東野圭吾「秘密」

ある家庭では、一家が幸せな生活をしていました。父は母を愛していましたし、娘への愛情もありました。しかし、母子は実家へ帰る途中で事故にあってしまい、命の危機に瀕します。

しかし奇跡的に娘だけ意識が回復し、不幸中のなかの一筋の光に思えました。しかし意識が回復した娘がしゃべったのは、自分は母である直子だというのです。娘である藻奈美の体に、直子が乗り移ってしまったのです。

それから奇妙な父子家庭が始まりました。体は藻奈美だけども心は直子という生活が始まり、直子は藻奈美として生きていく事にしました。そして、妻だけ人生をやり直しているような感じがして置いてきぼりになっている夫との距離が深まっていきます。娘なのに焼きもちをやいたり、果てには盗聴をしたり手紙を盗み読みしてしまいます。

一方、藻奈美の体では藻奈美本人が目を覚まし始めました。消えつつある直子の意思を惜しみながらも、ついに藻奈美は心も体も完全に回復して直子の意思は消えました。

しかし藻奈美の結婚式の当日、藻奈美の行動から直子は完全にいなくなったわけではないのを夫は悟ります。藻奈美が甦ったのは、すべて直子のお芝居でした・・・