新入社員自己紹介の趣味の欄に「宝塚鑑賞」と書いた。
男性で、かつ関東では珍しい…というか変わり者に見られて、一時は職場では省略して〝ミスター〟なんて呼ばれたくらいだ。当時それは長嶋監督だったから結構嬉しかった。
今から丁度40年前の話。当時トップスターの世代交代時期で、敬称略で恐縮だが花組は安奈淳から松あきら、雪組は汀夏子から麻実れい、月組は榛名由梨から剣幸、そして星組は鳳蘭から峰さをり…って言ってもほとんどの読者はピンと来ないだろうな。ひと公演に3回は劇場に足を運ぶくらいのハマりようだったんだ。
『ベルサイユの薔薇』が一世風靡した時代は、全く関心がなかった…というか「嫌いだ!」と位置付けてた。今は一般人でも見慣れてる長~いつけまつ毛やリオのカーニバルみたいな羽根など違和感があってね。独特なチャラいイメージ満載だったのが一変してしまった。
騙されたと思って…と連れていかれたショウの臨場感に完全に魅了されてしまったのだ。女性だけでこの迫力。そして歌って踊って演技…同時3役を全員がこなしている。チャラいどころか先輩後輩のバリバリの体育会であり、仲良しお嬢様グループならぬ競争世界であることが判ったからだ。「この世界はすごい!」と。
毎年4月に『宝塚おとめ』というメンバー紹介の冊子が刊行される。
今でも個人的にほくそえんでしまうエピソードに、黒木瞳の早期発掘がある。カジマン流観劇を紹介しよう。
1回目は単純に一部二部全体を楽しむ。帰りにパンフレットを購入するんだ。帰ってから各組すでにおとめでチェックした若手の出番、単独のセリフもまだ貰えてないような贔屓の若手がどのシーンでどこにいたのかを確認する。
そして2回目はストーリーや主役ではなく双眼鏡でその若手を探すのね。新人公演の時は、抜擢もあったり出番も多い。それが良かったりすると次回の本公演では配置が舞台中央になったりセリフが増えたりする、その進化が楽しいのだ。
そんな応援の仕方で“月組”での大地真央の相手役、娘役トップにまでなったのね。
なので「黒木瞳の成長の姿を昔から追いかけていたんだぜ!」っていうのが“ミスター宝塚”いや、観劇自慢の“カジマン”の青春の1ページでした。
ちなみに私のスリランカ在住時代に月組主役のふたりとも宝塚を卒業してしまいましたが、その後涼風真世を経て天海祐希も月組のトップです。(すべて敬称略で失礼します)