牛乳、ジャガイモ、塩漬け肉
を鍋に入れてスープは完成!

おばあさんは、スープを一口飲んで、あまりの美味しさにびっくりしました。

あまりの嬉しさに男にパンとチーズと酒を振る舞いました。

その上、寝るときには床ではなくて、台所の長椅子を貸してやりました。


まだまだありますよ。

次の朝男が出ていくときには、ピカピカの銀貨を一枚手渡したそうです。


男を床で寝させるだけでも損をすると思うぐらいのけちんぼうのおばあさんが…ですよ。

欲に目がくらむとは恐ろしいですね。


普通に考えたら釘1本でスープが作れるわけないじゃないですか。

それに何の疑いもなく乗ってしまうところが怖いですね〜。



私たちの身の回りにもありそうですよ。

あまりにも話がうますぎる儲け話に、乗ってしまう人。
 
周りから見たら、「そんなうまい話あるわけないでしょ」と分かるのですが、当の本人は、頭の中で銭勘定してしまっているものだから、分かりません。

欲に目がくらむとろくなことありませんね。


皆さん、うま〜い話が舞い込んできたら、ぜひ一度立ち止まってよく考えてみてくださいね。