満社長と最初にお目にかかったのは、「富士山本宮浅間神社」様。


人見知りせず、ヨイショもせず(笑)、何より彼を利用しようと云う気持ちの無い私は初めて訪れた浅間神社様が荘厳で、「へぇ~!」などと無邪気にキョロキョロしていたが、そんな自分に満社長は優しい眼差しを向けていて下さった。


彼の秘書や私のグループ計十名ほどで正式参拝、その後お人払いをして
満社長だけに「ご託宣」をお伝えした。 そこは紛れもなく私が霊視していた場所であった。 浅間神社様で落ち合うと決まった際に透視していた……少し朽ちた白木の様な鳥居のある殺風景な所……詳細に説明したのだが、「そんな場所ないですよ。 あそこの鳥居は朱塗りですしねぇ。」とS氏は否定した。 然し、即座に電話で神職さんに問い合わせた彼に、「在ります。 富士浅間神社で、最初に神様が降臨なさったとされている場所です」と教えて下さり、彼等は一層私に興味を抱くことになった。


いざその場に立ち、満社長へメッセージをお伝えする段になると流石に固くなったが、私を通しての「ご神託」をお聞きになるや否や、「よし、解った!!
神戸に来ぃや!
絶対、きぃや!!」と何回も力強く仰った。

その内容は僅かワン・センテンスであったが幾度も頷かれる程に得心され、且つ、とても高揚しておられた。


私も亦、「使命を果たせた」喜びに浸ったのを思い出す。


そして数週間後、満社長に神戸のホテルでステーキをご馳走になった時、

「ワシなぁ、このコを預かったら、日本一の霊能者にする自信があるで!」

そう皆の前で、私の肩をポン!と叩き乍ら身を乗り出す様にされたが、
何かが怖かった私は
新幹線で都内に戻った。

その怖れは、彼が「山口組三代目さんのご子息」だからではない。
ご神佛様や私の先祖が、ストップをかけて下さったのだと思う。


それからも、友人と彼のお宅に遊びに行ったり、
キタのクラブへ連れて行って戴いたりはしたが、満社長の肝煎で「日本一の霊能者」になる気持ちは芽生えなかった。
実は当時私は、東京市部の小さな教団に在籍したばかりだったが、そこの「会長」は「小川を利用して、田岡社長をトップに据えての霊能プロダクションを作ろう」などと、噴飯物の野心を抱いていたことも私の心にブレーキを掛けた。


満社長の社長室には
菩提樹の下で瞑想するかの様な「お釈迦様」が、センスよく祀られていたのが懐かしい。


壁面には、旅行された世界各国の写真。
これも素敵なアングルばかりで、やはり感性の素晴らしさを感じた。


~つづく~