「サイバー韓国外国語大学校」のユーチューブチャンネルで,韓国語学部のカリキュラムの概要を説明する動画が公開されているのを見つけましたのでご紹介します.ほとんどの時間は,この大学で開講されている各講義をひとつひとつ説明するのに割かれていますが,冒頭では韓国のサイバー大学のことや,韓国語専攻を開設しているサイバー大学についても簡単に触れられています.
 
●[사이버대학교]_오프라인특강_진정란교수_교육과정설명

 この動画によると,韓国にはすでに21のサイバー大学が開設されていて,そのうち韓国語を学べる大学は10あるそうです.そのほとんどがKFL,つまり,“外国語としての韓国語教育”を学ぶもので,文化体育観光部が授与する韓国語教員資格を取得して,韓国語を学ぶ外国人の先生になろうという人のための過程のようです.

 動画を見ると,サイバー外大の韓国語学部は,韓国語の過程がある他のサイバー大の中でも,すぐおとなりの慶熙サイバー大や,ご近所の高麗サイバー大を意識していることが窺えます.また,サイバー外大と,サイバーではない「韓国外国語大学校」とを合わせて約1300名もの学生が,韓国語教員の資格を取得できる過程で学んでいるそうです.

 実際に高麗大に出向いて,サイバー大学の建物がどこか警備員さんに尋ねても,そんな建物は無いといわれた,という話も出てきます.このあたりは法整備が進められていて,例えサイバー大学でも学生数に応じて学生用の施設を備えないといけなくなっています.

 一般の大学に併設される形で設立されたサイバー大は,一般の大学の教授などが,サイバー大学の教員も兼任している場合がほとんどですが,こちらも学生数によってサイバー大学専任の教授を置かないといけません.一時は同じ動画講義を更新せずに何年も使い続けるという問題点を指摘した報道もありましたが,今ではこの点も改善されているようです.

 日本でインターネットで学ぶ通信制大学といえば,ソフトバングが設立したその名も「サイバー大学」と,大前研一氏が学長を務める「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」しか無いと思います.サイバー大学では,日本は韓国に大きく水をあけられているようです.

 これには,サイバー単独の大学だけでなく,将来性を見込んでソウルの有名私大の一部もサイバー大学を設けていることや,社会人の学習意欲が日本以上に高いことなどが背景にあるものと考えられます.でなければ,日本の半分にも満たない人口にも関わらず,21ものサイバー大学は存在できないと思います.

 とはいえ,サイバー大学間の学生獲得競争は熾烈のようで,ポータルサイトのNAVERに広告を打つ話がこの動画にも出てきます.広告には何より,大学の“自尊心”のためという韓国らしい側面もあるようですが,理由はどうであれ,このような裏話も知ることができる貴重な動画です.

 韓国のサイバー大学は,社会ではまだまだ一般の大学に肩を並べるような存在にはなっていないようですが,韓国の法律上,卒業生には一般の大学と同じように「学士」の学位が与えられます.ただし,韓国のサイバー大で取得した学位が他の国でも認められるかはその国次第で,日本では認められるのか,私には分かりません….

 サイバー大学なら,ネットにつながる環境さえあれば場所や国籍に関係なく,どこでも誰でも学べます.韓国のサイバー大は,学費が比較的安いのも魅力的で,これこそ真の“お茶の間留学”だと言えます.社会人の生涯学習の機会を提供するひとつの手段として,韓国はもちろん日本でも今後サイバー大学が盛んになる可能性は高いと,私個人は考えています.