「真梨子さんDEスケルトン」。「タテのかぎ」です。「10.いにしえの階段に 長い影 ふり向けば」。なんとなくメロデイー♪が浮かびますが・・・。「Sweet Journey」収録の一曲ではないでしょうか。

 当たりです。「カイロから来た男」です。岡本朗が作詞作曲を手掛けた、センチメンタルなバラードです。この作品の良いところは何といってサビの部分です。「時間を越えて♪愛を超えて♪あなたのもとえ帰りたい♪」「傷ついても♪哀しくても♪果てしないロマン♪」。堪らないですね。ローマ2000年の歴史が目に浮かんでくるようです。スキピオやカエサルの勇姿が髣髴とします。塩野七生氏の「ローマ人の物語」を一通り読んでこの作品を聴くと格別の味わいがあると思います。

 「カイロから来た男」を忘れられぬヒロインは、二人の思い出の場所であるローマを訪ねています。「トレヴィの泉」あたりでしょうか。彼女は、彼と、ここで運命の邂逅を果たしたのです。しかし、その時は「互いに名も告げず、静かに別れた」のでした。

 時が経つほどに、彼に対する想いが募ります。彼女は、彼を求めてローマを巡るのです。「トレヴィの泉」、「市立博物館」、「スペイン広場」、「コロセアム」等々、彼女は彼の面影を求めて歩きます。

 ローマ市街でヴィーナスを一人見つめていた彼は、若手の考古学者だったかも知れません。発掘作業で健康的に日焼けした彼の容貌に、彼女は彼が追う夢の一端を垣間見たのかも知れません。ここで待っていれば、きっと彼に逢える。彼女は、信念とも願いともとれる強い思いを込めて泉に硬貨を投げ入れるのです。

 彼女の思いを優しく見つめるヴィーナスは、彼女の願いを叶えてくれるでしょうか・・。彼女の熱い、恋心は彼に届くのでしょうか。彼は、未だ、ローマに滞在する気配もあります。二人の運命の赤い糸が交わることを願うばかりです。

 「11.ライ麦揺れてた 黄昏の昔 誰もが幼かった頃」。これも、何とはなしにメロデイー♪が浮かぶのですが・・・。「ときめいて空に」です。2002年発売の真梨子さん、25枚目となるオリジナルアルバム「time of love」収録です。作詞は、真梨子さんは、作曲は、かつての大失恋のお相手、浜田金吾さんです。

 真梨子さんの作品には、最初はあまり印象に残らないのですが、暫くして聞くと非常に味わい深いものを感じるものが多々あります。この「ときめいて空に」も、そんな一曲です。

 ♪未来に手をひかれ 過ぎた永遠・・。♪貴方は貴方で 違った形の 愛を極めていく・・。真梨子さんの詞が胸に刺さります。それでいて、スケールの大きな歌になっています。

 二人は幼馴染だったのでしょうか。幼いころから惹かれ合い、いずれはこの人の「お嫁さんになる」と彼女は心に決めて育ったのかも知れません。しかし、人生は万事塞翁が馬と云う様に何が起こるか分かりません。何かの偶然が二人の仲を裂いたのかも知れません。やがて、二人は別々の人生を歩き、彼女も様々な波乱万丈に身を委ねていたに違いありません。

 一方で、彼女には悔いのない愛を生きて来た自負と恥じない愛を貫く自信があるのです。