越前三国 海運楼ブログ ~ 海日記-越前三国浜地の海

 今日の空は 雨模様の薄曇りで 風が徐々に強まっている。昨日までの暖かく穏やかだった海も 今日から冬の名残を楽しむ時化模様となるようだ。
 海の色は 日々刻々変化する。群青から灰色へ 色とともに海原も風によって騒がしくなる。
 この一週間あまり 三陸沿岸での 津波の被害状況が毎日報道され 海の力が人知を超えた自然の脅威に映る。今 日本中が喪に服したようになり それまでの華やかな喧騒が はるか昔のことのようだ。浮き足立って 無責任な風潮が蔓延したことへの警鐘のように感じる。ここ越前に生活していると 報道以外には 街が静かに感じる以外 物不足もなく 何の変化もない。幸せなことだ。当たり前が これほど幸せに感じるのは テレビを通し 被災地のあまりに大きな悲しみと 被災者の窮状が刻々伝えられるからに他ならない。運よく津波と無縁だった人々は みんな 彼らのために何かできないか考えている。
 いつものように 穏やかな海を見ながら 心配になって日本海の地震について調べてみた。最近の 新潟中越沖地震では 3~40cmの津波しか観測されず 昭和58年の日本海中部地震(秋田沖地震)では 青森県津軽市では 地形によって15m近い津波が発生し 100人以上の犠牲が出た。日本海側津波発生の源となる地震の発生源は 日本海東縁変動帯(サハリンから新潟沖でユーラシアプレートと北米プレートの境界)に集中しており 歴史上は この越前で津波被害の情報がない。ひとまず安心できることだ。
 海運楼は 外海に面した日本海が一望できる高台にあり 駐車場まででも海抜15mほどはある。建物も頑丈な鉄筋造りだから ひとまず自身の心配はしなくて済むようだ。このような場所にいて 三陸の惨状を見るにつけ 海の優しさと怖さが錯綜する。まずは 日本中が災害ストレス襲われていることから 海運楼は 海の優しい面の力強さと 幸せな私たちの力(地魚料理とおもてなしの心)で 来館者を癒してさしあげようと思う。
 もうひとつの心配の種 福島の原発は 幸いにしてこの季節は 北から西の風が毎日吹いている。若狭は日本有数の原発立地地ではあるが ここまでは50km以上ある。これも幸せの種ではある。
 申し訳ないほど幸せな地域にいて 今できることは 来館者への負担少ない癒しの提供と 落ち着いた段階での経済支援しかないように思う。私たちにも日々変わらぬ生活と仕事がある。観光地は今閑散期であり できる範囲でできることを考えて行こう。