「紅(くれない)の吉野山」
大和の雄々しき魂は
忠義の刃(やいば)で 吉野山
熱き血潮で 山を染め
君子の為に 舞い踊る
炎のやうに あかあかと
燃ゆる紅葉の その色は
山を駆けし 志士達の
明日を夢みた その瞳
咆哮(ほうこう)響く 鷲家谷(わしかだに)
硝煙けぶる 吉野山
無念に散りし 郷士たち
故郷(ふるさと)還らず 何をみる
風に揺られて はらはらと
落ちる紅葉の その色は
山にて散りし 志士達の
最期に浮かべた なみだ色
枯れた紅葉は 地に落ちて
獣に踏まれ 地に埋もれ
雪に覆われ 忘れられ
新たな芽吹きの 土となる
紅いろの 吉野山
紅葉と共に 散った志士
幾星霜(いくせいそう)のうち 忘れられ
新たな国の 土となる
天誅組の詩の第1作目で書いたものです。天誅組の吉野の山中での様子を詩に起こしてみました。
天誅組の歴史は浅く、儚い最期を遂げました。
でも、彼らを可哀想な人達で終わらせたくない。儚くとも後世に何かを残していたと信じたいのです。
吉野山での悲劇は坂本龍馬の耳にも届いたそうですし、同郷の吉村寅太郎の戦死に何か思うことだってあったと思うのです。
この後に書き溜めた作品の基本ベースにもなっている詩です。