縁(結び)
(結び)とは二つの(もの)と(もの)をくくり付ける意味があります。いうなれば、もとは
一つだったものを、再び結び付けることである。もちろん、この(結び)も産霊の神の
(神道における観念で、天地・万物を生成・発展・完成させる霊的な力の存在)奇しびなる力がなければ発生しない。
だが、結ばれることによって生じてくる力は絶大だすなわちタカミムスビとカミムスビの二つの力を合わせた位のパワーを持つ。ところで<結びの神>というのがある。即ち男女の縁を結ぶいわゆる(縁結びの神)です。
この<縁結びの神>に象徴されるように<結び>という語も神道の霊性を実に端的に現している。
<結び>こそ、あらゆる宗教の前提と基本です。原語の基本も「再び結合する意味に由来る。
これに対してわが神道の場合、神も人も自然も「生まれてきた」もので最初から(結ばれた関係)
にあったのです。即ち、ヒト(人)は霊交なのです。もちろん、そうはいっても
、神道には八百万の神々がいるから、同じ宇宙という母胎から誕生して来たといえ、
一神教のような統一観念はない。そこへ、仏教思想やキリスト教の思想が入り込んできたものだから、どうしても神と神、神と人、人と人、人と自然、とがバラバラになってきてしまった。
だが神道には本来、陰と陽、男と女に象徴されるありとあらゆるもの相い反するものを、しめ縄のごとく、固く結び合わせる<結び>の力の契機が備わっているのです。宗教間の対立とは無縁なのです。