(ベンツの車内)
伊舞「…ほな、あのお嬢さんが昨日坊が助けはった…?」
後部シートに寝転がる悠也に、少し驚いたように声をかけつつ、かなりなスピードで走る伊舞。
悠也「…安全運転しいや…
転校したばっかりで、野郎と心中事故やなんて、まっぴらご免やで…俺は
」
伊舞「あはは
そらオツですなあ
」
悠也「やめぇや
お前がゆーと冗談に聞こえへんわ!!
」
伊舞、ふ…と不敵に笑う。
伊舞「…儂はいつでも本気ですよ?坊。…よう知ってはるくせに…。」
「坊のお側におられるんやったら、地獄でもどこでもお供します。」
悠也は、ミラーに映った伊舞の真剣で………それでいて深い眼差しに、軽く胸を甘噛みされたような痛みを覚えた。
気づいてる…。
伊舞の気持ちは…。
ほんとはもう、だいぶ前から……。
でも、今の実の兄弟のような―――なんの遠慮もなくじゃれあい、頼り、甘えられる……この何より居心地いい関係を壊したくなくて………失いたくなくて―――――
ずっと、気づかないふりをし続けてきた。
伊舞「それにしても……坊もなかなかやりまんな…」
悠也「あ…?」
伊舞「もうガールフレンドつくりはるなんてなぁ……大阪じゃひとつも浮いた噂あらへんかったんに……」
悠也、びっくりして、ガバッと起き上がる。
悠也「ちゃっ…ちゃっ…ちゃうわ
そんなんやないわ

あっ
亜也さんと俺は、ただの…」
―――ただの……
「…ただの…《男同士》の…ダチや…」
そう言ってふいっと横を向いてしまった悠也に、伊舞がいぶかし気に問い返す。
「あのお嬢さん、女の子でっしゃろ?……それともまさか……」
悠也「《女の子扱いせんでくれ、困る》言われた……つまりは、男に恋愛感情もたれたない……友達になるなら、男同士として付き合って欲しいて………――わかるやろ?伊舞…」
そう言われて、思わず、ほお…とため息をつく伊舞。
(坊はまた、厄介な子ーに惚れてもたな……いや…厄介な奴にも惚れられとるか…ふふ…)
悠也「
なにがおかしいねん…
」
クスクス笑う伊舞に、なんとなく、悔しいような恥ずかしいような……複雑な思いがこみ上げる。悠也は子供のようにふくれっ面になって、再びシートに寝転がった。
伊舞「…何事も、初めは友達からいいますよ?坊。……あのお嬢さん、もしかしたら、小さい頃、なんや男にトラウマできるような事あって、恋愛ができへんようになったんかもしれんし……それやったら、じっくり時間かけて仲良うなれば、ええ方向にいくかもしれへんし…」
悠也、再びガバッと起き上がる。
悠也「…そ…そうなんか?
」
伊舞「いや……勘ですがね…あのお嬢さんからはどうも、ゲイとか性同一性障害とか…儂が知ってる限りの連中と、同じ雰囲気は感じられへんのですわ……むしろ、無理に《演技》しとるような……」
悠也「…演技…」
悠也、今日の亜也の言葉や表情、様子を、ひとつずつ全部思いだそうと思案する。
伊舞「…ま…儂は坊がこっぴどくふられてくれた方が都合がええですけどなぁ…?」ニヤリ
」
悠也「お…!お前なんやねん!!味方なんか敵なんかどっちやねん!!
訳わからんわ
」
伊舞「ははは
どっちでっしゃろなあー…
」
伊舞、真崎家から少し離れたところで悠也を降ろす。
伊舞「坊…明日の朝もここでまってますんで…ええですな。これは親父と頭の意志でもあります事…」
悠也「わあっとるがな…
自分の立場ぐらい…」
足早に、母の実家…真崎家の屋敷へと、立ち去る悠也を見送りながら…
伊舞はおもむろにケータイを取り出した。
(②に続く)
※今回はおまけ付き
充電するまで少々おまちを(ゆ)
伊舞「…ほな、あのお嬢さんが昨日坊が助けはった…?」
後部シートに寝転がる悠也に、少し驚いたように声をかけつつ、かなりなスピードで走る伊舞。
悠也「…安全運転しいや…
転校したばっかりで、野郎と心中事故やなんて、まっぴらご免やで…俺は
」伊舞「あはは
そらオツですなあ
」悠也「やめぇや

お前がゆーと冗談に聞こえへんわ!!
」伊舞、ふ…と不敵に笑う。
伊舞「…儂はいつでも本気ですよ?坊。…よう知ってはるくせに…。」
「坊のお側におられるんやったら、地獄でもどこでもお供します。」
悠也は、ミラーに映った伊舞の真剣で………それでいて深い眼差しに、軽く胸を甘噛みされたような痛みを覚えた。
気づいてる…。
伊舞の気持ちは…。
ほんとはもう、だいぶ前から……。
でも、今の実の兄弟のような―――なんの遠慮もなくじゃれあい、頼り、甘えられる……この何より居心地いい関係を壊したくなくて………失いたくなくて―――――
ずっと、気づかないふりをし続けてきた。
伊舞「それにしても……坊もなかなかやりまんな…」
悠也「あ…?」
伊舞「もうガールフレンドつくりはるなんてなぁ……大阪じゃひとつも浮いた噂あらへんかったんに……」
悠也、びっくりして、ガバッと起き上がる。
悠也「ちゃっ…ちゃっ…ちゃうわ

そんなんやないわ

あっ
亜也さんと俺は、ただの…」―――ただの……
「…ただの…《男同士》の…ダチや…」
そう言ってふいっと横を向いてしまった悠也に、伊舞がいぶかし気に問い返す。
「あのお嬢さん、女の子でっしゃろ?……それともまさか……」
悠也「《女の子扱いせんでくれ、困る》言われた……つまりは、男に恋愛感情もたれたない……友達になるなら、男同士として付き合って欲しいて………――わかるやろ?伊舞…」
そう言われて、思わず、ほお…とため息をつく伊舞。
(坊はまた、厄介な子ーに惚れてもたな……いや…厄介な奴にも惚れられとるか…ふふ…)
悠也「
なにがおかしいねん…
」クスクス笑う伊舞に、なんとなく、悔しいような恥ずかしいような……複雑な思いがこみ上げる。悠也は子供のようにふくれっ面になって、再びシートに寝転がった。
伊舞「…何事も、初めは友達からいいますよ?坊。……あのお嬢さん、もしかしたら、小さい頃、なんや男にトラウマできるような事あって、恋愛ができへんようになったんかもしれんし……それやったら、じっくり時間かけて仲良うなれば、ええ方向にいくかもしれへんし…」
悠也、再びガバッと起き上がる。
悠也「…そ…そうなんか?
」伊舞「いや……勘ですがね…あのお嬢さんからはどうも、ゲイとか性同一性障害とか…儂が知ってる限りの連中と、同じ雰囲気は感じられへんのですわ……むしろ、無理に《演技》しとるような……」
悠也「…演技…」
悠也、今日の亜也の言葉や表情、様子を、ひとつずつ全部思いだそうと思案する。
伊舞「…ま…儂は坊がこっぴどくふられてくれた方が都合がええですけどなぁ…?」ニヤリ
」悠也「お…!お前なんやねん!!味方なんか敵なんかどっちやねん!!
訳わからんわ
」伊舞「ははは
どっちでっしゃろなあー…
」伊舞、真崎家から少し離れたところで悠也を降ろす。
伊舞「坊…明日の朝もここでまってますんで…ええですな。これは親父と頭の意志でもあります事…」
悠也「わあっとるがな…
自分の立場ぐらい…」足早に、母の実家…真崎家の屋敷へと、立ち去る悠也を見送りながら…
伊舞はおもむろにケータイを取り出した。
(②に続く)
※今回はおまけ付き
充電するまで少々おまちを(ゆ)