こんにちは、果実帽子です。 

 

昔から歴史小説を読むのが好きだったので、中学生のときからNHKの大河ドラマは視てました。

 

今放送しているのが、平安時代の中期を舞台にした「光る君へ」源氏物語の作者とされる紫式部を主人公にした物語です。

 

以下は、ネタバレになるので、それが嫌な方は、こで閲覧を止めて離れて下さい。

 

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童謡の「うれしいひなまつり」は誰もが知って口ずさむ歌ですが、その歌詞に、「おだいりさまと おひなさま 二人ならんで すまし顔」と言うところがあります。

 

一瞬、何も問題なさそうですが、おだいりさまは御内裏様と言う漢字で、雛人形の一番上の段に飾られるお二人(男雛、女雛)を言います。おひなさまは、三人官女や五人囃子などを含めた全体の雛人形のことです。

 

作詞のサトウハチロー先生、間違えました。(随臣の赤い顔は左大臣なのですが、それも右大臣と間違えてます)

 

天皇のもとに輿入れすることを、入内(じゅだい)と言うように、御内裏に入られること意味しますので、天皇達が住んている場所が内裏なのです。

 

さて、

天皇の妻として入内した妃も、ランクがあります。正妻は皇后、それ以外は女御で側室です。他に更衣がありますが位の低い貴族の息女がなった側室を言います。皇后は皇族と同列なので宮様となります。

 

そこでややこしいのが中宮です。本来は、皇后、皇太后、太皇太后の三后の住む場所を中宮と呼びます。皇太子を東宮と呼ぶのと同じで、東宮は皇太子の住む場所です。その中でも慣例的に中宮とは、現天皇の后を意味していました。ある時までは。

 

一条天皇の時代に、藤原の北家の思惑でややこしいことが起こります。

 

光る君へのドラマでも描かれましたが、まずは藤原道隆です。父親の兼家から摂政を引き継ぎ、天皇が成人したので関白になります。中の関白です。

 

一条天皇のもとに娘の定子を入内させていましたが、定子を立后することを目論みます。

 

しかし、定子が入内したときは、まだ三人の皇后がおりました。太皇太后(昌子内親王:3代前の冷泉天皇の正室)、皇太后(藤原詮子:現一条天皇の国母)、皇后(藤原遵子:2代前の円融天皇の后)です。藤原氏の権力闘争で短期間で天皇がころころ変わった弊害で、后の位が塞がっていたのです。(先代の花山天皇には中宮はいません)

 

本来は、皇后は天皇の正后の位ですが、皇后の位にあった遵子は退位した円融院の后であり、現天皇の一条天皇の后ではありません。しかし立后すれば宮様ですから、自ら出家でもしない限りあんた后を辞めなさいとは言えないわけです。

 

そこで道隆は、三后の別称であった中宮を新たな后とし、この中宮を皇后と同様の扱いにしてその座に定子を就かせることを思い付き、事実上の四后並立体制を強引に推し進めました。(律令制度にない反則行為)

 

遵子が皇后にとどまる中で立后した定子。これによって皇后と中宮が並立する状況が初めて生じます。

 

遵子に置かれていた中宮職は定子に置かれ、遵子には新たに皇后宮職が置かれました。公卿らの反対もものともせずに、思惑どおり権力をさらに強める道隆ですが、この皇后と中宮の並立という状況は、のちに道長にうまく利用されることになります。

 

 

光る君へのドラマでもいよいよ登場します成人(実は12歳)した「藤原 彰子」(道長の長女)が一条天皇に女御として入内します。彰子が入内した時には、一条天皇には中宮に定子、ほかに3人女御がおりました。

 

一条天皇は定子を寵愛していたため、ほかの3人女御は里に下ることが多くなります。その状況のなかで道長は彰子の後宮での立場を強固にするため、中宮に立后させることを考えます。

 

しかし一度出家したとは言え、内裏に戻っていた定子の中宮職を辞めさせられないので、かって兄道隆が行った四后体制を先例にして定子を皇后に、彰子を中宮に立て、史上初の「一帝二后」体制としたのです。一人の天皇に、皇后と中宮、二人の后(第一夫人)がいるという体制です。

 

実際にこれを立案したのは蔵人頭の藤原行成と言われています。

 

四后並立体制の太皇太后の昌子内親王は崩御され、皇太后の藤原詮子は出家(東三条院)して皇太后を辞し、皇后の藤原遵子は皇太后になりますが出家しました。長徳の変で定子も出家しています。なので皇太后も中宮の定子も出家しているので、中宮職の神事を務めることができません。中の関白時代に、皇后と中宮が二后となる先例があるので問題ない。ということです。

 

以後、皇后の定員は2名となり、一方を皇后宮、他方を中宮と呼ぶ慣行が確立しました。天皇に正妻が二人とはおかしなことになりますが、常の状態では当然なくて、その時の都合により「一帝二后」が立てられることになったのです。

 

こんな背景があるのを知りながら、光る君へをみると面白いかもです。

 

ではでは。

 

 

Aiで生成した藤原定子、ちょっとふくよかなのはご懐妊だから? 背景は寝殿造りの家屋ではありませんがAiには寝殿造りは通じなかったようです。

 

一条天皇の寵愛を受け第一皇子を授かりながらも、後ろ盾を無くし気苦労の多い薄幸の皇后ですが、歴史好きの間では人気が高いのがせめてもの救いです。そそそ