越前三国 海運楼ブログ ~ 海日記-地球
 昨日は 熱帯夜のように寝苦しい夜だった。朝 海運座に来ると 爽やかな南風が吹いており 福井市内とは3~4度涼しく感じる。
 今日の海も穏やかで 水面を風が過ぎるときのさざ波が 爽やかさを一段と惹き立てているようだ。
 今日は 福井の魚市場の話。
 福井の市場は市内の北郊外にあり、魚・野菜、それから花まで毎朝活気に溢れてる。
 魚のセリは、本セリが早朝4時半。そこでは地元だけではなく全国から集まった、底引き網や刺し網漁などの魚介が大量に集まり、活気あるセリ人の声に仲買の人たちが値を上げていく。
 市場が一段落した7時40分に越前海岸にあるいくつかの定置網で朝水揚げされた魚介のセリ「追っかけ(二番セリ)」開始のチャイムが鳴る。
 鷹栖をはじめ 各定置網毎に到着した魚が入ったトロ箱が並べられ、事前に仲買人たちが品定めした箱を次々と競り落としていく。
 最初は活魚でヒラメや鯛、アジやチヌなどが泳いでいる水槽の魚から始まり、大魚ではブリ、サワラをはじめ、夏にはバレンと呼ばれる芭蕉カジキや黒マグロまで並ぶ。もちろんアジ、鯖、イカやカワハギ、ホウボウ、クルマ鯛、飛魚など魚種も豊富で、見ているだけで楽しい。
 セリ人の名調子に釣られて次々セリ落とされる魚介は、次々と競り落とした仲買人の売り場に運ばれて8時過ぎには魚屋さんや料理屋に運ばれて行く。 僕は、ほぼ毎朝海運座と海運楼の魚を買うために、この追っかけを見に行く。
 馴染みの仲買会社の社長と一通り下見し 気に入った魚があれば指値してセリを依頼するのだ。

 僕は、白身は鯛・ヒラメよりも身の締まった石鯛や車鯛・カワハギが好きである。
 また 新鮮なサワラの刺身もとびきり旨い。イカなら透き通った新鮮そのもののスルメやマイカ。この時期はまだ小さい新イカが揚り、下処理が面倒だけど、たまには仕入れる。昨日は100ぱい以上の子マイカと3時間ほど格闘した。
 透き通ったイカの造りは格別。残ったゲソやミミは軽く湯がいて生姜や酢の物 酢味噌で食すと絶品である。

 魚は、買ってすぐに内臓とエラを取り、血合いを水洗いしておくと臭みが出ない。三枚に下ろすのは できるだけ料理の直前がよく、海運座・海運楼では 到着次第下処理だけを施し、調理の直前に捌くようにしている。
 今日は、地元の梶浦の漁師さんが朝方海運座の沖で釣ったフクラギを持ち込んで来た。
 釣り魚は網で採ったものより身が締まって旨い。10本ばかりいただいた。
 この商いをしていると 魚にはこだわる。遠くから来ていただいたお客様に、できるだけ新鮮な、スーパーでは買えない魚を食べていただきたい。
 そのための早起きは苦にならない。新鮮なものをできるだけ早く。鮮度を保ちつつ手間を惜しまない料理を創っていく。
 毎日 食べ残しが無いかと気にかけているが、お蔭様で両店ともほとんど残らないことが、僕の幸せの極みなのである。

 海運座は越前三国の2人のおばさんが。海運楼は熟練の板前が2人で料理している。
 会席と定食の違いはあるが、それぞれに趣があり、「おいしかった」とのお客様の声を日常的に聞くことで市場通いが止められなくなった。
 冬場の早起きはけっこう厳しいが、この声を聴きたくて頑張ってきた。
 これからも 根性で頑張ります。

 海運楼・海運座の美味しい料理を、ぜひ食べていただきたいと思う。