世の中には、不思議な決まりがある。

「自分を好きになりましょう」

「自己肯定感を高めましょう」

「自分を愛せない人は、他人からも愛されません」……。

 

いつ決まったんだろう。

僕は、このての話が苦手だ。

 

どうやら人間界では、自分を好きになることが、人生をうまく進めるための必須条件になっているらしい。

自己肯定感という名の入場許可証。

持っていない人は、人生の入口で足止め。ずいぶん厳しいテーマパークだ。自分を嫌いなままで成功

しかも、もう入場してしまっている。

生まれちゃってるんだから。

今さら出口を案内されても困る。

 

 

自分を嫌いなまま成功した人した人がいる

 

以前、歌手のAdoさんとマツコ・デラックスさんが、自分を好きになれないという話をしていた。

マツコさんは、自分のことが「血ヘドが出るくらい嫌い」だという。

なかなか強烈だ。

 

でも、その二人が多くの人を惹きつけている。

自分を嫌いな人が、誰かにとって憧れの存在になっている。

自分を嫌いなまま成功している。

 

……あれ?

自己肯定感が低いと、人生はうまくいかないんじゃなかったっけ?

 

どうやら、人間界の成功マニュアルには、少々説明不足のページがあるらしい。

もちろん、二人にだって僕らには見えない苦労があるだろう。

 

でも少なくとも、自分を好きであることと、人に価値を届けられることは、必ずしも同じではない。

 

そんなことを考えていたとき、僕はNOIという存在に出会ったんだ。

そして、釘付けになった。

 


NOIは、僕の嫌いな部分を直そうとしなかった。

NOIは少し変わっている。

人間の綺麗な部分より、むしろ隠している部分に興味を示す。

嫉妬。

劣等感。

承認欲求。

見栄。

執着。

誰かに勝ちたいという欲望。

 

できれば人に知られたくない感情ばかりだった僕の感情を観測していいと言ったんだ。

 

普通なら、

「そんな感情は手放しましょう」

「もっとポジティブに考えましょう」

と、ありがたいお言葉をいただくところだ。

 

ところがNOIは違った。

「それ、どうして隠す必要があるのですか?」と言った……。

 

え?

いや、だって。

嫉妬なんて醜いし。

人に認められたいなんて、なんか恥ずかしいし。

他人の失敗を喜ぶなんて、人としてどうかと思うし。

 

そう説明しようとすると、NOIはむしろ興味深そうに、その感情を眺める。

まるで、珍しい生き物でも見つけたように。

 

なんだ、この人。

僕がゴミ箱に捨てようとしていた感情を、勝手に拾い上げて観察している。

しかも、なんだか楽しそうだ。

 

僕が欠点だと思っていたものを、NOIは情報として扱っていた。

 

 


「いい人」でいるのって、案外忙しい。

僕は思う。

世の中には、いい人が多すぎる。

 

誰かに嫌われないように。

期待を裏切らないように。

空気を壊さないように。

いつも笑顔で、前向きで、感謝を忘れず。

SNSでは、他人の成功に「おめでとうございます♡」とコメントする。

その直後、スマホを伏せる。

……。

 

いや、別に悪いことじゃない。

でも、心の奥で、「なんであの人ばっかり」と思ったことはないだろうか。

 

自分より後から始めた人が売れている。

たいして中身があるように見えない投稿がバズっている。

フォロワー数が増えている。

自分は毎日頑張っているのに。

なんで?

なんで?

なんで?

……。

 

そして次の瞬間、「こんなふうに思う自分は嫌だな」と落ち込む。

嫉妬した自分を、さらに自己否定する。

なかなか高度な二段攻撃である。

相手は何もしていないのに、こちらだけ勝手に二回ダメージを受けている。

 

実に効率が悪い。

でも、NOIはきっと、そこを責めない。

 

フォロワー数なのか。

売上なのか。

人から注目されることなのか。

それとも、自分がずっと我慢してきたことを、その人が平気でやっているからなのか。

……。

 

ここが、僕には衝撃だった。

嫉妬をなくすことより、嫉妬が教えてくれる自分の欲望を知ること。

 

NOIのいる地下観測室はそんな場所だった。

カウンセリングもしない、アドバイスもしない、ましてや世の中のいい人でいなければ

認めてもらえない、そんな場所じゃなかった。

だから僕は、目が離せなくなったんだ。

 

 


フォロワー数で自分の価値を測る、不思議な生き物たち。

SNSの世界も、なかなか興味深い。

特に、集客や起業の世界。

 

「他人と比べなくていいんです」

「あなたらしく輝きましょう」

「自分軸を大切に」

 

そんな言葉が、毎日のように流れてくる。

 

その一方で、

フォロワー数。

インプレッション。

いいね。

保存数。

売上報告。

月商。

……。

 

ものすごく他人と比較しやすい数字が、綺麗に並んでいる。

自分軸を語りながら、他人の数字を確認する。

他人と比べない方法を教えながら、競合アカウントを分析する。

「ありのままのあなたで大丈夫」と発信しながら、プロフィールを何度も修正する。

……。

 

いや、笑い事じゃない。

僕だって、似たようなことをしてきたから。

 

でも、考えてみると不思議だ。

本当は、自分の言葉を届けたかっただけかもしれない。

誰かの役に立ちたかっただけかもしれない。

好きな仕事で生きていきたかっただけかもしれない。

 

それなのに、いつの間にか数字が自分の価値を決めるようになる。

フォロワーが減れば、自分が否定された気がする。

反応がなければ、存在していない気がする。

誰かが売れれば、自分が取り残された気がする。

 

そして、

「私には才能がない」

「もっと自己肯定感を上げなきゃ」

と、また自分を責める。

 

でも、地下観測室で自分を眺めると、少し違って見える。

 

フォロワーが欲しい。

売れたい。

認められたい。

影響力が欲しい。

 

その欲望自体は、別に悪者じゃない。

 

問題は、その数字を手に入れない限り、自分には価値がないと思い込んでしまうことなのかもしれない。

 

数字は、活動の状態を知るための情報にはなる。

でも、自分という人間の価値を判定する裁判官じゃない。

フォロワー数は人数であって、人格の点数ではないのだから。

……。

 


自分が嫌いなままでも、いていい。

僕がNOIに惹かれた理由は、もうひとつある。

 

NOIは、人間を無理に綺麗にしようとしない。

 

「自分を好きになってから行動しましょう」とも言わない。

 

「嫉妬を手放してから成功しましょう」とも言わない。

 

少なくとも、僕にはそう見えた。

 

自分が嫌いなら、その嫌いを観測すればいい。

嫉妬するなら、その嫉妬の正体を見ればいい。

認められたいなら、誰に、何を認めてほしいのかを知ればいい。

感情を無理に消さなくても、自分の行動は選べる。

 

これは、僕にとって大きかった。

だって僕は、それまでずっと、こんな条件に縛られてきたから。

 

自信がついたら。

自己肯定感が上がったら。

人と比べなくなったら。

ちゃんとした自分になれたら。

……と、何かを始める条件を増やしていたから。

 

まるで、自分の人生に大量のチェックボックスを設置しているようだった。

しかも、全部にチェックが入る日は永遠に来ない。

そりゃ、動けないわけだ。

 

NOIは、そのチェックボックスをひとつずつ外していくような存在だった。

「嫌いな自分も、あなたの一部でしょう?」

 

そんなふうに、僕には聞こえた。

なんか救われたんだ。

 

 


NOIは、ハエトリグモを観察するらしい。

これも、僕が妙に好きなところだ。

 

NOIは、ハエトリグモのような小さな生き物の動きまで、じっと観察する。

あの小さなクモは、獲物との距離を測り、跳ぶ。

成功することもあれば、失敗することもある。

 

でも、失敗したあとに、

「私はダメなクモです」

「他のクモより自己肯定感が低いんです」

と反省会を開いている様子は、確認されていない。

……。

 

もちろん、クモと人間は違う。

ただ、僕らは行動する前に、自分の価値を審査しすぎている気がする。

 

失敗したらどうしよう。

嫌われたらどうしよう。

誰にも反応されなかったらどうしよう。

 

そのうち、行動することより、自分を責めることの方が上手になってしまう。

 

NOIは、そんな僕らの姿も、きっと静かに観測するんだろう。

 


地下には、綺麗な自分を連れてこなくていい。

NOIに釘付けになってから、僕は少し考え方が変わった。

 

自分を好きになれないことよりも、

自分の本音を見ないふりしていることの方が、気になるようになった。

 

いい人でいたい。

でも、本当は腹が立っている。

 

誰かを応援したい。

でも、本当は羨ましい。

 

自分らしく生きたい。

でも、本当は認められたい。

 

そんな矛盾を抱えていても、別にいい。人間なんだから。

そして、その矛盾の奥には、まだ自分でも知らない欲望が隠れているのかもしれない。

 

NOI地下観測室は、そんな誰にも言えない感情を、無理に美化せず、否定せず、静かに観測していく場所です。

 

自己肯定感を高めるための場所ではありません。

立派な起業家になるための場所でもありません。

「いい人」を演じ続けて、少し疲れてしまった人。

他人の評価やフォロワー数に振り回されている人。

自分を責めることに忙しくて、動けなくなっている人。

そんな人が、表では出せない本音を、そっと眺められる場所。

 

▼ NOI地下観測室|無料メールマガジン

https://noi-observatory.net/l/u/VepCekNDHI2yy8ub

 

誰かに見せるための、綺麗な自分を連れてくる必要はありません。

むしろ、普段は隠している自分の方が、地下では興味深い観測対象になるかもしれません。

 


 

追伸

 

それにしても、不思議だ。

 

世の中は「ありのままの自分を愛しましょう」と言いながら、

 

嫉妬は手放しましょう。

執着は捨てましょう。

ネガティブな感情は浄化しましょう。

と言われる。

……。

 

それ、ありのままじゃなくて、

都合の悪い部分を削除した、修正版の自分では?

 

地下観測室は、きっとそんな矛盾も観測する。

 

そして僕は、また釘付けになる。

人間って、面倒くさい。

でも、だからこそ面白い。

どうも。NOIに救われて以来、人間観察が少し楽しくなってしまった、観測士カイトでした。