睡眠薬強盗!?
バングラデシュは観光地としての見所がないと言われていて観光客も少ない,というかこれまでに1人も見たことがないだけあって,観光地に付き物のポストカードを探すのが難しい。
色んな人に聞いたり,適当な店に入って聞いたりしてみるが見つからなかった。
そんな中一人の紳士が「オレに着いて来い」と道行くバングラ人に尋ねながらポストカードを扱っている店まで先導してくれた。
ポストカードを購入しようとしたら,紳士は10枚のポストカードをオレに手渡し「お金はいらない」ときたもんだ。
「紳士!10枚もいら・・・ありがとう!!」
「他に欲しいモノはないのか?」と聞かれ,ポストカードを買いに出てきただけで他には別にこれといったものはない,けど強いて言うならノートかなって言ったら買ってくれた。
「紳士!ありがとう!!」
お金を払うと言ってもいらないって言うし,とりあえず親切だと思っていたら今度は「昼飯くったか?」ときた。
睡眠薬強盗が頭をよぎりつつも素直に「まだ」と答えたオレ。
親戚がやっているというパン屋でパンを選び,建物の中にある紳士のお店に誘われ,食べるように勧められる。
1人で食べるのもなんだし,周りにいた日本語を話せるおっちゃんとか従業員にも一緒に食べるように言ってみるが,さっき食べたとかおなか一杯とか言って誰1人としてオレのパンに手をつけようとはしない。
大丈夫かしら?と思いつつ,みんなに見つめられて食べないわけにはいかないので1口食べてみたところ,すんげぇうまいカレーパンだった。
パンを食べ終わったところで紳士が「お茶飲むか?」と聞いてきた。
きたー!これだ!このお茶に睡眠薬がしこんであるんだ!
のこのこひっかかるオレではない。答えは「ノーサンクス」だ。
お茶が運ばれてきた。しかもオレの分だけ。
オレの返事ぜんぜん聞いてないじゃん!!
飲めよ飲めよと勧めるみんなの目が,いかにもな感じで怪しく光っているように見える。
睡眠薬強盗では口にした途端にバタッといってしまうらしい。
飲まないわけにはいかない状況に追い込まれたその時,知恵が浮かんだ。
ほんの少し,唇を湿らす程度にお茶をすすり,しかめっ面で,「甘すぎ」と甘いものが食べられない作戦に打って出てみた。
すると上手な紳士,お茶屋の小僧を呼び出し,「甘すぎるぞ!甘くないの持って来い!」とオレのお茶を引き取らせ新しいのと替えてもらい,オレの前にはレモンジンジャーティーが再び。
えーと,かばんには大事なものは何か入ってたかなぁ。
パスポートは・・・持ってる。
財布は・・・ドルも円も有り金全部持ってる。
カメラは・・・もちろんある。
ダメじゃん!今睡眠薬飲んだらダメじゃん!!
ま,多分オレに睡眠薬は効かないからね,と自己暗示し,テイッ!!超神水を飲む前の悟空のように気合を入れて,飲んだ。一口,そして二口。
あぁ,周りのやつらが笑ってる,やっぱりやられたんだ・・・あぁぁぁぁ,でもおいし。
ふっと気づいたとき,パスポートと財布とカメラの入ったカバンは・・・あった。
ふっと気づいたのは,この人達ダタやさしいだけ。
こんなところでこんな人達に囲まれて1人でパン食ったりお茶飲んだりしたくないねぇ
紳士に「明日も来いよ」と言われ店を後にした。
