皆さんこんにちは
前回は、”過去にタイムスリップして原因を探る”について解説しました。
原因であろうコトを特定する簡単な方法を示唆した訳ですが、定石であれば
原因の特定の次は対策というステップに移るのですが、TORでは拙速な対策行動
は推奨しません。
惰性による改善は、決め打ち、改善乱打、終わりのない改善自己満足を招来する
確率が高いからです。
現場の改善活動でよくある風景に、「ムダは大敵」「7つのムダを見つけよう」などと
机上で会議はもってのほか現場に事実があるのだ机の上でパソコンいじっているなら
現場へ行け、ムダをなくせ。。。などといきなり現場に行きたがる自称改善マンや
何が何でも現場だと言って現場に行かせたがる工場長がいます。
TORではこれも禁止しています。
何もイメージを持たずに現場に行って何がムダでムダでないか識別できるとは考えません。
例えば工場のラインであれば達成すべきタクトタイムや作業などラインの”あるべき姿”
を明確に設定し、その上で現場に出向くことが重要です。
つまり対象となるコトの本質である”あるべき姿”を強く認識するからこそ現場で見る情景に
違和感を憶えるのであり、その違和感とは設定した”あるべき姿”と現場の情景のギャップで
そのギャップこそが”ムダ”の姿なのです。
この違和感をリアルに感じることが出来て初めて”本当のムダ”を見つけることができ的確な
改善の手を入れることが出来るのです。
前置きが長くなりましたがタイトルの”必然”と”偶然”について解説するための大切な
イントロダクションでした御容赦ください。
では本題に入ります。
前回、物語という言葉が、ちらほら登場しました。
TORでは非常に大切なキーワードになります。
物語と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?
かぐや姫、桃太郎などの昔話やバックトゥザフューチャー等の映画など
いろいろあると思います。架空のものや実話、日常の生活そのものも物語です。
つまり始まりと終わりのある事柄はすべて物語なのです。そう考えてみると皆さんの身の回りには
多くの物語がひしめいていますね。
それら物語には共通して3つの構成要素があります。
それは始まりと終わり、そしてそれをつなぐ筋道です。
そこで”必然”と”偶然”という言葉の意味を考えてみたいと思います。
皆さんは、思いがけず街で知人と出会ったり、思わぬ事故に遭遇してしまったりすることがありますよね。
想定外という言葉も最近よく使われます。
人は想定していなかった出来事に遭遇した時、大抵慌てます。偶然だから仕方ないか、などと意に介さず
前へ進んでいく人もいるかもしれません。ポジティブな偶然には「ラッキー」ネガティブな偶然には「アンラッキー」という言葉がミートしますがTORではそういう評価はありません。なぜなら”偶然”という言葉は
存在しないからです。
凡そ3次元の世界では物理の法則に支配され物事は進行していきます。また情緒的な側面では
ハートの部分、つまり心理的な反応に支配されます。
ある地点を転がり始めたボールを想像してください。
初速○○m/sec ボールの質量 ボールと路面の摩擦係数 空気抵抗etc...
このボールに与えられる様々な条件がボールの次の挙動を決定してその条件に従った軌跡を
示してボールは転がって行きます。これは偶然ではなく関係する諸条件の連携により生まれた
必然なのです。
ただそれらの条件を全て把握できていないために解らない条件による作用を偶然という言葉で
追究をあきらめてしまうがためにその事象を手の内に出来ないでいるだけなのです。
人間関係も同様なことが言えますね、性格や言葉遣い・配慮の有無、年上や年下、性別、等
いろいろな条件の状態とその連携によって行動が変化します。なんとなくウマが合わない
黙っていても解り合えるなどもこうした諸条件による必然と考えます。
TORはコトと関連する要素、その状態に着眼し状態を健全な方向へ変化させる方策を施すことで
必然的にねらいを実現することを趣旨とした理論です。
さて、必然であるか偶然であるかの違いは何でしょうか?
それは筋道を読み切れるかそうでないかの違いです。
製造ラインを例にとって解説してみます。
三つの工程を経由してモノが作られる工場があるとします。
一つ一つの工程にライン長がいるとき
各工程の長は各々の工程の中を熟知して管理下に置いてモノの流れや品質など
ねらいのものを作るのが目的ですから偶然ではなく必然の世界です。ただ管理していない
範囲からの出来事に影響されることがあります。いわゆる想定外というやつです。
こういうときよく”偶然”という意識になりがちになります。「自工程責任じゃない」「他責事案」
などとうそぶいてよくもめます。各工程内では必然の仕事をしているのに責任外の工程の影響は
そうではない意識、確かに想定していなければ想定外ですが、本当に想定出来ないのでしょうか?
この工場の工場長の立場で見てみるとまた違って来ます。
工程という小さな単位ではなく工場の入口から出口という俯瞰した見方で工場を任されている工場長
は常に工場の中で起きるコトについて想定しなければ正しいジャッジメントが出来ずマネジメント出来
ません、つまり常に入ってくる情報に基づき関係する条件の状態から筋道立てて今後起こりうる出来事
を想定し適切な管理行動をすることが重要になります。すなわち工場という舞台で繰り広げられる物語に
常に関心を払いその筋道を読み切り想定外の出来事を未然防止する。
このことを更に確かなものにするために”見える化”をするわけです。モノの状態を可視化して
異常値というレンジを設けてその状態で判断する基準と対応ルールを決める、そして行動する。
こうした努力が必然という状況を作り出します。
冒頭に述べた”あるべき姿”の設定こそが”必然”を維持し”偶然”を排除する重要な手順になります。
悩み事、人間関係、仕事の不具合などに直面した時、余りいろいろ考えず一歩引いて対象となるコト
の全体像を俯瞰して眺めて、”あるべき姿”というそもそもの原点に立つことが問題解決の近道です。
前回述べた”過去にタイムスリップして原因を探る”時にこの”あるべき姿”をイメージしていると
必ず違和感のある過去のコトを特定出来ます。ではこのコトに作用している要素は何でその要素の
状態はどうなるとポジティブでどうなるとネガティブになるか。これを定義することでこの要素の状態
をどう変えればあるべき姿へ近づくかが分かります。そしてそれをどうするかを示すのが”方策”となります。
今回も少々長くなりました...
まだまだTORの概論の解説なので解ったような解らないような不思議な感じがしているかと思いますが
TORでは各論において目指すあるべき姿とそれを実現する方策を実務レベルで組み立てるための支援
ツール(EXCEL版)の用意があります。もちろん読者登録いただいた皆さんにはフリーで提供する
予定ですがまずは概論をよく理解してからでないといけません。
次回は
これまでは過去にタイムスリップするところからのお話し主体でしたが、原因を特定し物語の筋道を
読んだ次のステップ
”未来へタイムスリップして確かめる”というお話です。
ではでは
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