「14.生きて・・・生きてゆけたら」。「ランナー」ですね。真梨子さんの代表曲のひとつと云って良いでしょう。

 作詞は大津あきら、作曲は鈴木キサブロー。二人とも真梨子さんにとって、なくてはならない音楽家だったでしょう。残念ながら大津さんは1997年4月10日に癌性腹膜炎で亡くなっています。ちなみに、彼の奥方は女優の根岸季衣さんでした。

 当時、無名だった鈴木さんと大津さんは、是非にと真梨子さんに作品を持ち込んだと云います。それが1981年10月発売の「LOVENDOW」に収録された「BAD BOY」です。そして、この二人の才能を認めた現在のMUSIX社長、園田正強氏が真梨子さんの必要とする歌の要件を提示して彼らに作らせたのがこの「ランナー」だったとか。

 ドラマ性を持ったスケールの大きな作品に仕上がっています。当時、真梨子さんはコンサートの幕切れを「夢の中へ」で締めていた様に記憶しています。しかし、「ランナー」が出来てからは長い間この作品がコンサートを締め括る曲になりました。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール公演でも最後に歌われたのが「ランナー」でした。

 真梨子さんがコンサートの終幕でランナーを歌います。♪生きて♪生きて♪の大サビになると舞台の照明が全開します。ドレスに身を包んだ真梨子さんの姿がより一層輝いて我々の視野に飛び込んで来ます。

 間奏の僅かな間に真梨子さんは観客への感謝と再会を語りかけるのが常です。観客もまた大きな拍手で応えます。そして、大サビのリフレイン。真梨子さんのパワー炸裂の場面です。会場に足を運んだ人々は真梨子さんのメッセージ「生きること」をそれぞれに受け止めて家路を急ぐことになるのです。多くのファンが真梨子さんの歌に勇気づけられ明日への活力を育むのです。「for you …」と並ぶ名曲でしょう。

 「15.人はさよならを 知らず生まれた」。メロデイー♪が浮かびます。「Traffic~混雑」です。♪人はさよならを・・は、歌い出しではなく、サビの歌詞です。

 作詞は、真梨子さん、作曲は岩沢二弓。ちなみに、岩沢さんは、伝説の兄弟デユオ「ブレッド&バター」のお兄さんです。真梨子さんとのコラボが、この一曲なのは残念です。

 「16.夜明けのめざめに 雨音聞けば」。これは、「レイトリー」。真梨子さん、11枚目のオリジナルアルバム「FOREST」収録です。ちなみに、このアルバムは、真梨子さん初のCDアルバムだった様な・・・。アナログなLPレコードからCDへの端境期に発表されたアルバムでした。ジャケット写真は、巨匠立木義浩が手掛けています。

 作詞は、松井五郎、作曲は鈴木キサブロー。松井さんも、鈴木さんも、真梨子さんの盟友と云って良い音楽家でしょう。そして、編曲は、あの久石譲が担当しています。ジブリアニメの音楽等で世界に名を馳せた久石さんも、当時は新進気鋭の音楽家でした。

 真梨子さんと久石さんとの、ご縁は、この「FOREST」だけでしたが、このアルバムには、真梨子さんにとって、珠玉の作品が収められていると思います。「ノンフィクション」や「ブルースを聞かせて」、「デスティニー」、「黄昏人」等々。