本年もよろしくお願いします。
(喪中なので新年の挨拶ナシですみません)

出版社コモンズの大江さんが発信した「福島県有機農業ネットワークからの緊急アピールメール」が届きました(以下の通り、アピール自体は年末に発信されています)。
「年の瀬にあたり、ふくしま有機ネットからの訴え~有機農業者・減農薬生産者のコメの支援をお願いします~」

年末年始のテレビはこぞって東日本大震災や福島原発事故から立ち上がる東北の人たちの元気情報を発信してくれ、私も逆にその辛抱強く頑張る東北の人たちの姿に励まされていたのですが…

やはり原発事故の風評被害は年が明けても事態がより深刻になる一方で、本当に大変なようです。
私も全く知らなかったのですが、報じられないところで、農家の尊い命が次々に絶たれているようです。

東京農大OBの若手を集めて現地への支援活動を続けている同僚に、この緊急アピールのメールを送って職場での回覧を相談したところ、以下のようなメールが返ってきました。

「パルシステムでも、福島応援セットは全然売れずに嘆いてるんだとか・・・

会津高田で有機無農薬栽培をしている友人も、お得意さん数件を失ったとか。

そこも自腹で検査し、未検出だったそうなのですが。。。

先日お会いしてきた、郡山の鈴木光一さんも、「福島産であれば、とにもかくにも売れない。かつ、いつまでこの状態が続くか分からない、というのが恐怖」だとおっしゃっていました。

今日午前中お会いした、『花図鑑わたし流』の著者も福島市内にお住まいで、震災以降は一切花づくりを止めたとか。庭もへたにいじれず、放置している状態だとか。市内は、除染をしても雨が降ったりするとまた放射性物質が流れてきて線量が高くなる、の繰り返しなのだそうです。

震災以降、市内の心療内科はつねに混雑状態なのだとか。

根が深すぎてやりきれません。」

本当に現場の状況は深刻なようです。

事務局と連絡を取ったところ、「とにかくこの人をまず支援してくれ!」ということで、営農や生活の維持のためにかかる費用もさることながら、子どもへの教育費などで大変な思いをされている喜多方の有機栽培米農家をご案内いただきました。

後でこの方をネットで調べていたら、この方の応援により希望を胸に都会から引っ越してきて10年。国産大豆生搾りで、天然にがり・消泡剤不使用の豆腐を作ってきたご夫婦のことを取り上げた記事に出会いました。

「広告マンからこだわりの豆腐屋へ 会津で実践する自分流の生き方」

どんな豆腐を作っているのかと、リンクの張られてる店のホームページにアクセスしたところ、6月に入ってついに豆腐の製造さえも立ち行かなくなってしまい、その後廃業されたことが書かれていました。

農業だけでなく、真面目に本物の食品を作ろうと頑張ってきた人たちにも、その風評被害が広がり、商売を立ち往生させている。この現実を何とかしないと、これまで培われてきた「絆」は、これから先もズタズタになりかねません。

長いですが、福島からのアピール、もしよろしければお読みください。

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年の瀬にあたり、ふくしま有機ネットからの訴え
~有機農業者・減農薬生産者のコメの支援をお願いします~

3・11大震災・原発事故に揺れた2011年の年末にあたり、この1年の温かいご支援、ご協力に心から感謝を申し上げます。

 年の瀬のこのときに、伊達市(霊山町)のイチゴ農家、二本松市(東和町)のりんご農家が自ら命を絶ちました。もうこれ以上農民から犠牲者を出さないでください。福島県の米は農協の倉庫に業者の倉庫にそして農家の納屋に生き場をなくして年を越す状況にあります。
 とくに消費者との産直で取り組んできた有機米、減農薬米の生産者の「これでは年を越せない」との悲痛な声に耳をかたむけてください。

 すでに報道されているように、検査の結果100ベクレル以下は95%(不検出は85%)であり、基準値を超えたのは0・3%です。もちろん検査し、不検出の米のみの支援をお願いするものです。出荷停止となっている伊達市小国地区などの地域は特異な例であり、それをもってすべての福島県産米が否定されることは悲しくてなりません。セシウムの米への移行が極力少ないことが検証され、来年の米づくりに光りが見えてきているこのときに、この希望の芽に心を寄せて下さい。

 責任は東電にあり、農民を責めることができるでしょうか。

 原発のない新しい時代を創るために今こそ、都市と農村の新しい関係を構築していくこと、私たち農民も農の営みを続けて、さらに安全安心なふくしまを再生していくことを約束して、緊急に米のご支援を訴えさせていただきます。

                        2011年12月30日

                 NPO法人福島県有機農業ネットワーク

                         理事長  菅野 正寿


※支援を求めている農家は多数あり、販路を求めている米は数十トンにのぼります。

詳しいお問合せ・連絡はふくしま有機ネット事務局(齊藤登 yuuki@farm-n.jp

TEL0243-24-1795【二本松農園事務所を兼ねる】)までお願いします。

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【お米の値段について】
お米の件ですが、現在、23福島県産米については、市場に出回りにくく、JAに出された米については、静かに倉庫で損害賠償を待っている状況です。特に問題なのは、JA以外で直販していた米専業農家の分です。

もともと取扱(販売)量が多いため、結果として風評被害をまともに受け、多くの在庫を抱え、経営維持にも影響が出ている状況です。私個人が把握しているだけでも、次の3軒が顕著な例です。
(1) 会津産の有機コシヒカリ(JAS、放射能自主測定済【表示も可能】)

   
 栽培面積8.5ha、現在の在庫約9t、販売希望額:玄米550円/1kg

 【数がまとまる場合は400円程度/1kgまで下げる事も可能。】

(2) 本宮市産の特栽コシヒカリ(放射能自主測定済【表示も可能】)
 栽培面積26ha、現在の在庫多量、販売希望額:玄米400円/1kg程度

(3) 二本松市産の有機コシヒカリ(JAS、放射能自主測定済【表示も可能】)

 栽培面積は5ha程度、現在の在庫多量、販売希望額:玄米550円/1kg程度

これらの農家の話を聞くと、今もひどい状況ですが、さらなる悩みは「こんな状況でいったい24年産米をどのくらい栽培したら良いのか?」 と見通しがたたないことです。

なんとも先が見えない状況が顕著になってきました。

ぜひ、流通団体にもお話しいただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いします。

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二本松農園 代表 齊藤登

(福島県有機農業ネットワーク事務局)

(がんばろう福島、農業者等の会代表)

Tel 0243-24-1795 fax 0243-24-1796

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